グリップ

テーマ:
 昨日、サテライトのゲームがあった。
終了後、徒歩でスタジアムを後にした。

 出口で、5~6人の若い女性サポーターから「お疲れさまです!」
と言われたので、「あっ、お疲れさまです!」とオレ会釈。
そのとき、薄暗くなり始めて始めていたので頭にかけていた
サングラスが定位置にすぽっとハマった。

 「きゃっ!恥ずかしい... 」
そう思ったが、とびっきりの笑顔でごまかした。
多分、ごまかせてない。

 髪の毛が伸びてきて、グリップ力がなくなってきている結果だ。
暗くなったら、今度からはケースに入れて仕舞っておこう。

                    つづく
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メーテル

テーマ:
 静岡にいた頃。
イトーヨーカドーのすみやで、何を買うでもなくDVDをみていた。
「なっ、何だこれは?」という衝撃とともに耳に飛び込んできたのは、
揺らぐ裏声の、ジャンル分け不能な、何故か懐かしい曲だった。

 最後まで聴き入った。
聴き終わったあとも、そのインパクトの余韻に浸っていた。
そうこうしているうちに何曲も流れ、店員に問い合わせるタイミングを
逸してしまった。

 マンションに帰ったあと、ありとあらゆる視聴サイトにアクセス。
まだランキングの上位にきていなかったので、見つけるのに20分程要した。
名前は「元ちとせ」曲は「ワダツミの木」。しかし、何者なんだ?
そう思い Google で調べてみると、一度は美容師になろうとした奄美大島の
彼女のことを少し知ることができた。


 オレのパソコンには4000曲近く音楽が入っている。
しかし、このキャンプ中聞いていた曲は5割ぐらいが元ちとせだった。
何故だろう。

 新しいのに古い。古いのに古臭くない。 古くない。
母親の力強さの中に、少女のか弱さ。自然の匂いがするのに都会的。
満たされているのに寂しい。寂しいのに情熱溢れんばかり。何なんだ。
自己の中にあらゆるアンチテーゼを兼ね備えているこの歌姫の魅力が
分析不能。そして、それが魅力。

 元ちとせの唄を聴いていると、幼少の記憶が甦るとともに、
今後オレはどうなっていくんだろう...という二つの時間が喚起される。
聴いているオレは子供であり、親でもある。子孫であり、祖先である。


 そうか、何となく解ってきた。
このひとは連綿と続く歴史の流れのなかに自然に溶け込んでいるんだ。
時間や空間の座標で、点ではなく、線、面、いや立体で存在している。
だから曲のリリースのタイミングは関係なく、常に新鮮で懐かしい。
余計に解らなくなってきた。

 1/f 。
周波数だけでは説明し切れない元ちとせの魅力はこれからも注目だ。

                     つづく

↑誰だオレ?
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坊主アゲイン

テーマ:
 モードカットをキャンプに持ってくることを忘れた。
中途半端な長さの髪の毛に中途半端な寝癖がついている、
そんな頭になっていた。

 伸ばしてみるか。
ソフトモヒカンにでもしようかな。
ちょっとだけそう思った。その場合、ジェルも買わなきゃ。
いや、今回はよそう。仙台に帰って、いつでも坊主頭に戻せる
状況になってからじゃないと不安だ。
チアゴもソフトモヒカンだし。


 そこで、バリカンを借りた。
似顔絵が上手いとの評価が急上昇中のアイツに。
悪い方向へのデフォルメで似ているのは悔しい。
http://ameblo.jp/user_images/e0/4f/10004689579.jpg

 オレのとちょっとだけバージョンが違うモードカットだった。
ちなみにボルジェスも「ホワイトとブルーのヤツを買った」と
言っていたので、サッカー界でのシェアはかなりのものだと思う。

 ヒゲは長いまま残しとくかどうか迷ったものの、6mm にそろえた。
鼻毛も爪も切ったので、さっぱりオレの出来上がりだ。

 厳つい。
これが褒め言葉なら、今のオレは褒めちぎられている。


 水洗いしたモードカットは乾燥してから返却。
しかし、オーナーが「新商品」とか書かれているシールを貼ったままに
しているので、そこに短い毛がいっぱいくっついていて、どうなんだろう。

