第二十四回『有村武くん』(作家コース)
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高田:本日は有村くんに来ていただきました。先ほど、教室の後ろでパソコンをいじっておられましたが、あれは何をされてたんですか?
有村:この前、撮影した映画の事でちょっと確認事項がありまして。
高田:なるほど、それでモニターに映像が流れていたんですね。それではさっそく本題に入らせてもらいます。まず作劇塾 を知ったきっかけを教えてください。
有村:僕は元々、専門学校で映像を学んでいたんですが、卒業してから三、四年、映像関連の事を何もしない日々が続いていたんです。また何かやってみたいなと思ったので、ネットでそういう事を検索しているうちに、偶然、中山先生のブログ を見つけ、それで塾の存在を知りました。塾長ブログ を読んでいるうちに、興味を惹かれたので五月末頃、見学に来させてもらったんです。
高田:何の授業でしたか?
有村:小説の合評の授業でしたね。みなさん、いろんな意見をおっしゃるので面白そうな場所だなと思いました。それで、その翌月に入塾して現在に至るという流れですね。月単位の受講システムも自分に合っていると思いました。
高田:いざ入られてみてどうでしたか?
有村:バイト生活が結構続いていたので、塾に来ると刺激がもらえて、それが嬉しかったですね。やっぱり自分はクリエイティブな事が好きなのが再確認できました。
高田:塾生の人たちの印象をお聞かせ下さい。
有村:いろんな事を知っているなと思いました。やっぱり中山先生の教えを受けているだけあって、たくさん映画を見ていたり本を読んでいたり、自分の知らない世界を知っている方が多かったので、話を聞いているだけで為になりましたね。
高田:塾に入った直後から、飲み会の場でよく有村くんと顔を合わせていた気がするんですが。
有村:飲み会は非常に勉強になるんですよ。話しが上手い方もおられるので、例えば相手を楽しませる話術とか、そういうのをこっそり観察しながら、学んだりもできますからね。
高田:一度、塾長宅で有村くんとカマレンジャー が監督した各々の作品を上映した事がありましたけど、あれも確か飲み会の場で、今度やろうかみたいなノリになって実現した話でしたよね。
有村:はい。まさかああいう事になろうとは思ってませんでしたけどね。
高田:今までに見た映画で、印象に残っている作品を教えて下さい。
有村:『ポンヌフの恋人』ですね。
高田:どういった所に惹かれたのかを教えていただけますか?
有村:最悪の環境で生きている、自堕落な薄汚い男の愛を描いている話なんですが、フランスならではというか、気恥ずかしいくらいの演出の仕方で男を生き生きとさせているんですよ。あとは見ていて胸が締め付けられるような、ギスギスしたストーリー展開も良かったです。
高田:塾長宅で上映した映画には、芸人さんが出ていらっしゃいましたが、あれは直接交渉したんですか?
有村:彼らは友人なんですよ。作劇塾でも、あのように横の繋がりを使ってコラボできたらいいですね。
高田:映画を撮影する上で、自覚されている弱点があれば教えてもらえますか?
有村:ストーリーですね。ストーリーを考える力がまだまだ弱いので、今後はそこを克服していけたらなと思います。小説の授業に出ていると、みなさんいろんなお話を考えてこられるので、読んで合評の授業に参加するだけで得るものがたくさんありますね。
高田:七月、八月と十人を越える塾生が映画撮影に臨んでいましたが、有村君はその約半分の撮影を担当されたとお聞きしましたが。
有村:僕自身、ブランクが長かったので早く感覚を取り戻したいというのがありました。それで、こっちから「使ってもらえませんか?」とお願いしたんです。
高田:感覚を取り戻す事はできましたか?
有村:そうですね。やっているうちに段々と戻ってきました。
高田:つい最近、ご自分が一分映画で監督を務められたそうですが、その時の撮影について聞かせて下さい。
有村:監督を務めるのは卒業制作以来だったんですけど、やっぱり撮影しているとアドレナリンが出るんですよ。「生きている」という実感があっていいですね。
高田:撮影されたのはオリジナルの映画ですか?
有村:いえ、山田誠二監督の書かれた1分映画の脚本を、映画化するというものです。上映会がまだなので反応はわかりませんが、全力は尽くせたと思っています。
高田:そういえば、八月は塾長の怪談イベントで撮影を担当されていましたよね。
有村:はい。イベントを撮った事はなかったので、スキルアップになるかなと思い、お手伝いさせて下さいとお願いしたら、快く了承していただけました。こういう現場実践を体験できるのは、作劇塾ならではだと思います。これはあくまで僕の希望という事ですが、今後はイベントの演出とかにも関わらせていただけたらなと、思います。
高田:ストロベリーソングオーケストラ さんと塾長のコラボイベントでは、撮影中に怖い思いをされたとか。
有村:ええ、まあ中山先生のファンの方だったら、よく知っている話なんですが、『新耳袋』第四夜に収録されている『八甲田山』話を、先生が舞台でお話されていたんです。
高田:新耳袋の中でも“最恐”の部類に入るのではないかと、言われている話ですよね。
有村:まずお客さんが塾長に「八甲田山の話を聞かせて下さい」とおっしゃったんです。僕も新耳袋に書かれている程度の事は知っていましたが、あれって第四夜に全てが書かれている訳ではなくて、実はタブーとされている部分があるというのは、他の塾生の人から聞いていたので、実は内心ワクワクしていたんです。
高田:ではその場で初めて、全てを聞いたという事ですか?
有村:はい。しかしですね。先生の話を聞いているうちに、僕の両足が痺れてきたんです。はじめは気のせいだろうという感じだったんですが、今度は段々と足が冷えてきたんですよ。話の中で足を凍傷で失った日本兵の幽霊がやってきて「わしはこいつの右足が欲しい」という所があるんですけど、その台詞を先生が口にした瞬間、ああそういう事かと。足が冷たくなった理由がわかって、背筋が凍りました。しかも、耳元で誰かの唸り声が聞こえるし……。
高田:会場にいるお客さんの声とかではなく?
有村:周囲を確認しましたけど、それらしき人はいなかったですね。その後すぐにちゃんと撮影できていたかを確認しようと、カメラの再生ボタンを押したらテープが勝手に止まってしまい、電源が勝手に落ちるというトラブルもありました。あまりああいう事ってないんですけどね。
高田:あの話を記録に残して、他の人にそれを伝えようとすると、機材トラブルなど様々な理由で伝えられないというのは、以前から塾長から聞いていましたが、直接こういう事をお聞きすると、改めて信憑性の高い話だと思いますね。
有村:武層新木朗さん も同じような目にあったという話を後から聞きました。
高田:最後に今後の目標を教えて下さい。
有村:身近なところでは、シナリオの合評(新耳袋をシナリオに直す授業)に課題を出す事ですね。それによって、自分の弱点であるストーリー面を強化できると思います。そして、できれば監督、脚本の両方を自分でできるようになりたいですね。
あと僕自身、落ち込んでいる時に映画を通して元気をもらえた経験があるので、今度は逆に、自分が作った作品で誰かを励ます事ができたらいいなと思います。
※昨日(9月16日)有村君からメールがありまして、八甲田山の話を収録したテープを、改めて自宅のパソコンに取り込んで作業をしようとしたところ、パソコンがフリーズしたそうです。買って間もないパソコンなので、今までそういう事はなかったようですが……。
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