猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する番外編的な続きのひとつとなっております。


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「私も……好き。だぁいすき♡」



欲しくてたまらなかった甘い甘い言葉をふにゃりと笑って惜しみなく俺にくれるかわいい君に、今だけなんかじゃなく一生そばにいてほしいから………だから、君のその夢に付き合ってあげる。





寝返りを打ってこちらを向いてくれた君は、昨夜の疲れもあってかまだとろとろぐずぐずと半分くらい眠りの中にいるみたいだった。
そんな彼女は眠そうな目をぐしぐしと擦りながら言った。
「ふぅぇ?……なんで、つるがしゃん、目が翠なの?………こぉんみたいな、きれぃな色の目…」
そう言われて、自分の目の色を隠していたカラコンがいつの間にか外れてしまっていたのに気が付いた。
もう隠しておく事も出来ない………君に全てを話そう。
「今まで言えなくて、ごめんね。実は……………」



キョーコちゃんに、今まで隠していた俺の秘密を話した。
キョーコちゃんは俺が本当はコーンで妖精じゃなく人間で、俳優の『敦賀蓮』を演じていて……昨日の夜の事も君が好きだから抱いたんだと告げるとふわっと笑って言ったんだ、「嬉しい」って………。
「敦賀さんがコーンだったら良かったのにって……思ってたの。だって、コーンなら私を愛してくれるでしょ?敦賀さんがコーンだったら……私なんかでも敦賀さんの『キョーコちゃん』になれる……よね?私が敦賀さんの事を好きでも、そんな毒感情を向けたって幻滅して厭わないでいてくれるのよね?だから………嬉しい。」
なんて噛み合ってるんだか噛み合ってないんだかわからないような事を言ったキョーコちゃんは、ぺそっと俺の胸な飛び込んできてくれて
「それに、妖精じゃなくって人間なら………置いて行ったりしないでいてくれるでしょう?……好き…大好き。」
俺の胸にやわらかな頬をすりすりと擦り付けるみたいにするキョーコちゃん。
嬉しくて嬉しくてたまらなくて、ぎゅぅぅっと強く強く抱きしめようとした、その時に彼女は言ったんだ。
彼女のこぼしたそのひとこと、それを聞いて………俺は彼女を抱きしめるために伸ばした腕を止めた。







「クオンさん♡」
かわいいかわいい彼女が俺の名を呼んでくれる。
「なに?キョーコちゃん♡」
自分でも甘ったるく聞こえる声で答えた。
キョーコちゃんに俺の本当の名前を呼んでもらいたくて久遠の名を名乗った………ついでに、父の事も話すと今まで以上にキラキラと嬉しそうだったのが少しおもしろくなかったけれど。
「クオンさん、なにを買いに行くの?」
一緒に買い物に行きたいと強請って彼女をマンションから連れ出した。
瞳の色は、日本では目立ち過ぎる色だからと予備のカラコンを入れて、姿はすっかり『敦賀蓮』に戻しておいて。
「ん?俺のかわいいお姫様のキョーコちゃんにドレスとガラスの靴を買いに行こうかと思って。」
ふわふわとやわらかいラインの淡いグリーンのワンピースを着たキョーコちゃんの瞳が、お姫様って言葉にキラキラと輝くのがかわいくて仕方がない。
いろんな店のウィンドウを覗いてはふたり微笑み合ってのんびりと、指と指を絡めて繋いで……そんなかわいい彼女と歩く。
さりげなく誘導して目的の店の前までやって来る事が出来た。
「ねぇ、キョーコちゃん?キョーコちゃんに指輪を贈りたいんだけど受け取ってくれる?」
あからさまに高級店な店構えにキョーコちゃんが躊躇っているのを
「キョーコちゃんとお揃いの指輪がしたいなぁ………キョーコちゃんは俺とお揃い、いや?」
コテンと首を傾げて強請って誤魔化して言いくるめて………そうやって手に入れたペアリング。
その幸せな鎖の入った小さな袋をぶら下げて店を出ると、そこは光の渦だった。



パシャパシャと切られ続けるシャターの音と、フラッシュのまばゆい光。
「おふたりはいつからお付き合いを!?」
「指輪を購入されたようですが、結婚のご予定は秒読み段階なんでしょうか!?」
鬼気迫った顔で我先にとマイクを突きつけてくるリポーター。
「え?えっ!?…えぇ?!えぇぇぇーー!?」
やっと………ようやっと、事態を飲み込めずにいるキョーコちゃんが慌て出した。
けど、もう遅いと思うよ?
唇に、にぃっと笑みが乗った。




「好き…だぁいすき♡………なんて幸せな……夢。」
正に、夢見るようにうっとりとキョーコちゃんがこぼした言葉。
「……夢、なの?」
そう聞けば
「うん………だって、現実じゃあり得ないもの。」
そう言って、寂しそうに笑うキョーコちゃんを見て………その夢に付き合ってしまおうと決めたんだ。
「そうだね……俺も、夢       だよ。」




「そうですね……結婚も彼女さえ承諾してくれるのなら、すぐにでもしたいですね。」
あわあわきょどきょどと困惑の中にあるキョーコちゃんの腰を抱き寄せながら、そう答える。
一層強くなるフラッシュの光とシャター音。
「えっ!?いやっ、だって……夢だって言ったじゃないですかぁぁぁー!?」
見事な肺活量を生かしたキョーコちゃんの悲鳴に、俺たちふたりを囲むマスコミが顔を顰めて耳を抑える。
「いや?俺は、君が俺の事を好きって言ってくれて………一緒に夜を過ごせたなんて、夢…みたい…だよって言っただけだよ?」
はくはくと口を開閉させながら俺を見上げるキョーコちゃんの驚いたまんまるい瞳。
「だから、夢じゃないよ?君に話した事も、俺の本当の名前も、俺が君を愛してる事も全部。」
どんどんと顔色を白く変えるキョーコちゃんの左手を取る。
「もちろん………この指輪もね?」
するっと、ついさっき購入したフローレスな石の付いた指輪をその薬指へと通すとカメラへと向けてやった。




『敦賀蓮』と『京子』が、これ見よがしに人の目の多い所をデートして回ってるのをマスコミが逃す訳ないよなとは思ってはいたけど、思ったよりはやく、その上たくさん来たな。
まぁ、生中継だろうが囲み取材だろうがなんだって好きなようにしてくれ。
それで難攻不落な俺のかわいいかわいいキョーコちゃんが手に入るんなら、安いもんだよ?




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お知らせと今後の予定報告。のコメにてイズキョ様よりいただきましたネタ

寝起き思いっきり甘々で、そのまま2人で外に出たら、芸能記者に見つかってつけられて、緊急生放送されちゃうなんて感じの、ラブラブ読みたいです。」

より、ぽちぽちと書いてみたものとなります。
ら……ラブラブなのか?これは?
騙す蓮さんと騙されちゃったキョコちゃんなお話になってしまいました。
(´Д` )


→イズキョ様
いろんな敦賀さんシリーズのネタはキリ番等関係なく誰でもwelcomeしておりますのでキリ番のリクエスト、他に何かございましたら猫木の大喜利的な駄文でしかお答え出来やしませんが、ぜひどーぞ。



風が強くて外に出れませぬ。
((((;゚Д゚)))))))


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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