2016年08月17日(水)

『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』

テーマ:なんでも読んでみよう

 

アレックス・メスーディ/著, 野中香方子/訳, NTT出版(2016)

 

 

ここ数ヶ月の間に読んだモノの中で最も印象に残っているのがコレ.

設計とか解析とかを生業とし,理系寄りの思考にバイアス掛かっている私は,当然のことながら(当然と言ってイイのか?)ダーウィンを尊敬・敬愛している.

そこへきて,『文化進化論』という書名を見たときは,つい触手が動いた.

“ダーウィン進化論は文化を説明できるか”,という副題(問い)にも心引かれた.

 

20世紀後半は,ダーウィンの進化論が理論フレームとなって様々に細分されていた生物学の各分野が統合されだした.そして,今世紀に入ってから,進化生物学は飛躍的発展を遂げており,それは今も進行中だ.

 

人文科学とか社会科学と呼ばれる分野,いわゆる人類学,考古学,経済学,歴史学,言語学,心理学,社会学などの分野は,それぞれに研究されてきたものの,分野間をつなぐ理論的枠組みなどは見当たらず,相互理解に及んでいようには見えない.

理系の世界では,医学と工学とか,機械系と化学系とか,心理学と脳科学とか,文学とコンピュータサイエンスとか,分野を横断した研究,いわゆる学際的研究が頻繁に行われている.

それに対して,文系同士,人文・社会科学の異分野間では,学際的研究が図られているようには見えない...というのが,これまでの私の認識だった.

だが,人文・社会科学の分野,枠組みにも変化は現れてきているのだ.

 

本書は,ダーウィン的進化論のフレームワークを使って人文・社会科学の各分野を統合しようとする企ての書だ.文化を(自然)科学的に説明する書,といってもイイかもしれない.

 

文化を進化論的に説明するとは,社会科学分野の現象や項目が,変異,競争,継承,という3つの条件に当てはまるものなのか否かを検証することだ.

そして,その上で,

 ・過去から現在への流れが説明できる

 ・定量化できる

 ・ミクロとマクロを統合できる

 ・実験や実地調査が,その分野の事柄を説明するのに有効的なツールとなる

ことなどを,示していくのである.

著者は最終的に,文化進化の構造を進化生物学の構造と対比してみせ,自然科学(理系)と人文・社会科学(文系)との統合までが可能であることを示唆している.

 

細かな突っ込みどころがあった気がするが,総論的には非常に面白くエキサイトさせられた記憶がある.日本語訳も熟れていて300ページ強を一気呵成に読むことができた.

 

それにしても,NTT出版は良質の本を出すというイメージが強い.文庫化してくれれば更に良いのだが.

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