エレベーター太郎
テーマ:おわらい梅太郎です。
エレベーターに乗ったんです、先日。
とあるデパートなんですが、
帰る時にエレベーターを使って10階から1階まで降りなければならない。
エレベーターには
僕一人しか乗っていなかった。
しかし、ドアが閉まりかけたその時だった。
僕の視界にこちらに走ってくる親子(母、子供)がいた。
10階から1階に行くのだからこのチャンスを逃したら、
またエレベーターが来るのにけっこう待たなくちゃいけない。
だからだろう、必死の形相で向かってきた。
もう本当ギリギリだった、
僕は閉まりかけたドアを手で抑え、
とっさに「開」のボタンを押すファインプレーに出た。
するとそのお母さんが
「すいません!ありがとうございます!」
と律儀に挨拶をしてくるもんだから、
僕は、
へのつっぱりはいらんですよ。
(気にしなくていいですよ)
と言わんばかりの気持ちで、
「いえ、何階までですか?」
と、笑顔。
僕の心にはちょっとしたイイ事をした感が満ちていて充実感さえただよっていた。
ありふれた日常だけれども、
今日だったら、
花屋の店先に並んだ花たちに「どれもみんな綺麗だね」って言えそうな気がする。
そんな勢い。
「あ、1階でおねがいします」
そう返事が返ってきたので、
「あ、じゃあ同じですね。」
そう僕はつぶやいて、うつむいた。
やがてドアが開く。
1階に到着したな、僕は確認する事なく習慣と経験で察知した。
この場合、
「開」を押したまま「どうぞ」なんて言って先を譲るのが紳士なのかな。
でも、そんなのってカッコよ過ぎるじゃない。
僕はそんなに器用じゃないよ。
そうしない代わりに「開延長」のボタンを押し、
さっそうと飛び出した。
その瞬間に親子に向かって軽く会釈することは忘れずに。
そうだ、今日は家にケーキでも買って帰るかな。
そう思った矢先、
僕は飛び出した足を止める事になった。
あ、ここ5階だ…。
人間というものは予期せぬ出来事が急に現れたら、
パニックに陥り、
正しい判断を見失い、
後先考えずにとんでもない行動をするものだ。
僕は、エレベーターの閉まりかけたドアを必死でこじ開け、
「あ、降ります!!」
と、情けない声をあげていた。
そして心の中で、思いっきり叫ぶ。
カッコ悪っ!!!
あの時、なぜ、僕はエレベーターに戻ったのか。
階段を使えばよかったじゃない。
なんならエレベーター1便おくらせてもよかったじゃない。
激しく後悔したのは言うまでもない。
5階から1階までの道中、
たった何秒間が永遠に感じられた。
永遠て響きはステキだね。























