深いスギ林の中で湾曲した巨木に出くわした。あたりを見渡すと、失敗作の盆栽を思わせる木が、そこかしこに生えていた。不規則に曲がりくねる枝が、季節はずれの雪化粧をして晴れ間に浮かび上がると、不思議な世界が広がった。その姿は、もがき苦しみ地中から出てきた化け物の手のようにも見えた。

 “巨大な悪魔”の正体は「シダレグリ」。長野県辰野(たつの)町小野の天狗原(てんぐはら)にある標高950~1200メートルの斜面、3・4ヘクタールに大小1千本以上が自生している。クリが突然変異して幹や枝の成長の過程が変化、奇妙な形に育つようになったものだ。

 普通、植物は日光を多く得るため上や外側に向かって育ち、日陰になる下の枝は枯れていく。しかし、シダレグリは地面に向かって垂れる性質も持っている。さらに、高い所にある先端の枝や芽が枯れ、横に伸びる枝が育つというひねくれ者。これが繰り返されて屈曲したユニークな姿ができあがる。

 枝が曲がる原理は、芽を剪定(せんてい)して枝の形を自由自在に整える盆栽作りと同じだった。

 大正9年、国の天然記念物に指定されたが、肝心の栗の実は小さくて食べられない。あまりにも奇異な風貌(ふうぼう)から、土地の人も手を出さなかったため繁殖できたとされている。

 はじめは不気味に感じた巨木群も、実は「自然の不思議」が作り上げた「天然の盆栽」だった。そうと分かれば印象は一変。巨大な悪魔は、急にへんてこでかわいらしい「癒やし系」に見えてきた。(写真報道局 桐山弘太)

 「探訪」の動画は「YouTube」http://www.youtube.com/sankeinews/でご覧になれます。

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