クローズド・ノート

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雫井脩介さんの小説「クローズド・ノート」を読了したところです。


映画にもなったし、何をいまさらというタイミングですが、ガーン!と

きました。


切ない物語です。


僕は映画も小説も、子供たちが出てくるものに大変弱い!

ずっと教育大の付属育ち、大学も教育学部、一度は教職を考えた

せいもあるのかもしれませんが、とにかく非常に弱いのですが、

それだけでなくきました。


映画も見なくちゃな、と思っています。


あのYUIの曲、ぴったりだな…

しゃべれどもしゃべれども

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佐藤多佳子さんの著作「しゃべれどもしゃべれども」を読みました。


佐藤多佳子さんは、「一瞬の風になれ」で吉川英治文学新人賞を

おとりになり、いつか読みたいと思っていましたが、映画化されて

平積みになっていた「しゃべれどもしゃべれども」を先に手にとりま

した。


内容はコミュニケーションに何らかの問題を抱えた4人の人たちが、

二つ目の噺家に落語を習うために集まる中で繰り広げられる悲喜

こもごもなのですが、とにかく人に対する温かさに溢れた作品です。


会話の妙、緻密に計算された表現、絶妙の間…

そして底に流れる人情。


この作品は映画化もされました。残念ながら見ていませんが…

落語をテーマにした映画といえば、昨年でしたかマキノ雅彦監督

(俳優の津川雅彦氏)監督の「寝ずの番」、古くは僕の友人である

伊藤克信のデビュー作「の、ようなもの」(森田芳光監督)などを

思い出しますが、落語がストーリーの柱になっているだけに、全体

に洒脱な世界観を求められ、そこが出来の決め手になるのですが、

この佐藤多佳子さんの本が原作であれば、そのまま描くことで

落語の洒脱な世界観を上手く表現できるんだろうなあ、と思わせる

上等な作品です。


児童文学の出身ということで、あさのあつこさんの「バッテリー」や

川上健一さんの「ららのいた夏」が頭をよぎりますが、陸上競技を

題材にした「一瞬の風になれ」も文庫化される前に読んでみようか

と思います。


お経の世界

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トップチームは第5節は試合がありません。

良く考えると余裕があるわけではないのですが、それでもこのインターバルには

いつもとちょっと違った時間の余裕が出てきます。


そこで開いた本が、九仏庵方丈 著「必携 お経読本」なる文庫本です。

決してお彼岸だからではありません。

今年はじめから、朝のランニングコースに高幡不動さんへのお参りが加わり、

お経を耳にすることも増え、いつかちゃんと勉強したいと思いながら買っておいた

本を読んでいるわけです。


仏教と一言で言ってもその宗派は様々で、葬儀などで耳にするお経も千差万別。

僕自身も、比較的馴染みの深い「般若心経」にしても、その意味や背景までは

とても分からない。

ならばと言うことで、書店でやっと探し出した文庫の解説書がこの本です。

とても分かりやすく、この本を一読するだけで仏教について一家言を持つことが

できるような入門書です。もちろん、それはかなりはっきりした付け焼刃ですよ!


仏教全般の知識を学びなおし、色んな宗派を系統立て、そしてそれぞれの「お経」

に思いを馳せる。そのためにはとても素晴らしい本だと思います。


彩図社 刊  本体価格590円です。

スタア・バーへ、ようこそ

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「スタアバーへ、ようこそ」は銀座でバーを経営するバーテンダー

岸久さんの著書です。


今年になって文春文庫PLUSから出版されました。


簡単に言い切ってしまうとバーの入門書と言うカテゴリーかも

知れませんが、その中身は人類が生み出した傑作「酒」への

熱い想い、そしてサービスや接客とはどういうことか、銀座や

カクテルにまつわるこぼれ話などに溢れています。


僕も一時、いわゆるバーにはまり、通っていたことがありますが、

近年はもっぱら居酒屋やいっぱい飲み屋が主流になっています。


でもいつの間にか50を過ぎ、本当にバーが似合う年齢になって

きたことを感じることもあり、岸さんのスタア・バーに足を運んで

みたい気持ちになりました。


次に銀座に行く機会があったら、ちょっと覗いてみましょうか…

今年の最高傑作

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基本的に、文庫しか読まないという前提ですが…


今年のNo.1の小説として、この一冊を推薦します。

いや、その表現は控えめ過ぎる、今世紀のNo.1警察小説、

もしくはミステリーといっても過言ではないでしょう。


横山秀夫著 「第三の時効」 6編の短編からなる連作ですが、

圧倒的な深さ、抜群の面白さです。

作者の横山秀夫さんは大ヒットした映画「半落ち」やつい最近

封切られた人間魚雷回天を描いた「出口の無い海」でも有名な

作家です。

また、「クライマーズ・ハイ」という日航機事故を新聞記者の

立場から描いた小説は僕もブログで紹介したことがあります。


ただその横山さんの作品の中でも、この一冊は秀逸です。

まったく予想させないストーリ展開、そしてそれをしっかりと受け

止める筆力。一編一編が、まさに膝を打つ面白さです。

僕の弟は警察官ですが、刑事(警察官)という仕事につく人たちを

思わず尊敬してしまう、それほどこの連作に登場する刑事たち、

人たちは素晴らしい。

犯罪の陰に隠れている、人間の心理をあぶりだしてくれます。


僕の表現力では十分に伝えることは出来ないと思う素晴らしさ!


