一つずつ最後に…

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何を言えば、彼が不機嫌になるかは
分かっていて、それを言う。

以前は止められた感情が止められず、
喧嘩になることも増えました。



彼への気持ちが、好意なのか執着なのかは
もう分からなくなっていました。

それでも、私から去ることは
出来ませんでした。



好きだとか、嫌いだとか、
お互いの感情には一切触れず、
毎日、当たり前のように続くメール。

気が向けば、ランチや映画にも、
相変わらず出掛けました。


一見穏やかな関係でしたが、
私には分かっていました。

彼は、私が自然に去っていくのを、
待っていたのでしょう。

でも、意地悪な私は、
そんなことはしないのです。



それは、私に出来る小さな抵抗でした。




その頃、彼と映画を観に行く
機会がありました。

いつも通りの、現地集合、現地解散。

でも、この日は一つだけ、
いつもと違うことがありました。


映画館を出てすぐの信号、
彼は右に、私は左へと曲がります。

いつも、彼の車が前を走りました。


信号で別れる間際、どんな時も
必ずハザードを2、3回
点灯させてくれていたのに、

その日は何もなく、右折して行きました。

どうしたんだろう?
そんなにも、嫌になった?

自虐的に考えることで、
不安を打ち消そうとしました。

でも、彼と私を繋いでいた、
わずかなものが無くなっていく、、
そんな不安が、私の中から
消えることはありませんでした。




 そして、不安は現実になります。



しばらくして、彼からメールが届きました。

「さっきの映画館に、兄弟がいた。
 ヤバイ、見られた。」





二人で行く映画、、
この日が最後になりました。

何も話すわけでもなく、
ただ隣に座っているだけだったけど、

私にとって、彼と共有できる
数少ない時間でした。

幸せな時間でした。



悲しいけれど、
色々なことが、こうして
一つ一つ最後になっていったのです。



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