黄色と赤と愚か者。黄色と赤と挑戦者。の続きとなっております。
今回もあんまりすっきりしないかもよーなものでありやす。
(´Д` )


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大きな背中を見つめて歩く私は、ドナドナの子牛な気分。



仕事が終わって帰ろうと楽屋のドアを開ければ、そこにいるはずのないひとが立っていた。
にっこりと笑って
「お疲れ様、キョーコ。さぁ、俺に担がれるのと自分で歩くのとどっちがいい?」
なんていきなりそんな事をキュラキュラと凄まれて車に詰め込まれたのだから、そんな気持ちになるのもしょうがないと思うのよ。今にもその長い腕が私を肩に担ぎ上げて通る必要もない局の正面ホールでも練り歩きかねない………そんな恐ろしさだったもの。




そんな強引なエスコートを受けて座る助手席のシート。
運転席に座った彼は車を動かす事なく私の手を握っていた。
ふたりきりの車内の空気は重苦しい緊張感をはらんだもので、私も彼も無言のまま。
私にもわかってる。ちゃんと話をしないといけない事くらい、だけど………
「………ばーか」
ぼそりと口から出たのはそんな言葉で
「うん、ごめん。」
彼から返ってくるのはただ謝る言葉で。
「ばかばかばか………いくじなし。」
ぐずぐずと鼻がなる。
「………俺ね、あのオファー、受けたよ。」
彼の低い声。視界が滲むのがどうしてなのか私にもわからなかった。
ただ、長い指が頬を濡らすそれを拭う。
「キョーコ、落ち着いてちゃんと話がしたい。」
涙で滲んでいても彼が私の弱いあの捨て犬みたいな目をしてるってわかる。
ヒクつく喉からは情けない声しか出せそうもない私はコクンと頷く。
「ありがとう、キョーコ。」
彼の唇が私のおでこに落ちてくる。近くに香る彼の香りにやっぱりどうしようもなくきゅぅっと胸が痛む。
滑るように動き出す車。
そうやって小さく泣いたままの私は、気が付く事も出来なかった。窓の外の景色が違っている事に。
いつも通り彼のあのマンションへと向かっていると思っていたのに。




着いたよって降ろされた場所は見覚えのない地下の駐車場。
私の手を引いて歩くひとが胸ポケットから取り出したカードキーでエレベーターを呼び出しているのに悪い予感を覚えた。
当たり前みたいに彼が押すのは最上階のボタン。
辿り着いた先の長い廊下にあるのは扉がひとつだけ。
そのドアにキーを押し当て彼が開け、私を中へとうながす。
私の背中には嫌な汗すら感じられている。
高い天井の広い部屋。窓の外にはきらめく夜景。
見覚えがある家具。
「あの………ここは?」
耐えられずに、恐る恐る聞いてしまった。
「新しく買った家。」
裏切って欲しかった予想に、ひゅっと喉が息を飲んだ音がした。
「だって、キョーコが前の家にはもう来ないって言うから………」
にっこりと笑う彼が付け足す。
「キョーコの部屋もあるよ?」
なんてそんな事を。




あぁ、なんてタチの悪い。
彼の家のあのキッチンで大きな黄色いオムライスを作ったのは、ほんの4日程前なのよ?
力なく引きつった笑いにくらくらとめまいがしそうな私。
常識外れた行動を仕出かした男が強請る。
「ねぇ、キョーコ。おなかすいなたぁ?」
そんなどこか企んだ声に確信する。




きっと、冷蔵庫の中にはお野菜にエビに鶏肉、あとはたまごとトマトケチャップが鎮座しているに違いないと。




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いやん、原因までたどり付きませんでした。(´Д` )
ぢ、焦らしてるんじゃなかとよ?


続きやす………たぶん。



拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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