ものごとを、ていねいに、念入りに、

点検しつくしたうえにもさらに点検して、

万全のスキなく仕上げるということは、

これはいかなる場合にも大事である。

 

小事をおろそかにして、大事はなしとげられない。

 

どんな小事にでも、いつも綿密にして

念入りな心くばりが求められるのである。
 

しかし、ものごとを念入りにやったがために、

それだけよけいに時間がかかったというのでは、

これはほんとうに事を成したとはいえないであろう。

 

むかしの名人芸では、時は二の次、

それよりも万全のスキなき仕上げを誇ったのである。
 

徳川時代の悠長な時代ならば、

それも心のこもったものとして、人から喜ばれもしようが、

今日は、時は金なりの時代である。

 

一刻一秒が尊いのである。

 

だから念入りな心くばりがあって、

しかもそれが今までよりもさらに早くできる

というのでなければ、

ほんとうに事を成したとはいえないし、

またほんとうに人に喜ばれもしないのである。
 

 

早いけれども雑だというのもいけないし、

ていねいだがおそいというのもいけない。

 

念入りに、

しかも早くというのが、

今日の名人芸なのである。
 

 

松下幸之助氏/パナソニック創業者

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