ラノー・ドールに行ってきた。
最近、何人かの食べ好きの間で。
行ってみたいよね、と話題にのぼりはじめたレストラン。


大きな通りに面したビルの地下に。
つつましやかにラノー・ドールはある。


螺旋階段をゆっくりと降り。嵌め込みガラスのドアを開けると。
想像していたよりも数段明るい店内にまずは驚く。

しかしほどなくして。
その数段明るいお店の理由が明らかとなる。


ラノー・ドールの料理は。
とてもとても繊細だ。繊細で美しい。


アスパラのカプチーノスープ。
スペシャリテの「幻の卵」の半熟蒸し、トリュフとフォアグラのソース。
十数種類の春野菜が折り重なった季節の野菜の一皿。
シェアさせてくださった、メインのサーモンと子羊。
そのどれもが色鮮やかで美しい。絶妙なバランスの配色。
明るい部屋のなかで。隅々とまで見たい味わいたい料理。


もちろん。料理の味も素晴らしい。
素材とソースが折り重なり。
どれを足しても引いてもいけない、そんな料理。
おいしいと。何度言ったことだろう。


さてその夜。

幸運にもとても長い時間、谷川シェフとお話をすることができ。
ラノー・ドールについて。数々のレストラン。
料理やシェフ仲間の話などをする。
(わけても龍土軒の岡野さんの話で盛り上がる。岡野さんは大先輩なのだそうだ。岡野さんって○マ○リにそっくりですよね、と笑いながら言っていた。確かに似ている)


谷川さんは。
朴訥としたやさしい雰囲気の。
とてもきちんとした丁寧な印象のかたで。
料理には人柄が出るなあと思う。いつもながら。本当に。


たとえば龍土軒の岡野さんの料理は伝統的だけれど茶目っ気がある。
たとえばラルテミス・ペティアントの中田さんの料理はほんわかとやさしい。
たとえばフレーゴリの甲斐さんの料理は男っぽくてどこかセクシー。
たとえばル・ブルギニオンの菊地さんの料理はどこまでもあたたかい。
そんなふうに。


ラノー・ドールの壁の一角に。
一見して価値が伝わるような書がかけてある。
聞けばラノー・ドールが四谷に移転する前からのお客様、東山一郎さんが開店のプレゼントにくださった作品だとか。
谷川さんが持ってきてくださった東山一郎さんの作品集を見て。その書にも深く魅入られる。


その東山さんがラノー・ドールに贈った漢字三文字のそのことばは。
ラノー・ドールの世界にぴったりとくると私は思う。
季節を愛で、自然の美を愛でる、そのことば。


さらにラノー・ドールには。

金色の輪をのせた天使がモチーフとして配されている。
ラノー・ドールとは〝金の輪〟の意。
美しい、幸福の循環のレストラン。


#ラノー・ドール[四谷四丁目]
完全予約制です


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