2008-09-14 23:45:14

永島慎二という青春があった。

テーマ:本のこと
私の敬愛する永島慎二氏の代表作のひとつ、『黄色い涙(若者たち)』が映画化されると聞いたのは、他でもない永島邸でのことだった。一昨年6月、いつもの初夏の挨拶に、田舎から送られてきたさくらんぼを手土産に、お邪魔した時のことだ。

この習慣は私たち夫婦が永島御夫妻に「婚姻届の証人」となっていただいて(いわば、紙の上だけとはいえ、仲人をお願いしたのだ)以来毎年のことで、それは永島氏が亡くなられてからも、続いている。

その折に奥様が嬉しそうに見せてくださったのが、永島氏のお孫さんと奥様と、嵐のメンバー数人とが写った写真だった。

「来年の春ね、嵐のみなさんの主演で映画になるのよ! 犬童一心監督なの」

胸が熱くなった。映画になる。ことに嵐が主演となれば、より沢山の人が見てくれるだろう。きっと、本も復刻されるに違いない。亡くなって2年目に、永島慎二の名前がまた、人の心に甦るだろう、と。

3冊の黄色い涙そして、その年にマガジンハウスという大手出版社から、新しい装幀で、『黄色い涙』が復刻された。
既に持っている漫画であっても、装幀が変われば欲しくなるのはファンのサガ……なのだが、この本は、期待以上の「本当の復刻版」と言える仕上がりだった。


復刻というからには、原本があるのだが、この場合はかつて『若者たち』のタイトルで最初に出された本ではなく……青林堂から76年に出された、つまり『黄色い涙』のタイトルでNHK銀河テレビ小説で放映された2年あとに出版されたものが原本だ。

黄色い涙・口絵
この本は巻頭にNHK銀河テレビ小説の画面と、タイトルロール用に永島氏が描き下ろした登場人物たちの絵があり、巻末には当時の関係者による文章が寄せられていて、映像化の記念というべきものだった。

さらにもう一冊、忘れてはならない『黄色い涙』がある。
銀河テレビ小説版の脚本が書籍化されたもので、青林堂の8年後に出版されている。
巻末、当時を振り返る市川森一のあとがきがまた、いい。


そして今回のこの本も……巻末に当時、そして今回の関係者が、それぞれの思いを連ねている。
犬堂一心監督は、思春期にこのTV作品に出会い、永島慎二作品にふれたという。

「俺は『黄色い涙』をずっと映画にしたかった」
「テレビ版でタイトルバックの絵を永島さんが描いてるんですよ。だから、僕が『黄色い涙』をやるんだったら、新しいバージョンのキャストを描いてもらいたかったんですよ」


熱く語る。この人が作るんだったら、安心して世界に入ってゆける、そう感じた。

そして、かつて主人公の「栄介」を演じた森本レオと、新しい「栄介」、二宮和也の対談がいい。
たしかに「嵐」はアイドルなんだけど、真剣に「アイドル」という位置で仕事をしていて、歌だったり、芝居だったり、真剣で淀みがないように感じる。
(それは『硫黄島からの手紙』のシーンからも伝わることなんだけど)

青林堂版の『黄色い涙』の巻末で、森本レオは永島作品にであった時の気持ちを語っている。
線路のそばの貸本屋で、永島さんのこんな意識の群れに出会った時、僕は困ってしまった。
「あ、おれがいる……」

それは、かつて私が私なりの苦しい心で過ごしていた十代の頃に、永島作品に感じた親近感と、同じものではなかったろうか?
こころにうずく、青春という名の甘い痛みが、永島作品からは流れていたような気がする。

在りし日の永島慎二氏



その、映画『黄色い涙』については、また別の項で書こうと思う。



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