猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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だんだんに腹が立って参りました。
この怒りを貴方に向けてしまうのは、理不尽ですか?



おはようございます、最上キョーコであります。
其れこそ、寝起きはもうこれ以上ないほどに困惑して言い訳と誤魔化しの手段オンパレードな坩堝へとはまり込んでおりましたが………じわじわと冷静になってまいりました。
いや、この頭の下にある硬い腕とかぴったりくっついてるあったかいなま肌とかどうしようもなくイイ香りとかのせいで、心拍数はぶっち切りでドキドキしっぱなしの現状になんら変化などない訳なのですが。
うん。やっぱりそうだ。
チクリと軋む胸の痛みになど気付かないふりをして、私はベッドからひっそりと抜け出した。



違和感と疲労感満載の身体にムチ打ってシャワーを浴びると、クローゼットの奥から引っ張り出したストンとした飾り気のない白い膝丈のコットンワンピースを着る。
芸能人として、女として肌のケアはするけど、化粧はなし。
鏡の中には、コスメマジックのない悲しいくらい素うどんな私の顔。ふにゃりと情けないその顔をパシンッと両手で叩いた。
寝室へと戻り、気持ち良さそうにすぅすぅと眠るひとの乗ったベッドへと上がる。
ぎしっと軋む音。それをきっかけに敦賀さんが目を覚ました。
「おはようございます、敦賀さん。いきなりでは有りますが少々お話がございます。………聞いていただけますよね?」
にこりと笑って、そう声をかける。
敦賀さんが私を見て少し驚いた表情を見せた………きっと、美緒っぽい気配と正座のせいだろう。


「敦賀さんはお酒がお好きですし、ウワバミでらっしゃるから飲みたいのは解ります。飲むなとは言いません。でも、体調の良くない時はセーブする事も大事ではないかと思うんです。あ、あと胃に食べ物を入れないまま度数の高いアルコールをザバザバ飲むのは健康に悪いので、せめてなにか軽くつまみながら飲むようにしてください。」
ベッドの上正座してくどくどくどくどとお説教真っ最中の私の前には、辛うじて下半身をシーツで隠しただけの裸な敦賀さんが正座して座っている。
身の置き所のなさそうな………そう、雨に濡れてしょんぼりとした犬みたいな感じで。それはそれはもう、かわいらしくキュンキュンとしてしまいそうだけれども!
「そして、貴方は『敦賀蓮』なんです。プライベートとは言えそのプライベートさえ話題となりスキャンダルになってしまうんですから」
偉大なる先輩になんたる失礼な口聞きだとは思うのだけど、腹が立ってしまったのだもの。
「フェミニストで紳士で天然タラシでコマシなのもほどほどにしていただかないと。ただでさえ、敦賀さん!貴方は世の女性には目の毒みたいな色気の塊でいらっしゃるんですから女性なんてそれこそ選びたい放題でよりどりみどりかもしれません。だからと言って酔いに任せてこんな事をホイホイとお手軽にしていただいては困ります。」
捨て犬な気配を滲まながらも、反論を挟もうとする敦賀さんをジロリと睨んで黙らせる。
「………私の『はじめて』を奪った責任を取ってください」
そう告げた。
きょとんと私を見る敦賀さん。その目が信じられないと語っている。
そう………わかってます。困らせるって………だけど、腹が立って仕方がないの!!
貴方は!!貴方は………一体今までどれだけの数の女性をその腕に抱いて眠って、その腕まくらで幸せにしてきたんですか?
あの幸せを知っている女性が他にいると考えると………どうしても、理不尽でも
嫌なの。
だから………………


気がつくと、がばっと勢い良く抱きしめられていた。
そのままぎゅうぎゅうと力いっぱいに締め付けられて、その予想外の行動にびっくりとおどろき驚愕に目がまわりそうになってしまう。
「取るよ。喜んで、責任取るよ!」
頭の上からそんなあり得ない内容のはしゃいだような声がする。
え??
だって、私「……だなんて、そんな事言われたら困るでしょう?」って続けるつもりで………
「結婚しよう!」
はぁ?
目の前の逞しい胸を手で押して、わたわたとその腕の中から脱出をはかる。
「あぁ、真っ白のワンピースだなんて……ウェディングドレスみたいで嬉しいよ。」
違いますよ?だって、私……ウェディングドレスどころか死装束のつもりでこれを選びましたもの。
困らせて……その後、私なんぞが生意気な口を聞いてしまった積を取って、ざばっとその鋭利で鋭い言葉の刀で一刀両断にしていただくつもりしかなかったんですもん。
「後で一緒に役所に行こう?あと、社さんと社長にも報告しないとな……」
待って………待ってください。なにが起きてるの?


「責任取って、一生キョーコちゃんだけを大事に幸せにするからね?」


そんな事を言う敦賀さんの背後には、わっふわっふとはしゃぎまわってブンブンとはち切れんばかりに尻尾を振る黒い大型犬が走り回っているのが見えるようだったの。





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↓拍手コメにて葉月様よりもらいましたネタ

『今度はキョーコちゃんが朝目覚めた蓮さんを説教する。責任を取ってくださいと言うキョーコちゃん。途中怒られるくだりでワンコ蓮さん降臨。』

からぽちぽちと作ってみたものとなります。
鴨がネギ背負ってやって来たぜー!!って感じに浮かれまわる蓮さんとそんなつもりじゃなかったキョコちゃんになっちゃいました。
( ´艸`)


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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