2010年04月03日(土)

ベアリングの許容荷重(1) ヘルツの接触応力

テーマ:Mech-Bearing
ベアリングの潤滑 の続きでもあるのですが、BBのベアリングで油膜が切れる(切れそう)なのか、結構余裕があるのか、ちょっと気になっていました。油膜厚さについては、色々と仮定をおけばExcelなんかでも計算できる程度に代数式が確立されています。
ちょっと気になって、計算してみたのですが、まずは、必要な理論をちょっと紹介します。

ヘルツの弾性接触理論
19世紀にヘルツさんが提唱したらしい理論で、平面と球、球と球といった単純な(=接触する物体同士の形状が半径Rで指定できる、平面の場合はR無限大ということで取り扱える)形状同士の接触について、解析したもの。

ちなみに、弾性というのは、材料が、荷重(応力)がゼロに戻ると変形(ひずみ)がゼロに戻るということです。
鉄の板を、少し曲げても力を抜けば元に戻りますよね?これが弾性変形。
大きく曲げてしまうと、力を抜いても曲がりが残りますよね。これは塑性変形といいます。

大学で使った教科書のどこかにこのヘルツの理論も出ていたと思うのですが、ほとんどを職場に持って行っていて手元にないのです。なので、自分も理解があやふやですが、基本的には、次のような仮定をおいているようです。
・接触面が微小につぶれて平面となる。
・接触面は円形もしくは楕円形となる。(←これあまり自信なし。ネットで見ると、圧力分布を仮定しているとの説明が多い。しかし圧力分布の前に圧力が分布する形状を仮定する必要がありそうな気がするのだが。。)

自転車は力学だ。-ヘルツ接触

このヘルツの理論で導かれた公式を使うと、球のR、材料物性(ヤング率)、荷重から、接触面の大きさと、接触圧力の分布や、中央の一番接触圧が高いところ(これをヘルツの最大接触圧と呼びます)の圧力が求まります。
接触圧が材料の弾性限度を超えると、塑性変形を起こして、要は接触したところが凹んで元に戻らなくなります。ボールベアリングのボールが凹んだら、ガタになりますので、もうお終いです。
この観点から、形状(球のR)と荷重に対して、最大接触圧がどの程度になるかを計算して、これが弾性変形の範囲内であるかどうかを検討できることは非常に重要なのです。

小手調べに、簡単な計算をやってみましょう。
BB(久しぶりの自転車用語。ボトムブラケットね)のベアリングは、Hollowtech2の場合、ボールの直径がだいたい3mmか4mmくらいのようです。
球の直径4mmと、また比較用に倍の8mmものを対象に、ちょうど上の図のように、玉と平板の接触の状態で、荷重に対してヘルツの最大接触圧を計算しました。
すると、こんなグラフが得られました。

自転車は力学だ。-ボール平板接触応力

面白いのは、荷重が倍になっても、最大接触圧は倍にはならないことです。(こういうのを、非線形といいます。)
また、ボール径が大きいほど、同じ荷重に対しては接触圧が下がることがわかります。
このことから、デカイ(玉が大きい)ベアリングの方が、許容荷重が大きいことが説明できます。

ボールベアリングには、静定格荷重というものがあります。
これは、ボールとレースが前述の塑性変形を起こさないぎりぎりの荷重です。
鉄系の材料のボールであれば、ベアリングの大きさには関係なく、4.2GPaとされています。(JISおよびISO規格)
上のグラフを見ると、最大圧力(縦軸)が4.2GPaとなるのは、4mmのボールでだいたい150N、8mmのボールでだいたい500Nであることが分かります。

実際のボールベアリングは、玉が複数入っていて、また玉と接触するレースは平板ではないですので、この荷重がそのままベアリングの静定格荷重ではありません。
Hollowtech2のBBベアリングは、#6805というやつで、これの静定格荷重は、2950Nとなっています。
約300kgfですね。

(続く)

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