なんで、ナリを嫌いになれないんだろ?
あんなことがあったのに、ハルはまだナリを愛している・・・
「今、向こうで彼女と一緒に住んでる。」
「彼女の声が聴きたいから電話をするんだ!」
「1番大切なのは、ハルか彼女か今はわからん!」
「これから先、誰と生きていくか決めれない!」
「ハルとはもう別れたい、もう限界!」
こんなにひどいことを言われたのに…
言い合いの最中に、ナリはハルよりも彼女を選んだのに…
「ハルがあまりにもしつこい過ぎたから、俺も言い過ぎた。
ゴメンな。あの時、俺が言ったことは全部無しだから。
俺にはハルがいるから頑張れるし、ハルが1番大切だから…」
ナリはそう言って、罵倒を撤回してくれた。
でも、あの時聞いた言葉はナリの本心だってハルは思ってる。
心にも無いことを言葉にはしないと思うから…
そもそも、こんな罵倒を浴びた理由に、ハルのかなりのしつこいがあったから…
あれは、最悪② の翌日のこと。
2階で電話をしているナリの声に、ハルは階下から聞き耳をたてていた。
携帯をチェックすること、電話を盗み聞きすることはいけないコト。
頭ではそう理解してても、心が勝手に動いてしまう…
ナリの電話の相手は一緒に住んでいる彼女。
いつもより優しい口調で話すナリがいた。
会話の内容は仕事のこと、今日あったことを話していた。
その日の昼間に、ナリと一緒にPCを見にショップへ行った。
「PCを○○に頼まれてるから、いいのがあったら買っていく。」
○○とはナリの男の友人の名前。
ハルはナリの言葉を信じていた。
ナリの電話を盗み聞きするまでは…
「今日さ、PC見にいったんだけどいいのがなかったよ。」
ハルは思わず耳を疑った!
「えっ、なに?PCって○○さんに頼まれたんじゃないのっ!」
そして、ナリの会話を聞いているうちに、ハルは1段づつ階段を登っていった。
足音をたてずに、息を殺して…
「もうこれ以上登っちゃダメ!」
頭ではそう考えてるのに…
心臓が口から飛び出そうなくらい高鳴っていたのを覚えている。
ナリの楽しそうな声が大きく聞こえてくる。
2階の部屋のドアの前でハルは立ち止まっていた。
このドアを開けるか開けないべきか…
今、はっきりとは覚えてないけど、
ハルの中でプチっと何かかキレた瞬間、ドアを開けていた。
その後はまさに修羅場だった。