日本国首相麻生太郎氏とのインタビュー
日本国首相である麻生太郎氏とのインタビューは、ANSAがG8会議会場で行った一連の独占インタビューのうち、一番最初に行われた物である。
麻生太郎氏(68)は去年9月以来、自由民主党総裁となって日本政府を率いている。
(訳者注:赤文字が聞き手、黒文字が麻生首相の発言となります)
地震被災地であるラクイラでG8サミットを開催するというイタリアの決定を貴方はどう評価しますか?支援要請に対し日本はどのような援助を検討しているのでしょうか?
G8サミットを利用して、イタリア政府が国際社会の大きな関心を地元地域と共に行っている復興活動へとさらに集める事に成功するだろうと、私は考えています。加えて、これが各国の被害局限意識を高めることに繋がるだろうと、私は考えています。
日本は地震が多い国であり、関連したノウハウも蓄積しています。私達は度々地震に見舞われる我が国の持つノウハウを活用し、可能な限り早急に被災地への復興支援を行うつもりであります。
日本国民と私企業は同様に義捐金と寄付を行っております。このように、官民共に様々な手段によって、ラクイラの再建を支援させてもらうでしょう。
2009年12月にコペンハーゲンで開催される予定の会議と同様、ラクイラにおけるG8会合で主要経済国会議の枠組みを通じ、日本はどのように国際的討論へと寄与するのでしょう?
地球温暖化問題を解決するために世界的なCO2排出削減が必要であり、国際社会が協調した手法で問題に取り組む必要があるでしょう。
そのため、我々全ての主要経済国は責任を持って参加が可能な、公平かつ効果的な枠組みを構築する必要があると思われます。
日本のエネルギー効率は欧州と合衆国の倍であり、この分野に於ける世界的主導国でもあります。さらに先月、日本の中期排出量削減目標として2005年の水準から15%を削減する事を私は決定しました。この目標はヨーロッパが設定した2005年水準からの13%削減を超えるものであり、合衆国が設定した14%削減をも超えるものであります。さらに、この目標は言わば『真水』の努力であり、他国から購入した排出権や再植林等の二酸化炭素吸収源を全く組み込まない、総合的な省エネ及び国内努力だけから計算された正味の努力であります。
日本はエネルギー効率追求の世界的主導国として、この野心的な中期排出量削減目標と共に、新たな枠組みで責任を共有する発展途上国に対し、技術支援の供与に向けて最大限の支援を提供するでしょう。
この中期目標を詳しく説明する事により、日本は主要経済国フォーラム(MEF)及びCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)において、全ての国が参加する枠組み合意に向け主導的な役割を演じるつもりであります。
G8はポスト京都合意に到達するために、どのような役割を演じられるでしょうか?貴方はG8プロセスと主要経済国会合(MEM)との関係を、どのように見ているのでしょうか?
世界的に大規模な排出量削減を成し遂げるためにG8は国際的な努力を導き、主要経済国にそれぞれの責任と能力に応じた行動を起こすよう求める事が必要となるでしょう。昨年日本が議長国を勤めた北海道の洞爺湖サミットにおいて、2050年までに排出量の少なくとも50%削減を成し遂げるとした長期目標にG8は合意しています。今年のサミットに於いて、これらの結果をCOP15へと結びつける必要があるでしょう。
私はMEFプロセスとともに、全ての主要経済国が責任を持って参加できる公平かつ効果的な枠組みを2012年以降に設立するため、今年12月のCOP15において広範な合意に達するべく昨年の洞爺湖声明を超えた強いメッセージを明確に述べたいと望んでおります。具体的に申しますなら、発展途上国向けに革新的な技術開発と援助のような分野に於いて、G8がリーダーシップを発揮する事を望んでおります。
気候変動の問題は世界的な対応を必要とするものであり、G8だけで解決できる問題ではありません。主要発展途上国の行動と2012年以降の枠組みへと彼らが責任を持って参加することは、世界的な排出量削減の努力にとって不可欠な物であります。COP15への下準備となる交渉プロセスを前進させるための力強い政治的潮流を発生させ、さらに主要経済国首脳間の緊密な議論の場を提供する点において、MEFが非常に重要であると私は考えております。
このような対話を通じ、世界的な排出量削減に向けた責任を遂行する政治的意志と能力が存在する事を、主要経済国は強力に示す事となるでしょう。私はMEFプロセスを通じ主要発展途上国とその他の国と我々の対話を強化し、G8が核となって幅広い国際協調に向けて進む事を望んでおります。
経済拡大のために最大の景気刺激策がこれまでに実行されてますが、これを考慮に入れた上で世界第二位の日本経済の発達について、貴方はどのように今後数ヶ月を予想しますか?
