2011年12月30日(金)

『本だけ読んで暮らせたら 2011年のお薦め本』

テーマ:メモランダム

2005年の1月26日から始めた当ブログ 『本だけ読んで暮らせたら』 も来月で丸7年が経過します。

よくもまァ続いたもんだと我ながら呆れちゃう。いや、感心しちゃう・・・。


過去6年、年末には自分自身への備忘録を兼ねて、年間を通して印象に残った本について、“お薦め本紹介”と称してまとめ記事を書いていたので、2011年の分も残しておくことにします。


『書名』 をクリックすると過去記事に跳びます。)



<ミステリとか>


まずは恒例にしたがい、当ブログのメイン・コンテンツである<ミステリとか>から。


2010年から始まったハヤカワのポケミス改革は、2011年一気に飛躍しました。

今までのポケミスは、昔からの海外・翻訳ミステリ読者である中年以上の層を対象にした作品が多かったように思います。20年以上も前から活躍している作家のシリーズ作品ばかりを出す傾向が強かったように思います。
しかし、去年2010年あたりから、イギリス、フランス以外のコレまで翻訳されてこなかったヨーロッパの作家や、コレまで同様イギリスやアメリカの作家でも敢えて新人作家の作品の翻訳出版にも力を入れ始めたように思えます。

そして今年2011年、「新世代作家シリーズ」と銘打って、今まで日本では紹介されてこなかった作家の作品を毎月出し続けました。

このシリーズの作品はどれもが高レベルでハズレが一つもありませんでした。


『二流小説家』 は、アメリカの新人作家が描いた作品です。各社ミステリ・ランキング本で上位を獲得した今年を代表する翻訳ミステリー。確かに面白かったのは認めます。でもね、余りにも技巧に走りすぎる作品・作家と云うのは、、、一発屋で終わってしまわなければイイのですが・・・。私の余計な心配であってほしい。。。


『黄昏に眠る秋』 は、スウェーデン産ミステリです。作品の雰囲気は非常に落ち着いていて、大人がじっくり読める作品。家族の崩壊と再生を描いたもの。探偵役の爺さんの頑固さがイイです。


『逃亡のガルヴェストン』 は、ノワール、クライム・ノベルです。暴力描写結構あります。でも、文体が美しいんです。ラストの描かれ方など、映画でのフェイド・アウトを見ているようでした。画が脳内に浮かびました。


『特捜部Q 檻の中の女』 『特捜部Q キジ殺し』 は、デンマークの作家のキャラクター小説(?)です。もちろん、ミステリ、と云うよりサスペンス、としての中身も良くできています。 


『記者魂』 は、典型的なアメリカン・ハードボイルドです。中年オヤジが意地を張って向こう見ずな活躍をする物語で、こういうの大好物です。止められません。


『謝罪代行社』 は、ドイツ産のサイコ・サスペンスです。叙述の妙が謎に絡む作品で凄く凝った作りになってます。ここまで叙述に拘っているのって、和製ミステリには殆んど見当たらないと思います。


『ねじれた文字、ねじれた路』 は、2人の男の孤独と友情をテーマにした渋~い物語です。南部アメリカ文学の系譜を継ぐ作品とも云われています。そう云われれば、マーク・トウェインとかヘミングウェイとかの作品を読んだ際の後味に似ているかも!? と思えます。 こういうのって好きなんです。


と、まァー、ポケミスは、早川書房は、チャレンジしているようです。

こうしたことが、最近の海外ミステリ離れに歯止めを掛け、若い新規読者の開拓に繋がればイイナと思います。


さて、ポケミスは新人作家だけではありません。大御所トマス・H・クックの作品も文芸春秋社から掻っ攫って来ました。

『ローラフェイとの最後の会話』 は、「トマス・クックと云えばドンヨリ・・・ガーン」 という先入観を覆した作品です。読むと、最初は心理的圧迫感を強いられます。ですがラストでは、読み続けてきた末の解放感が味わえます。


ここまで、ポケミス作品のことばかりを書きましたが、もちろんミステリ作品はポケミスだけではありませんね。他にもイイのはありました。


先日、記事を書いたばかりのジャック・カーリーの 『ブラッド・ブラザー』 は云わずもがな。


そして、今年もウィンズロウ作品は 『サトリ』『夜明けのパトロール』 といった高レベル作品が並びました。『夜明けのパトロール』はウィンズロウの新シリーズ第1弾作品です。サーファーである主人公のブーンがいつかフランキー と共演してくれないかな、と密かに願っていたりします。