とにかく、騙されたと思ってこの一冊を手に取ってください。


集英社文庫に収録されています。

yom yom

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少し前になりますが、新潮社が「yom yom」という雑誌を発刊しました。


新潮文庫の会報誌?といった位置付けなのかどうか。

非常に軽量な雑誌で、岩いわゆる小説新潮や文藝春秋といった感じの

雑誌です。


表紙も裏表紙も真っ赤で、そこには新潮文庫のイメージマスコットの

パンダが描かれています。


内容は短編ありエッセイあり連載ありの文芸誌風。

しかも価格は680円、次号が2月28日発売なので季刊という感じなので

しょうか。


新しいもの好きの僕としてはすぐに手に取り購入しました。

体裁は雑誌なのですが、何となく雑誌のように資源回収に出しにくい

感じです。


見かけた人は多いと思いますが、内容もなかなかのものです。


是非、手にとって見ては如何でしょうか。

好きなタイプの小説

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先日ブログに書いた北村薫さんと加納朋子さんの小説の件ですが、

またそれに似たタイプの小説を見つけました。


柄刀一さんの「シクラメンと、見えない密室」という文庫です。

何の変哲もない?喫茶店のママ親子が、様々な事件のなぞを解く

といった短編集です。

しかも、花に関わる話がエピソードとしてちりばめられています。


ただ前述の二人の連作に比べると、事件そのものがちょっとおどろ

おどろしいというか、人が死んだり傷ついたりしてしまうのがちょっと

難点なのですが…


光文社文庫です。


日常に潜むミステリー

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さて昨日の問題、加納朋子さんと北村薫さんという二人の作家。


この二人に共通する、と僕が思っているのが今日のブログの表題、

「日常に潜むミステリー」です。


ミステリーはたいていの場合、人間の心の暗闇の部分や、社会の

構造からこぼれた世界、陰謀や悪意や犯罪など、ネガティブな

ところから題材が選ばれ、ストーリーが発展していくことが多いと

思います。


しかし、この二人は日常の何気ない生活の中の不思議を題材にし、

それでいて立派なミステリーに仕立て上げる天才です。

したがって読後感が実に爽やかな作品が数多く発表されています。


加納さんの作品でお勧めは駒子シリーズ。

「ななつのこ」「魔法飛行」は駒子という短大生が日常生活の中で

見つけるちょっとした不思議を、「ななつのこ」という小説を書いた

作家が解き明かし、謎解きを手紙で送ってくる、という形式の物語

です。

また最近文庫になったものでは、

「月曜日の水玉模様」と「レインレイン・ボウ」もちょっとした謎が、

鮮やかに解き明かされると言う点でよく似ています。


北村さんの作品の中では、以前にもブログで書いたような気がしま

すが落語家の春桜亭円紫師匠と女子大生「私」の謎解き物語、

「空飛ぶ馬」「夜の蝉」「秋の花」「六の宮の姫君」「朝霧」

一見見落としそうなちょっとした不思議にも実は深いわけがある。

それを鮮やかに浮かび上がらせる手法は見事です。


お二人とも、もちろん様々な作品を書いていらっしゃいますが、

今挙げた一連の作品は匂いと言うか、空気感と言うか、そんな

部分で非常に共通点があると思います。


書店で見かけたら、是非手にとってみてください。

博士の愛した数式

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なんとも独特の世界観。

あまりにも暖かく、そして悲しい物語。


「博士の愛した数式」(小川洋子 著 新潮文庫)はそんな物語です。

詳しい話はよしにしますが、主人公の数学者は交通事故の後遺症で

なんと記憶が80分しかもちません。

そしてその頭の中は数式で埋まっている。そんな中、家政婦との

会話が始まり、やがて10歳になる家政婦の息子も加わる…


これ以上は読んでいただいた方が良いと思います。


文庫本の解説(藤原雅彦さんという数学者が書いていらっしゃいます)

も良いし、とにかくお薦めします。


第1回の本屋大賞受賞作

1月には寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆出演で映画も封切られます。

こう続くと、これはもう必読、必見でしょう!