 彼のパソコンにはきっと「512MB」とか「60GB」とか「Bluetooth」
とか「Wireless LAN」とか「今売れています」とかのシールが貼られた
ままになっていると推測。

                    つづく
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中東の男達の秘密の集会

テーマ:
 サウジアラビア。
滅多に行けるところではないが、二回行く機会があった。

 そのうち一回はラマダンの時期だった。
ラマダンとは「貧しいひとの気持ちをみんなで理解しよう」ということで、
陽が出ているあいだ、水ですら一切口にしない期間のことである。
日中はかなり辛いと思う。

 が、しかし陽が暮れると様子が一変。
みんなぞろぞろと、サンローランなどの民族衣装が売られている
ショッピングセンターや、豚肉以外の肉(※注1)をたらふく食べられる
レストランなどに集まってくる。深夜になっても子供達は走り回っているし、
一夫零妻のヒゲ同士(※注2)が指を絡めながら手を繋いで、ルンルンと
散歩していたりする。


 戦争などで夫を失った未亡人やその子供達ををリッチな人たちが金銭的に
面倒をみる、というところからスタートした一夫多妻の制度は、次第にその
趣旨から離れ、自分のための女性をたくさん娶るという風に変わって行った。
権力と精力の誇示にもなった。

 最近は、一夫一妻というのも珍しくなくなったらしい。
外出中の女性はブルカをかぶり、男性と話をすることはできない。
だからといって彼女たちは虐げられている存在ではない。
「かかあ天下だよ」と嘆かれた。

 「ワイフたちに秘密で、何人かの男性たちと借りているマンションが
あるんだ。これから集まるんだが、一緒に来てみる?」と聞かれた。
おっ、ミステリアス。そう思い、参加した。

 購入した安い民族衣装を身にまとい、現地のひとに
「いる、いる」と言われるオレを含めたヒゲが8人ぐらい集まった。
絨毯が敷いてあり、座布団が散乱している部屋に通された。
壁にはテレビ。中央にテーブル。テーブルの周りにみんなで座る。
民族衣装は下の方がスカートみたいになっているので、小股で
座布団のところまで歩き、窮屈な胡座をかいた。

 超甘いお菓子を食べながらブツに火を着け、みんなで
香ばしい煙を回し飲みする。

 そのブツとは、現地でチチャとか、ハブリバブリと呼ばれている
水パイプだ。リンゴの皮を乾燥させたものにいろんな香り付けが
されている。プレーン、イチゴ、バニラなどだ。パイプを吸うと、
その煙が水の中をぶくぶくと通り、細いホース経由で口へと届く。
甘め。

 壁のテレビで流れているのはサッカーゲーム。
みんな贔屓のチームがあったりして、熱いサッカー議論も交わされる。
アルコールが飲めない国の男たちの密かな息抜きだ。

 ちなみにサウジにもノンアルコールビールはある。
とっても不味いしゅわしゅわっとした麦ジュースだった。

                    つづく

※注1:豚肉は汚れた肉。
    日中のサウジアラビアは摂氏40度を超えることも珍しくない。
    そんな環境で足の速い豚肉を食べて体調を崩すことは普通。
    じゃあ食べないようにしよう、ということで「汚れた」肉に
    なったのである。

※注2:誰かの紹介なしで女性に接することは犯罪である。
    紹介してもらえる地位にいないヒゲたちは、自分たちで
    くっついたりするのである。

Morphius

テーマ:
 フロントはほぼ問題ない。
レンズには小さな傷がついているが余り気にならない。
ブリッジOK。リム、パッド、智、蝶番は左右とも大丈夫。
右テンプルも付いている。んっ、付いている?

 一月中旬。
ソファーで睡眠をとったとき、子供達に眼鏡を触られないよう、
ちょいと楽をしようとしたオレはソファーの下に隠した。
起きたとき、隠しきれていなかったことに気付いた。
左テンプルの独立。

 そのまま、川崎→仙台→延岡→宮崎。

 延岡では、部屋にLANケーブルが付いていた。
だが宮崎にきてからは、Air Edge などを持っていないオレは
公共スペースへ行かないとインターネットに接続できない。
人前で片方のテンプルしかない眼鏡をかけているということだ。

 オレはモーフィアスの仲間なんだ。
そういう顔でクールに使用しながら、「仙台に帰ったらメガネ屋を
探さなくては」と思っている。

                    つづく