モゾ...

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 長靴を履いたら、中にクモがいて噛まれたの。
足がすごく腫れて、痛かったわ...

 小さい頃、近所のおばさんがこう言っていた姿が一瞬にして蘇ったのは、
バイク用のブーツを履き、ドアから出て2歩進んだときのことだった。
右足の指先でモゾモゾと蠢く得体の知れない何物かの動きをキャッチしたのだ。

 モゾ...「んっ? 」モゾモゾ...「 何なんだ?」モゾモゾモゾ...「 毒グモかっ?」。
草履以外の履物をあんなに素早く脱ぎ捨てたのは初めてだった。

 脱いだそのブーツを逆さまにしてトントンとやると、中からポトリと
転げ落ちたそいつはこっちに向かい、チョコボール並みの褐色ボディを
誇らしげにテカテカと光らせているではないか。

 そしてのんきに「コロコロリー」と鳴き始めた。求愛か?

 恐怖と恋愛の身体的反応は似ているらしい。
また、それら同士は錯覚しやすいので、初期のデートでジェットコースターや
お化け屋敷などに行けば「あれ? あたしドキドキしてる... これってもしかして...」
となるらしい。しかし、コオロギよ。オレには通用しないぞ。お前がオレに起こした
感情は恐怖以外の何ものでもない。

 こんなんでいいのか? 久しぶりの更新。

                    つづく


P. S.:コオロギに驚かされても、コオロキには驚かされないぞ。
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