過酷な経済状況が日本の、特に雇用情勢に集中し暫くの間継続しておりました。我が国の輸出高と製造高は外部の経済状況改善の結果、3月から5月の3ヶ月間連続で増加しており、多少の業種で回復の方向へと向っております。経済の下降リスクは未だに残っておりますが、在庫調整に対する圧力の顕著な縮小と、計画の範囲で合計約130兆円(約1兆ユーロ)に及ぶいくつかの経済対策によって経済は支えられており、したがって経済は回復に向うと我々は考えております。
世界的な経済危機に対し、IMFのような国際的金融機関が取った対応をどのように評価しますか?このような機関が今後取りうる措置、例えば非常財政措置からの出口戦略などに対する見解をお願いします。
IMFや他の国際的金融機関は経済危機を克服するにあたり、重要な役割を演じていると考えています。特にウクライナ、ハンガリー、アイスランド、そしてパキスタンなど、今回の危機によって国際収支が困難な状態に陥った加盟国に対し、迅速かつ柔軟な援助をIMFは実施しておりました。私はこれを非常に高く評価しております。
国際的金融機関の財政基盤強化を忠実に進める事が、G20のロンドンサミットで合意されたように必要だと考えております。日本はIMFに対する1000億ドルのローンを、昨年12月のワシントンDCで開催されたG20サミットにおいて発表しました。その後、IMFの早期警戒機能の強化を含む改革とともに、着実に前進するために必要な協力を様々な国が実施しており、これによって将来の危機防止に役立つことになるでしょう。
国連安保理が最近採択した決議1874号とその意味をどのように考えてますでしょうか?
北東アジアと国際社会の平和と安全を徐々に蝕み、核拡散防止態勢への重大な挑戦を意味する北朝鮮の核実験は、どのような形であれ許容する事は出来ません。
6月12日に満場一致で採択された国連安保理決議1874号は、武器輸送防止、貨物検査、金融処置及びその他の分野に於ける強硬措置を含んでおります。これは挑発的行動が自身を損なう結果に終わるだけだと北朝鮮にはっきりと知らしめるための、断固たる決議であると私は考えております。
この決議の最大限の効力を発揮するために、国連加盟各国が決議に基づく措置を着実に実行する事が重要でしょう。日本も国内の法的枠組みの整備も含め、可能な限り迅速かつ適切な対応を行うつもりです。
加えて、国際社会の強い意志を北朝鮮が真摯に受け止め、様々な問題を解決すべく具体的措置をとるよう、日本は国際社会と協同して取り組むつもりであります。
行き詰っているように見える拉致問題解決交渉。これをどのように前進させるつもりなのでしょうか?
拉致問題は13歳の女の子を含む17人の日本人が、その後どうなるのか解らないままに強制的に誘拐された、非常に非人道的な事件であります。拉致問題は日本の主権と日本国民の生命の安全性に関わる重要な問題であります。さらに、これは重大な人権侵害であり、国民を同様に拉致された国の問題ではなく日本単独の問題でもありません。私達がこの問題の早期解決の実現を目指すことは、絶対に避けて通れないでしょう。
昨年8月に開かれた日朝実務者レベル協議に於いて、拉致被害者の完全調査を開始すると北朝鮮は誓約しております。日本側も北朝鮮が調査委員会を始動させ調査を実施するならば、人々とチャーター便の行き来を制限している規制を解除する用意があると発表いたしました。
しかし、北朝鮮は調査開始の延期を昨年9月に日本へと連絡してきました。日朝実務者レベル協議で合意した方針を実行する事に、日本側は何の変更も加えなかったにも拘らずです。北朝鮮が誓約を確認し、実効的な調査を早期に実施する事をもう一度強く要求したい。
加えて、拉致問題を含む北朝鮮に於ける全般的な人権状況は、極めて深刻な状況と言えます。北朝鮮は改革を要求する国際社会の声を完全に無視し、国連との協調を拒絶し続けております。今年のG8サミットに於いても、改革を必要としている拉致問題を含む北朝鮮の人権状況について、明確なメッセージを送りたいと私は考えております。
イランの核保有の野心に対し、どう対処するのが最善でしょうか?
世界中のエネルギー供給に重大な影響がある中東の安定性確保の必要性と同様に、北朝鮮の核問題と密接に関連するイランの核問題を国際社会が協力して扱い、国際的核拡散防止体制を断固として維持する事が必要であると日本では認識されております。
イランが関連する国連安保理決議に従ってウラン濃縮と再処理活動及び重水炉関連計画を停止し、問題の解決に向けて平和的かつ外交的な交渉を再開する事を日本は強く望んでいます。一方、関連する国連安保理決議の要求を実行する事も重要ですが、これらの要求を満たすようイランに要求し奨励し続ける事も重要でしょう。私自身も含む日本政府は、これらの要求を高水準で満たすようイランに要求し奨励していきます。
日本とイタリアは貿易や観光旅行、そして文化などを含むあらゆるレベルでの協調関係を発展させてきました。二国間の相互関係をこれからどのように強化出来ると考えておられますか?首相がアニメのような大衆文化に、非常に興味を持っていることを聞き及んでいます。最近、和食を含む日本に対する関心がイタリアで高まっていますが、より多くの日本文化をイタリアに伝える事が良い考えだと思いますか?
