猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する番外編的な続きのひとつ強奪する俺。に、
この辺境の地な猫木のサイトの1周年な記念になんぞとやりはじめております企画っぽいもの「妄想、募集中です!?」にて、ヒナ様からいただきました続きリクにお答えしてらみようと、なんとかしてみたものにございます。


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今なら断罪者に崖っぷちへと追い込まれた犯人のなどの役を上手く演れるだろう。もしくは、荷馬車に積まれた子牛なんかでも。
見慣れた筈のそのドアの前、ぎゅぅっとカードキーを手に立ち竦む私はきっとそんな追い詰められた絶望的な表情を晒してしまっているだろうから。



朝、私の隣で眠る敦賀さんが起きるのが……ただ、怖かった。
厭われてどんな顔をされてしまうのか、何と言われ突き離されるのか……怖くて、怖くて。
衝動的に、敦賀さんを起こしてしまわないように息を気配を殺しコソコソと逃げ出してしまっていた。
そんな卑怯な私を待っていたのは、根こそぎに一切合切を奪われた自室にぽつんと残されてい一枚のカードキーだった。
そのカードキーの意味も、がらんとなんにもなくなってしまっている部屋の中も全部が現実とは思えなくて立ち竦む私の携帯が鳴った。
液晶に浮かび上がるその名前。震える指で着信ボタンを押すけれど、何を言えと言うのか…………黙り込んだままの私。
「…………家に帰った?」
電波を通した掠れたような低い声。
ヒュッと喉が息を飲む音が部屋に響く。
「無事に帰ったんだね…………じゃぁ、待ってるよ。」
私の返事も待たずそれだけを告げた携帯を手に呆然とただ立ち尽くしていた。



何時までもそうやって現状から逃げていられる訳などなく、ふらふらヨロヨロと向かった偉大なる先輩のご自宅。インターホンを鳴らせど、なんの応えもない重厚なドア。
だけど、彼は『待ってる』とそう言っていたのだ。このカードキーを残して。
このドアの向こう側に恐ろしい何かが待ち構えている………そんなよからぬ予感に震える手でカードキーをリーダーに押し付けた。
ピッ…と、電子音が鳴る。
恐る恐るにドアノブへと伸ばした手がドアを開く、その前にそのドアは内側から開かれた。



 





な……なにが…どうなっているのでありましょうか??
ふんわりキラキラなレースで飾られた布に囲まれて、ふかふかに沈み込むリネンの上にちょこんと乗せられていた。



ドアを開けたのはニコリと笑うお方。
怨キョの反応がないのでお怒りではいらっしゃらないようにお見受け出来るけど………似非紳士スマイル全開であられる。
ずべしゃっと滑るように膝を着き頭を下げてしまおうとした私をその長い腕が掬い取るように浚う。
「つっ…敦賀様っ!!お願いでございます!!後生ですから、どうかっ!どうかっ……」
そう私は懇願に来たの。
私の私財を根こそぎに強奪した敦賀さん。私みたいな色気も胸も華もない範囲外なつまらない地味女を抱かされた代償としてだろう。
だって、不釣り合いだもの。
慰謝料とも言えるそこから、叶うならばモー子さんや雨宮さんやだるま屋の大将と女将さんにプレゼントしてもらった大切な宝物たちやあの薔薇から産まれたピンク色の宝石を………それが許されなくとも、せめて……せめて、あの私の妖精がくれた魔法の蒼だけでもなんとか返してもらいたいと………
だけど、そんな願いを口にする前に敦賀さんは言ったの。
「待ってたよ………君の部屋はこっちね?」
私の部屋??
きょとんと困惑する私の腰を抱いてするすると運ぶようにエスコートされた部屋。
そこにあったのは私の部屋から奪われた私物たちと………うっとりしてしまうほど私の趣味にどんぴしゃな猫足のチェストや化粧台なんかの家具。
とりわけ私の心を掴んだのが、ころんと丸く可愛らしいデザインの天蓋付きの寝台。まさに、夢に見たようなお姫様のベッド。
「気に入ってくれた?」
耳のすぐ側、囁くような声。ひょいっと私を持ち上げて、紗の掛かったレースの天蓋を開き私をそこに座らせたひとはそんな私を見て言った。
「これ、衝動買いして失敗したなと思ってたんだよ……俺も一緒に寝るには少し窮屈なサイズだしね……でも、これはこれで……有りかな。」



大きな手が天蓋を開き、ベッドへと膝を乗せ身を滑り込ませたひと。
自分の唇を舌でなぞってニヤリ笑う、壮絶に色気を纏う彼。



「お城の奥深くに閉じ込められたお姫様を強奪しに来た略奪者って感じがして……なかなかイイよ?」



ギィっと、乗り上げる彼の重みで軋むベッド。
私の頬へと伸びる長い指先にぞわりと背中が震える。


 

「まぁ、閉じ込めるのも俺なんだけどね………さぁ、諦めて俺に奪われて?」





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なんだこれ?
結局、なんの説明もしてやがらねぇ。
(´Д` )
蓮さんによるキョーコさんの無許可強制お引越し?
そんな感じなものと成り果てました。


久しぶりに、いろんな敦賀さんシリーズ書いたなぁ…………
だって、ネタがないんだもの。笑



続きリクエストくださいましたヒナ様、ありがとうございました。
( ´ ▽ ` )ノ



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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