そしてそして、デニス・ルヘインの『ムーンライト・マイル』 です。もう、ほんとオジサンは悲しいです。12年ぶりにシリーズが再開されたって喜んでいたら、その途端に終わってしまうなんて。。。 でもね、印象的なシリーズの閉じ方でした。


『脱出山脈』 も挙げておかなければ。久しぶりにワクワクする伝統的冒険小説の登場でした。


和製ミステリは殆んど読んでいないのですが、唯一お薦めできるのが『友を選ばば』 です。ミステリ作品とは言えないかもしれないけど、エンターテイメント作品ってことで・・・。

コレ、物凄くおバカです。ここまで徹底したおバカ小説なら評価されるべきです。




<自然科学とか>


今年は、盛口満さんという方の作品 『僕らが死体を拾うわけ』『どんぐりの謎』 に出会ったのが収穫でした。

日常のどこにでも居るような、在るような動植物の不思議について、実に軽やかな語りで披露してくれます。

「僕らが死体を拾う・・・」なんて、一見サイコ・サスペンス風のタイトルながら、グロイところも難しいところも無く、むしろ著者の性格が反映された(?)極めてざっくばらんで、爽やかな内容の本です。

中学生でも充分に理解できる内容で、学校での朝の読書にはモッテコイの本だと思います・・・・と云いながら、この本の存在、娘に教えてなかった・・・。




<歴史とか>


歴史ものでは、なんと云っても先日読んだばかりの『ワーグマン日本素描集』 が素晴らしかったです。イラストがいいんです。

これに関連して、『一外交官の見た明治維新』 を併せて読んでみると、外国人から見た幕末・維新期の日本人像が大まかに掴めそうです。


『賤民の場所 江戸の城と川』 にもまた、絵・イラスト(手書きの古地図)が盛りだくさん。内容ともに面白いです。


文章を読むだけじゃ解らないものが、絵・画を見れば判るってことが多くあります。ビジュアル化された歴史書ってのも今後は(電子書籍の時代には)大事だと思います。




<その他>


もう、なんと云っても、『「絵のある」岩波文庫への招待』 です。今年、私が読んだ中で最も影響を受けました。ほんの少し読書の幅を広げる切っ掛けとなるかもしれないと思わせてくれました。

この本を読んだから濹東綺譚 にも出会えました。この私が永井荷風を読むとは思ってもいませんでした。


最後に、『フットボールの犬』 を挙げて締めくくりましょう。これを読むとサッカーの見方が変わり、ますます好きになります。



以上が、当ブログお薦め本の棚卸しです。

大震災の起こった本年にあっても、本を読むという日常は相変わらずでした。

震災後、多少の価値観の転換が起こった事柄もありますが、「本を読む」という行為についての価値観の転換は今のところ起こっていないようです。

分量の増減はあっても、来年もまた本を読むのでしょう。


さて、ここまでの長文・駄文にお付き合いくださいました皆様、ありがとうございました。

来年も、このサイバー空間で本好きの方たちと交流できれば嬉しいです。 皆様、よいお年を迎えください。


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コメント

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4 ■>ディックさん  Re:ハヤカワのポケミス版

昨年のハヤカワ・ポケミスは、取り敢えずハズレはないと思います。
『二流小説家』は面白いですが、No.1ではないと思いますよ。プロの書評家の方は、ハヤカワの姿勢を買った御祝儀評価があったのでは??

『リヴァイアサン』はなかなか面白かったです。
最終的には3作全部読んでからでないと判りませんが・・・。

3 ■ハヤカワのポケミス版

ハヤカワのポケミス版は評判がよいようなので期待しています。『二流小説家』のお薦め度合いが控え気味なのは、nanika さんの好みのタイプから「ははあ、こんな小説かな」と逆に推測させますね。まあ、しかし、評判になっているし、読んでおこうかな。
『リバイアサン』楽しんでいらっしゃるとよいのですが…。

2 ■>しゃおさん Re:よいお年を!

年明け早々、ハート、コナリー、めじろ押しですね(^O^)
今年もよろしくお願いします。

1 ■よいお年を!

本当に今年は「ポケミス」が元気でしたね。
来年早々にはジョン・ハートの新作も出るようですし、ますます目が離せませんね~。

また来年もよろしくお願いします♪

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