猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ悪化する彼。の続きとなっておりやす。


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かわいい君は、俺のもの。




『ほら、そんな事言ってると遅刻するよ?一度受けた仕事に穴を開ける気?』なんだかんだと言い募り俺を帰宅させようとするキョーコちゃんにそう言って笑顔で脅し、少し不自然な歩き方の彼女を支えながらふたりで一緒にその撮影現場までやって来た。
『なんでここに敦賀蓮がっ!?』って顔で固まる撮影スタッフ達。あからさまに高視聴率を狙える獲物の出現に色めきつつも、何処か歯に挟まったみたいな言い回しの現場責任者である監督。
『問題ありませんよ。「京子」のプライベート密着でしょう?……大丈夫ですよ、プライベートですから。』と、にっこりと笑って。あくまで撮影のメインは「京子」で、そこにプライベートの俺が映り込んだところでギャランティなど発生しないと裏で語ってみせれば………後はまぁ、推して知るべきってやつだ。




おでこにぺしっと飛んで来た手が張り付いて『熱…は、ないみたいですね』、頭のてっぺんから後頭部をわしわしと髪を乱し探りながら『頭を強打しちゃってたり……はっ!社さん!社さんに電話しなきゃっ!!』なんてぶつぶつと呟いていて携帯を取り出す。
そして、必死にその携帯に向かって俺が壊れたとか、悪化する一方だとか、早く回収に来て下さいとか半分くらい泣き声で訴えている。
俺のかわいいかわいいキョーコちゃん。
そんな君の行動を本日の君のお仕事な撮影スタッフ全員で目を皿みたいにまんまるく見開いてあんぐり大口開けて凝視してるけど……気付いてないみたいだね?
急な依頼のため打ち合わせから入るそこに、何とか引き剥がそうと足掻くキョーコちゃんに当たり前みたいな顔で張り付いている俺。
密着系の取材にはベタな「行きつけの店でお買い物」や「お洒落なカフェでお茶」だとかの案の後に出て来た「アクティブな趣味」の撮影の提案。
アクションだってばりばりに熟す運動神経抜群な彼女。そのトレーニングなんかでちょっとした運動をしている所を撮りたいと言う訳だけど……
『申し訳ないんですが、ちょっと今回はあまり身体を動かさない系統でお願いします。』と、割って入る俺。ひとの仕事にまで口を挟んだ俺をびっくりした顔で見上げているキョーコちゃん。『ごめんね……でも、キョーコちゃんまだ身体辛いだろ?俺が昨日の夜…』あたりで口を塞ぎに飛んで来る愛しい手。大人しく塞がれてあげるけど……そんな慌てて真っ赤になっちゃってると、意味ないと思うんだ。
その後も「行きつけの店」に行っては彼女の琴線にふれるだろう物を片っ端から購入しようとする俺をたしなめてもらったり、「おしゃれなカフェ」ではラテアートにはしゃぐキョーコちゃんの隣をキープしてドルチェプレートを分けて食べさせてもらったりブランケットを掛けてあげたり……
そんないろいろな映像記録を抑えたあたりで起きたちょっとした問題。
芸能界でも料理上手として有名な彼女。その料理姿を撮りたいのだが、何分にも急な撮影変更だったのでキッチン設備のあるスタジオに空きがないのだとか………
『いい所ありますよ?この人数が入ってキッチンがあって……予算も掛からない。』
その場所に心当たりがあるのだろうちょっと挙動不審な彼女、その隣でにこやかにそう提案してあげた。



何を作ろうかな?そんな表情で、俺の自宅キッチンにてスタッフが買い込んで来た材料と向き合っているキョーコちゃん。
そのキョーコちゃんがちろりと俺を見る。その瞳には、ちょうどいいから俺に何か食べ物を詰め込もうって感じの色。
俺の食育に誰よりも力を入れてくれている愛しいキョーコちゃん。
そんな彼女にぽつりと言ってあげる。
「あ…俺、あれ食べたいんだけど…」
俺から出た食べたいの言葉に嬉しそうになる君。
「ほら……前に俺がキョーコちゃんに作って食べさせちゃった事あっただろ?あれが食べたい。マウくないやつで」
そう告げれば
「わかりました!マウくないように作りますね!!」
なんてかわいく笑って卵と海老にチキンなんかを選び取る彼女。
当たり前みたいに使い慣れた様子でキッチンに立ち手際よく材料を刻み、サラダやスープなんかも作ると言うキョーコちゃん。その間に
「敦賀さん、すいませんけどお鍋取っていただけますか?」
「ん?いつもの片手鍋なら下にあるけど?」
「今日はスタッフさん達もいらっしゃいますから……」
そんな会話をしながら頭上の収納棚を降ろして大きな鍋を取り出す。
そんな事をしていると
「ねぇ…………敦賀くんと京子ちゃんってもしかして、結婚してたりするの?」
思わずボソリって感じで監督から飛び出した言葉。
「だって会話とか空気とか……もう彼女ってよりも『お嫁さん』だよ?」
ワタワタあわあわと慌てに慌てて顔色も青く必死に否定しているキョーコちゃん。左手を取ってその指に唇を寄せ、瞳を覗き込んで告げる。



「今すぐにそうなってもらって大歓迎だよ、ねぇ……俺のかわいいキョーコちゃん?」



顔色は青いのに頬を赤らめるなんて器用な事をしながら涙目で硬直するキョーコちゃん。



その震える唇が零す。
「ひぃ………また、悪化したぁぁぁ」



俺のこの胸にある病は末期も末期だからね。
たぶんきっと、坂道を転がるように悪化の一途を辿れども……良くなることなんてありやしないよ?
なんて思いながらも、目の端で回ったままふたりに向けられてるカメラを確認していた。




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因みにやっしーとのお電話は「俺以外の男に頼ったりしちゃダメ。」とかって絡みつかれて取り上げられた後に電波を通じたキュラキュラ笑顔圧力で大丈夫ですよ?されちゃったので……待てども待てども回収には来ない、らしい。←
(^▽^;)


しかし、オチを決めずにタイトル付けると続きのやつのタイトルをどうするか悩むね………タイトルセンスください。
(´Д` )


↓拍手コメントにて愛海様からいただいてましたネタ

オフなのに「タレントのプライベートに1日密着」な番組への依頼が回って来る。それを知った蓮さん「プライベートを撮るんだから、俺がいても構いませんよね?」と取材陣の前でキョーコちゃんの体を労ったり、昨日の夜のことを匂わせたり、べたべたイチャイチャして外堀を埋めていくお話。」

から、ねりねりぽちぽちと書いてみたお話がこう成り果てました。
愛海様、ネタをありがとうございました☆
( ´ ▽ ` )ノ


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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