2014年06月21日(土)

『ローマで消えた女たち』

テーマ:ミステリーとか
『ローマで消えた女たち』  ドナート・カッリージ/著、 清水由貴子/訳、 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2014)


連続殺人、魂の悪、記憶の移し、などをテーマ(?)としたゴシック・サスペンス小説。

カトリック=ヴァチカンの秘密捜査機関の捜査官とも呼ぶべき教誨師(きょうかいし)が主人公。

しかもこの主人公、記憶を失っている。

記憶を失っていながらも、犯罪現場や証拠品や事件関係者との接触から何かを感じ取る能力に長けており、教誨師としては一流・・・・・。


サブ主人公に、ジャーナリストの夫が謎の転落死を遂げたミラノ県警の写真分析官。

連続殺人犯を追う主人公とサブ主人公は、物語の中盤まで出会わない。

物語中盤以降、二人が交錯しだしてから真実が徐々に明らかに・・・・・ならない。

物語はより複雑化してゆく・・・・・。

連続殺人犯を追っている(?)のは、主人公たち二人以外いもいる・・・。

しかも、物語のかなり早い段階で連続殺人犯は拘束される。しかし、被害者家族の周辺で起こる別の殺人・・・・。

解けたようで解けていない謎の連続。

一見解決したかのように見える事件の背後に見え隠れする主人公以外の教誨師(?)の影。

教誨師は、自分以外の教誨師の正体を知らない・・・。

物語の最初の文章  「七時三十七分  死体は目を開けた。」

から、

510ページあとの締めの文章  「七時三十七分  死体は目を開けた。」

まで、

この長編小説に一切の弛みはない。


2段組み500ページの長編小説を一気読み。

久しぶりのミステリだったが、これが大当たりだった。 超大当たり! 今年のベスト!

前作、 『六人目の少女』 といい、本作といい、この作家の才能は素晴らしい。

お薦めです。



だが、訳題はイタダケない。

原題を素直に訳した『魂の裁判所』の方が相応しい。

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2014年06月20日(金)

『レンズが撮らえた幕末明治日本の風景』

テーマ:歴史とか
『レンズが撮らえた幕末明治日本の風景』  小沢健志・山本光正/監修、山川出版社(2014)


幕末に来日した外国人記者やカメラマンが、そしてその外国人たちから写真技術を習得した日本人カメラマンが、北海道から沖縄までの日本全国の町並みと風景、人々の様子を写真に残している。

それらを集めて一気に魅せてくれるのが本書。


東海道五十三次の全宿場町、各地の城・寺・建築物、人々の様相、などの写真が満載。

だが、本書に掲載されている中で最も見応えのあるのは、遠方から街全体を俯瞰して撮っている写真だ。


山なみと街並み、自然と人工物が一体となっている画は、当時の日本の風景を想像させるに十分な力を放っている。

街の周囲には林や森や山が迫り、樹木の背を超える建築物がほとんどない風景というのは新鮮だ。


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2014年06月06日(金)

『小布施 まちづくりの奇跡』

テーマ:なんでも読んでみよう

『小布施 まちづくりの奇跡』  川向正人/著、 新潮新書(2010)


長野県北部の小さな町、小布施(おぶせ)。

この町には毎年、人口の100倍=120万人の観光客が訪れるらしい。

観光客の主な目当ては、町の中心部にある「修景地区」と呼ばれる地域を散策することにあるのだという。どこか懐かしい趣きを醸し出す場所らしい。


通常の「伝統的町並み保存」とは異なる手法=修景(しゅうけい)によってまちづくりを行う小布施町が、どのような経緯で今の状況に至っているのか。

小布施町に「まちづくり研究所」を立ち上げた東京理科大学の教授が、小布施流まちづくりを内側から描く・・・。



まさに奇跡と呼べるような、ラッキー要素がいくつも重なった状況で小布施の修景地区が形成されたことが判る。

幕末に葛飾北斎が何度もこの地を訪れ、多くの作品を残してくれていたこと。

建築物単体ではなく、それと連続する空間をも考慮に入れて設計する建築家:宮本忠長が近隣地区の出身だったこと。

町長が修景地区の住人だったこと。

五者会議と呼ばれる修景地区に住んでいる住人は、もともと公共に対する意識も高く、それなりに所得も高い人達だったこと。

・・・などなど、この地域独自の条件の基でまちづくりがなされてきた。



他の地域のまちづくりに携わる人たちが、小布施を見習って似たようなことをしようとしてもダメだろう。

本書は、ドキュメンタリーとして読むもので、まちづくりの教科書にはならない。おそらく著者もそんなことは考えていないだろう。

地域デザインやまちづくりを志す若い人たちの動機付け、意識付けするのに良いのかもしれない。

いや、観光ガイド本として読むのがイイかも。少なくとも私はこの地に行ってみたいと思った。


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2014年06月05日(木)