日本人はイタリアが大好きです。日本で売っている外国の旗の中で、一番売れているのがイタリア国旗だと聞いた事があります。日本に興味を持つイタリアの方が増えているのなら、是非とも更に多くのイタリアの方に日本を訪問していただき、『本当』の日本を理解していただきたいですね。人的交流こそが相互関係強化の基盤ですから。
同様の理由で、まず人々に日本と触れてもらう事が必要だと考えております。サミットに参加するためにイタリアに訪問した事を利用して、7月7日の夜、ローマで開催されるイベントに出席いたします。このイベントで、ローマの人々に日本の大衆文化と食品を紹介する、直接的な広報活動を行うでしょう。私は日本のアニメ文化を、世界で通用する一種の現代文化と考えております。
その上、私がこれまで一番会っているヨーロッパの指導者は、ベルルスコーニ首相です。日本国首相とイタリア首相の緊密な関係を利用する事により、昨年のG8議長国と今年のG8議長国が共にラクイラサミットを成功へと導くことでしょう。同時に、日本とイタリアが手を携えて様々な国際的問題に取り組むことによって、我々の相互関係が強化されるだろうと私は考えます。
数ヶ月以内に総選挙を行わなければなりませんね。日本経済が回復の兆しを見せているのですが、いつ解散総選挙を行うべきかを決定するにあたり、どのような要因を考慮に入れるのでしょうか?
衆議院議員の任期が9月までに終わりますので、遅くともそれまでに総選挙を行う必要があります。
私は昨年9月に首相になって以来、世界中を同時に打ちのめした深刻な景気停滞から日本人の日常生活を守るための処置に、最大限の努力を捧げてまいりました。
ようやくのことで、経済に明るい兆しが見えてきました。また、国会で審議される多数の重要法案の可決にも成功してきました。したがって、時期を見て衆議院を解散させたいと思います。
第二次大戦の終戦以来、最悪の不況の下、経済を復活させようと努力してきた貴方を、有権者達がどのように評価すると思いますか?
政府は当面の課題として景気回復を最優先としてきました。四回にわたる経済対策は過酷な経済危機及び金融危機と戦うために、昨年8月から考案されております。我々は対策法案の迅速な実施に全てを捧げてまいりました。これらの対策費用は国家支出のうち合計26兆円(約2000億ユーロ)に達し、総事業規模は約130兆円(約1兆ユーロ)となり、過去に全く類例が無いものであります。
これらの対策の中には、例えば中小及び零細企業へのキャッシュフロー支援、固定給の実現、就業支援の拡大、高速道路料金の劇的な値下げ、『エコカー』購入に対する助成金、親環境・省エネルギー商品購入の見返りに若干の商品と交換できる『エコポイント』利用の促進など、景気の底割れを防ぎ内需による経済成長を促進する政策が盛り込まれております。
このような経済対策を実施する事により、景気の底割れを防ぎ日本人の心の安全を確実にし、将来に於ける成長能力を強化して自立した内需主体の景気回復を促進したいと考えております。有権者がこれら全てをどう評価するについては、有権者自身の判断に任せたいと思います。
カトリック初の日本国首相として、7月のイタリア滞在期間中にバチカン市国を訪問する予定はありますか?
今回、私は日本とバチカンの関係を強化するためにバチカンを訪問させていただきます。もちろん、カトリックとしてこの訪問を楽しみにしております。バチカンへの訪問は10年前の小渕首相の訪問以来、初めての事になりますね。
(*)インタビューはANSA東京通信員であるAntonio Fatigusoによって行われた。
ふー、なんとか今日中に間に合った。
G8のためにイタリアに到着したタロサに対する地元メディアのインタビューの訳文となります。例によって下手くそだとは思いますが、ご笑覧して頂けると幸い。
訳すだけで力尽きてるんでこれ以上の論評は読者の皆様にお任せいたしますが、訳しててここだけはちょっと感動しました。
有権者がこれら全てをどう評価するについては、有権者自身の判断に任せたいと思います。やるだけの事はやった、後は国民の判断を信じるというこの姿勢。これに応えなきゃなと思います。日本人が利口なのか愚かなのか、次の選挙で一つの解答が出る事となります。その点を忘れずに、選挙権持ってる方は忘れずに投票お願いします。
それにしても…日本のメディアがこういう記事ちゃんと翻訳して載せてくれれば、私みたいな素人がヒーコラ言いながら下手な翻訳晒すことも無いんですけどねぇ…
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1 ■無題
麻生首相の発言内容、非常にいいですね。
読みごたえがありました。
猫車サマ、ありがとうございます。
マスコミよ、頼むから、これを記事にしてくれ…。
どうでもいいことですが
ANSA記者の質問で、
>日本とイタリアは貿易や「韓国旅行」、そして文化などを含むあらゆるレベルでの…
とあるのは、どういう意図なのか? と思いました。