洗濯機の上の盛り上がったシートに飛び乗ったチビポン。
何故、そんなにギューギューと押しているのかと思ったら、
どうやらチビポンはママがシートの中に入っているのを知っていた様子。
シートに潜り込んで遊ばないようにタライをかぶせておきました。
でも、シマポンママはちょっと睨んでいますね。
チビポンがドサンと飛び乗りました。
ママは何事が起こったのかと一旦飛び出しましたが・・・、
それがチビポンの仕業だと分かると猫パンチ。
それにしても、このところ、チビポンの無言の攻撃が続いているような・・・。
きっと、チビポンにも不満があるんでしょうね。仲良くしてくださいな。
シマポンママとクロちゃんは今もわだかまりがあるようで・・・、
ママはクロちゃんに対して、どんな時にも警戒を解きません。
まあ、ここはシマポン親子に開放している部屋なので
当然かもしれませんが・・・、
勿論、クロちゃんは無視していますが・・・。
そうそう、今はクレマチスの花がきれいに咲いています。
ナデシコの花も綺麗ですよ。
花といえばもんちゃんはすっかりブーゲンビリアが気に入ったようですが、
めっちゃ君は全然興味が無いようです。
ま、ブーゲンビリアは動かないし、食べられませんしね。
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というところで、今週の小説は、
「外来種」というお話。
4分で読める小説です。
少しお時間のある方はぜひ読んでいってくださいね。
【 外来種 】 ※ この物語はフィクションです。
「今回、こちらに伺いましたのは、先に伝えましたワクト・プラバ第二星系条約に基づき、新たに判明した外来種の駆除について承認を頂きたかったからです」
扇風機のような平顔のパラスカス星人が国連総長に対して、独特の胴体ピストン運動を繰り返しながらそう告げた。
「分かっておられるとは思いますが、ここで言う外来種とはアライグマのように地球上を移動する生物ではなく、他の星系からもたらされた生物、もしくは異星人によって遺伝子操作された生物を指します」
「銀河連盟1等外務官の方にこんな辺境の惑星までお越し頂き、痛み入ります。勿論地球政府は連盟のご意向に従う所存です」
ボハンギ国連総長は、笑顔を絶やさず、かといって卑屈に見られないよう気を使いながら連盟からの使者に対してそう答えた。イギリスや中国・ロシアなど、会議室にいる10数人の国連大使もボハンギの言葉に逐一大きく頷いて激しく同意している。
『茶番劇だな。初めから逆らえるはずもない』
会議室の国連大使達に紅茶を運びながら俺はそう思った。
2087年、ワシントン上空に飛来した4隻の巨大UFOに、パニックになったアメリカが攻撃をしかけて滅ぼされた。その際のUFOからの反撃が極めて激烈で、太平洋と大西洋が繋がり、当時のアメリカはアラスカ共和国、ロッキー諸島、ハワイ共和国を残すだけだ。
アメリカと同盟国であったイギリスや、俺の故郷の日本は、ためらっているうちに、決着が付いたので助かったといえる。
この攻撃により世界は沈黙し、ニューギニアのポートモレスビーに移された国連が、使者を迎え入れて失礼を詫たことで、地球は連盟の末席に加えてもらうことができた。(国連が、ロンドンやパリ、東京ではなくポートモレスビーを選んだのは混乱を最小限に抑えるため)以来100年間、地球人は連盟の指導の元、観光を生業として細々と生きている。
「我々は10年前、外来種が持ち込まれたことで一時大混乱になった経験がありますからね。銀河連盟が外来種を駆逐してくださるのは大歓迎と言えます」
「そう、ボグタ星の観光客が持ち込んだパラサイト・スライム。あれは酷かった」
ボハンギ国連総長の言葉にフランス大使が頷いた。
パラサイト・スライムは沼の星・ラウンに住むアメーバー状の生き物で、悪魔のスライムと言われている。触れると一瞬で対象の生物を包み込み、体内に浸透するのだ。やがてその生物は遺伝子を書き換えられ、知覚器官のある頭だけを残し、首から下はスライムになる。今でもパソコンの写真サイトには『閲覧注意』と付いた画像が数多く残されている。
この化物を連盟の専門チームが地球上から一掃してくれたのだ。余談だが地球にスライムを持ち込んだボグタの若者は自身がスライム化されラウンで終身刑にされているそうだ。
「で、駆除を予定されているのは、どのような動植物が対象なのでしょうか?」
「まず一つは、地球人がカモノハシと呼んでいる生物です」
パラスカス星の外務官は壁面に写真とDNA解析表を映し出した。
「カモノハシ? カモノハシなら地球に昔からいる生物ですが・・・」
訂正を試みたオーストラリア大使に対し、連盟の外務官はますます胴体ピストン運動を強めながらその発言を打ち消した。
「カモノハシには進化の過程の化石が一切見つかっていないのではないですか? しかもそのDNAには爬虫類、鳥類、哺乳類の系統が全て入っています。(事実です)不思議に思われたことはないですか?」
「そういえば奇妙な生物ではあるな。鶏と同じように肛門・尿道・生殖口が一つになっている単孔類だし、性染色体が5対もあるし・・・(事実です)」