『市民のための景観まちづくりガイド』

テーマ:なんでも読んでみよう

『市民のための景観まちづくりガイド』 藤本英子/著、 学芸出版社(2012)


最近、まちづくりに関する本を幾つか読んでいるが、どの本にも成功した(と云われている)まちづくりの事例が具体的な都市名を挙げて紹介されている。

事例紹介に多くのページを割くということは、まちづくりというのはオーダーメイドであって、すべてに共通した理屈や理論などというものは無いってことなんだろうと思っている。

「良いまちづくり」とは何か?ということを一般化することはできないってことだ。


本書は、「景観」にスポットを当ててまちづくりを行おうとするときのガイド本、日本初のテキストだと銘打っている・・・・・。


本書を読んで気になったところをメモっておく。


■本書の著者は、小樽運河を観光資源としたまちづくりについてポジティブに捉えている。

 だが、別の本の著者は、観光客の増加は観光会社とタイアップした一部の店舗(寿司屋ネ)だけが

 潤っているだけで、大方の近隣住民には関係のないことであり、彼らは別の店に行っているという。

 「まちづくり」とは、そもそも地元住民の幸福度をアップすることが目的だとすると、小樽の例は

 成功事例と云えるのか? 疑問に思えた。


■本書で挙げている景観評価指標について、工学屋の私にはどうにも客観的だとは思えない・・・。

 <本書でいう景観評価指標8コ>

  ・周辺景観との調和を図っている

  ・地域特性(自然・風土・歴史・文化)を活かし、地域性のある景観をつくりだしている

  ・緑化・オープンスペースなどにより、潤い・ゆとりのある景観をつくりだしている

  ・住民が参画し、親しまれ、誇りを持てる景観づくりが進められている

  ・良好な維持管理が図られている

  ・活力を生み出す景観をつくりだしている

  ・優れたデザインにより新しく魅力ある空間をつくりだしている

  ・町並みの形成に貢献している

 

ん~? ↑ こういうのを指標っていうのか??



で、本書も含めてイロイロ読んでみて・・・、

結局、まちづくりの専門家がキチンと全体をコントロールすることの実現性はあまり大きくなくて、多くの普通の住民・生活者が少しづつ長期にわたって関わってゆくことが大事だってコトなんだろうか!?

それじゃ、専門家の役割ってなんなんだ?ファシリテーターか?

専門家の関わりが低いってことは、それだけ成熟した社会なのか?

                              ・・・・・・なんてコトを漠然と考えちゃう・・・・・。


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2014年06月02日(月)

『歴史家が見る現代世界』

テーマ:歴史とか

『歴史家が見る現代世界』  入江昭/著、 講談社現代新書(2014)


世界史の流れの大きなトレンドについて、世間の大部分の人の認識は同様のものだと思う。世界は混合し結合して行く・・・。百年、数百年のスパンを考えたとき、おそらくこの流れは不可逆だろう。


だから、グローバルな視野で歴史を捉える・・・トランス・ナショナルな考え・・・グローバル・ヒストリーを認識することが重要だ・・・と云う、この著者の主張は概ね頷ける。

そりゃ頷けるさ。大きな流れ・・・総論としては・・・当たり前のことを云ってるんだから。


だが,流れにはウネリがあり、そのウネリの振幅はプラス側にもマイナス側にも振れる。

現在、日本と中国との間に存在するマイナス側の大きな振幅を、どのようにニュートラルもしくはプラスの振幅に戻すことができるのか? マイナスの局所解に陥った(ように見える)ときにそこからどのように脱出するのか?

歴史家には、そういったことのヒントを示してもらいたいと期待するのだが・・・。



以前読んだ,入江本 ⇒ 『歴史を学ぶということ』


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2014年06月01日(日)

まちづくり関連本

テーマ:なんでも読んでみよう

ある講義を受講するため、関連本をたてつづけに読んでみた。

市の図書館にお世話になって・・・。市民図書館って,ホントありがたい・・・。



『まちづくりDIY 愉しく! 続ける! コツ』  土井勉・柏木千春・白砂伸夫・滋野英憲・西田純二/著, 学芸出版社(2014)

『地域再生の罠』  久繁哲之介/著, ちくま新書(2010)

『市民のための景観まちづくりガイド』 藤本英子/著, 学芸出版社(2012)

『小布施 まちづくりの奇跡』 川向正人/著, 新潮新書(2010)

『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』  山崎亮/著, 学芸出版社(2011)


要は、どれだけ気長に、気楽に、面白がって続けられるか!? そこにかかっている!ってコトなんだろうが、そうしたコトがいかに難しいか・・・・・


近所付き合いもほとんどせず、自宅の庭の整美さえままならない私などが、何を大それたことに興味を持ったのか???

意識を変えることから始めないとね。。。まずは自分とこの庭からだね。


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