なんとなくなドラ○エっぽい世界観での「とある」シリーズ。
何本かぽちぽちと作ったりしちゃってましたそんな話に、
この辺境の地ブログの1周年な記念になんぞとやりはじめておりました企画っぽいもの「妄想、募集中です!?」にて、SAILEE様からいただきました続きなリクエストにお応えしてみるべく、なんやかやと。
の続きなるものでありやんす。



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「なにを…してるのかな?………キョーコ」



低い……地を這う程に低い冷たい声。
まるで怖気がねとりと背中を這うような恐ろしさを含むその声。
大きな手がぬぅっと彼女へと伸ばされる。



「ひぃぃぃぅぅっ!!」
喉を掴まれたみたいなそんなか細く高い悲鳴が彼女の口から零れていた。
その瞳に涙を溜めて顔色青く、きゅぅっと身体を縮めてぶるぶると産まれたての小動物みたいに身を震わせている。
「そんな姿………俺にだけ見せてくれてればいいのに…………なんで、あんな馬の骨になんか見せてるの?」
全力で怯えている、『魔王』。
その『魔王』の肩と腰に、するりと軽く触れてるだけなのに全力で絡み付くみたいに這わされた手。
大きな身体で覆いかぶさるようにして捕まえた細い身体へ低い声で囁いている男がちらりと流す敵意の視線。何故か、髪や肌や服の一部に薄っすらとした氷幕を張り付かせ凍り付いたままでいる。
その滴るような色気と妖しさはまるで、純真なる乙女を誑かし襲う闇の化身のようで…………って、アレ前代の『勇者』の敦賀くんだよな?
あの誰とでも浅ーくうっすら距離を置いて作り物みたいな完璧さを見せていた、あの敦賀くん?
「あぁ?誰がぁ馬の骨だぁぁ?!」
殴り込みな勢いでピリピリした頭に血が昇りっぱなしのまま、この魔王城までやって来てしまっていた村雨くん。そこに、ずっと挑んではさらりと流されていた因縁の宿敵視していた男が投げた売り言葉。
プチッと切れた勢いで背中の剣を抜いて飛びかかっていく。
無骨な『戦士』の大剣が、前代『勇者』に抱えられた『魔王』諸共な勢いで振り下ろされた。
ガキィィィンと鋼の剣先と石造りの床が耳障りな音を響かせる。
ふわっと空中を綺麗に靡く栗色の長い髪。その一筋にさえかすらせもせずに……瞬時に、剣戟を避け『魔王』を抱き抱え後方へと飛んで余裕で着地を決めた敦賀くん。
「危ないじゃないか……俺のキョーコにそんなものを向けるなんて、覚悟は出来てるんだろうな?」
そんな威嚇を込めた声を掻き消すみたいに
「あ、あああ……貴方のではありませんっ!!」
そう叫んで、抱えられた腕から逃れようとジタジタと手足をばたつかせる『魔王』。
向けられた敵意にも剣戟にさえ怯えの欠片すらないそんな彼女。
「私のものになれって、言ってくれたんだから………君も俺のものになってよ?その唇も、身体も……心も、全部……」
夜の気配をふんだんに纏った、危ない男がそう言いながら彼女の唇をすぅっと親指で撫でて………そのまま、ドレスに包まれたなだらかな彼女の白い胸元へと思わせぶりになぞり下ろしていく。
そんなゴクリと息を飲むような妖しい指先に…………



「いやぁぁぁぁぁっ!!破廉恥ぃぃぃっっ!!」


真っ赤に、見事なまでに頬から首すじ胸元までも真っ赤に染めた『魔王』が叫ぶと、ぶわぁっと彼女から凄い勢いで放出される無数の黒い塊。
咄嗟に腕を眼前に翳して防御体制を取った俺の横を、近距離で直撃を喰らったらしい村雨くんの身体が吹き飛んで行く。
ドォン!!と大きな衝撃音が彼方此方から反響して響く。
よく見やれば壁や天井の至る所にべこっと何かが凹ませたクレーターが見えた。
垣間見た『魔王』の、その凄まじいまでの力にたらりと額に汗が滲む。
本能的にジリッと後ずさる俺の後方、そこから
「っ……はっ……っ、あんにゃろ……まだ、ぜんっぜん解ってないな………説教が……足りないか……」
ぜぃぜぃと息を荒げ、今此処まで全力疾走で辿り着きましたな感じの男の声とガシャンと言う、何か重い金属質な物の落下音楽。
振り返ればそこに居たのは、邪魔とばかりに『勇者』たる証の宝剣を放り捨てた眼鏡の『魔法使い』。
現代の『勇者』を継承した筈のその彼は、ぞんざいに足もとのそれを俺に向かって床を滑らせるように蹴って寄越した。



カツンと俺のブーツに当たって止まる『勇者』の証な宝剣。



「貴島くん……さぁ、君が次の『勇者』だ。『勇者』の使命たる仕事を……あいつを…蓮をもう一回氷漬けにして、頭冷させるぞ。」



はい???氷漬け?
って、『勇者』の使命って前々代『勇者』の討伐とかじゃない筈だろう?
あの『魔王』のさっきの攻撃を、アレを極至近距離で直撃して傷ひとつないまま『魔王』に絡み付いてセクハラを続けてるあのバケモノみたいな元『勇者』を!?
…………無理だろ?



「この国に来て最高ランクまで極めちゃった俺の氷結呪文、叩き込まれたくなったら……………ヤれ。」



きらりと光る眼鏡の下、本気の色をありありと浮かべたその目。
背中に嫌な汗が滲む。
社さん………あの敦賀くんと言い、貴方と言い………この国に来た『勇者』はキャラクター変わり過ぎじゃないかな?




そうして、なんでか勢いで『勇者』になったらしい俺とその前の『勇者』だった『魔法使い』の社さん………合流した魔族の『従者』とか『呪禁使い』なんぞな女の子たちとこの旅の元凶な『戦士』村雨くんな、なんともおかしなパーティ編成による


前の前の『勇者』から『魔王』を救い出す熾烈なる闘いは………
メイド『魔王』の涙目上目遣いによる痛恨の一撃でやっとなんとか終着を迎えた。





そして、俺と言えば何故か帰国も出来ずに
頭から足先までカチカチに氷漬けにされた『門番』への『魔法使い』からのお説教と
これまた何故か謎のまま『魔王』攻略への恋愛相談な感じの作戦会議(氷漬け男からの威嚇もたっぷり)にまで巻き込まれている訳ですよ



ほんとに……魔王城なんて俺みたいな一般人が迂闊に訪れるべきとこじゃない………そう薄っすらと後悔しながらさ。





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なんだこいつら?(´Д` )
えーーーと、なんだか魔王城にいる人数がじりじり増えてくのは何故だ?


こんなものと成り果ててしまいましたが、続きリクをくださいましたSAILEE様、ありがとうございました。
( ´ ▽ ` )ノ


最近、旦那さんが魔王がマンション経営するゲームをやっていて、そっから何故か捨て魔王な久遠さんとその育ての親になる村娘キョコさんな妄想がちらほらり。←なんだそれ?



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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