「あれは140万年前に連盟に属さないタミラス星の科学者が、この星で行った実験によって誕生した生物なのです」
「しかしそうだとしても、カモノハシはすでに生態系に組み込まれている。これを排除するというのは、やりすぎではないのですか?」
諦めきれないオーストラリア大使の言葉に、数人の大使が賛意を示したが、連盟の外務官は容赦なかった。
「地球には強力なウイルス・ベクターがいます。このウイルスは対象の生物のDNAを別の生物に転写する能力を持っています。千年や1万年といった単位では、さほど問題はありませんが、長い目で見るとその星にいる全ての生物に影響を与えるのです」
「そ、それはそうかもしれませんが、すでに140万年も経っているのに・・・」
オーストラリア大使はギュッと唇を噛んだ。
「で、もう一つの生物とは?」
国連総長の質問に対し、パラスカス星の外務官は居並ぶ大使達を順番に指さした。
「え、我々人類ですか?」
「バ、バカな!」
「140万年前、あなた方が“ホモ・ハビリス”と呼ぶ霊長類の一種にタミラス星の科学者は、自分達のDNAの一部を移植しました。古い記録によれば宇宙船の事故で故郷に帰れなくなった寂しさを紛らわすために行ったとされています。こうした記録が最近の調査で明らかになったことで、連盟としてもワクト・プラバ第二星系条約を履行しなければならなくなったのです」
パラスカス星の外務官は冷徹に言い放った。
「ホモ・ハビリスの中から人為的に作られた知性ある種こそがホモ・エルガステルであり、それがホモ・サピエンスに繋がったと我々は見ています。ライフサイクルが極めて短いウイルス等は別ですが、ライフサイクル10年以上の動物では、自然にこのような急速な進化をした例がありません」
「少し遺伝子が入ったというだけで、我々地球人を抹殺すると言われるのか!」
中国の大使が激昂した。
「抹殺するとは言っていません。地球の生態系を守るため、人工惑星に移って頂こうと考えています。あなた達は去勢され外部とは隔絶されますが、食料や娯楽施設を与えられ、最後の一人が死ぬまで安楽に暮らしていけます」
俺は、日本における[特定外来生物による生態系等に係わる被害防止に関する法律]によって、隔離されている交雑種の施設を思い浮かべた。
「もし我々が隔離を拒否したら?」
「残念ながら実力行使となります。その場合は全ての国がアメリカのようになるでしょう」
「生態系を守ると言いながら陸地をなくしたら人間以外の生物も絶滅するではないか!」
イギリスの大使がテーブルを叩いた。
「地上の生物は多かれ少なかれ毒されています。特に人間の近くにいる動物はウイルス・ベクターの悪戯により、まるで人の様な行動を取るようになっています。拒否された場合は、海洋生物だけを助ける予定です」
パラスカス星の外務官の言葉によって、俺は実家にいるオッサン臭くなったシロを思い出した。
「いかんせん、我々に勝ち目はありません。やつらには重力砲があって、狙ったプレートを千メートル沈下させることができるんですよ。ここは他の生物を守る為、人間が犠牲になるしか無いのではないでしょうか」
一人の大使が弱気なことを言った。
「ありえん! 我が国は断じて自国を守るぞ!」
それは勿論、どの大使もできればそうしたいと考えているだろう。
「ではあなたは、どうやって彼らと戦うんです? アメリカが3分で消滅したというのに」
そう言われると、大使達全員が押し黙った。そんな中、
「拒否します!」
俺は思わず大声を上げていた。
「君は誰だ? ボーイか。何の権限があって勝手な事を言っているんだ。退出しなさい」
国連事務総長がガードマンを呼んだ。
「俺は、ここでアルバイトをしている国連大学の学生で、銀河連盟法を学んでいる者です。連盟法ではこういった場合、加盟惑星が異議を唱えて裁判を起こす権利を有しています」
「何、そんなことができるのか?」
大使達がいっせいにパラスカス星人を見ると、俺の発言を聞いた外務官は天井にも届くかと思われる程の胴体ピストン運動を繰り返していた。それは誰の目にも動揺しているように見えた。
「君、裁判になると勝てる確率は?」
大使達の目が今度は俺に突き刺さる。
「正直に言えば、ワクト・プラバ第二星系条約はかなり重要な条約ですので、このままではまず勝てません。ですが、連盟での裁判は長引くのです。地球時間で言えば数百年は続きます。その間に・・・」
「なるほど。我々も反陽子爆弾等を開発して、やつらに対し恫喝外交をやるのですな」
どこかの大使が言った。
「いえその逆です。数百年の間に様々な星系と交流し、味方を増やしていくのです。そしてあらゆる惑星の知的生命体が様々な要因で繋がってきたことを証明し、地球人にのみ向けられた不当な扱いを訴えていけば、やがて未来が見えてくるはずです」
「それで行こう!」
国連総長のボハンギが力強く俺の肩を叩いた。
パラスカス星人はと見ると、天井に頭をぶつけて泡を吹いていた。
( おしまい )
どのような感想も歓迎いたします。(^▽^)
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