恋を愚かな事だとは思えなくなっていた。


ひとりまたひとり、恋をして愛を育てた大事な戦友はこの部屋から巣立って行った。
想い想われ時にすれ違えど繋いだ手を離さなかった彼女と隣に立つひと。微笑み合うふたりにチリチリとした嫉妬は確かにあったけれど、その恋を愚かだとは思わなかった。

そう、恋は愚者のものではない。
ただ、恋をする己が愚者なのだ。
どこまでもそうだ。
いつも手に入らないものばかりを欲しがって




苦しくなった。苦しくなってしまった。
いつの頃からか「最上さん」から「キョーコちゃん」とそう変化した彼が私を呼ぶ記号に。
ふんわりと優しく抱きしめてくれるその腕と香り、ひどく安心していまうその胸に。
唇のそこ以外に、彼にとってのほんのささいな戯れに落とされる唇に。
小動物へのものだろう………そんな彼がくれる特別に
身代わりにさえなれない。してくれない。


終わりが………彼の最後通告が
その強靭なる撃鉄が
振り下ろされる鉄槌が
欲しくなったのだ。
厭われ避けられ遠ざけられようと
もう、それが欲しかった。
敦賀さんにこの恋心を粉々に打ち砕いて欲しくなったの。
どんな痛みを伴っていようたも、それはきっと敦賀さんが私にくれる最後のギフト。





柔らかく微笑む敦賀さん。
私を引き寄せようとするその大きな手から逃げて
「そんなふうに触らないでください。」
黒の度合いの強い彼のこげ茶を含んだ目が大きく見開かれた。きっとこれは、可愛がっていた小動物が突然牙を剥き威嚇したぐらいのこと。
「そんなふうに触られると辛いんです。」
我慢するつもりでいた涙が滲む。
ぼやぼやと歪む視界に伸ばされていた手が握る込まれて行くのが見えた。 
きっとあの手が私に触れるのとは、もうないんだろうな。
「それは……ど、うして?」
絞り出されたみたいな低い掠れた声。


「貴方が好きだからです。」


笑え笑え笑え。
涙など見せてはいけない。
きっと、誰よりも誰よりも断って来ただろうけれども、それでも優しい人の負担になるかもしれないから。
 






彼がくれた衝撃は予測を遥かに超えた破壊力で、私の全てをさらっていった。





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うーーーん?不調。(´Д` )
よくわからんな、これ。

さて、荷造りせねばならんな。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

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