2012年05月30日(水)

『風渡る』

テーマ:ミステリーとか

『風渡る』   葉室 麟/著、 講談社文庫(2012)


キリシタン大名黒田官兵衛とイエズス会の日本人修道士ジョアン(架空の人物)の2人を主人公とした物語。

一応、本能寺の変を演出した人物としての官兵衛が描かれている。

・・・が、登場人物の多さ、歴史的背景の複雑さ、物語中の経過時間の長さ、これらがネックとなってしまい、焦点がボケていた(ように思う)。


コレまでに私が読んだ葉室作品中では、最もムムム・・・?な作品だった。


ハムロにしては面白くなかったナ、と思いながら巻末の解説を読んだら、そこには本作の続編『風の王国』があるとの情報。

いずれ、そっちも読んでみるか。



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2012年05月28日(月)

『逝きし世の面影』

テーマ:歴史とか

『逝きし世の面影』  渡辺 京二/著、 平凡社ライブラリー(2005)



結構長い時間かけて読んだな・・・。



幕末・明治初期に日本に訪れた外国人たちによる数々の観察記を精読した著者が、自らの考察もふんだんに加えて、ある時期この国に存在し、今は滅び去った江戸文明を語る・・・。

一度は読んでおくべき、と云われる名著の一つ。誰が言っていたのかは忘れたが・・・。


「ある文明の幻影」と題した第一章、そのイントロで著者が語る。


“日本近代の文明、徳川文明とか江戸文明とか俗称される、一回限りの有機的な個性としての文明が滅んだ”

“文化は滅びないし、ある民族の特性も滅びはしない。それはただ変容するだけだ。滅びるのは文明である”


簡潔さと美しさが一体となった文章。イントロ部だけではない。全編が↑こんな調子で描かれている。

さらに、場合によっては、その語りは熱を帯びることもある。

そんな文章・語りによって、江戸文明とその時代に生きた日本人の残影が照らしだされる。


第 一 章  ある文明の幻影

第 二 章  陽気な人びと

第 三 章  簡素とゆたかさ

第 四 章  親和と礼節

第 五 章  雑多と充溢

第 六 章  労働と身体

第 七 章  自由と身分

第 八 章  裸体と性

第 九 章  女の位相

第 十 章  子どもの楽園

第十一章  風景とコスモス

第十二章  生類とコスモス

第十三章  信仰と祭

第十四章  心の垣根


江戸文明の頃の日本人は、お気楽・朗らかでありながらも、自然に対する諦観を併せ持つ人々だった・・・。

この「自然」には死生観も含まれる。

現代の日本人の中にも結構多く認められると思うし、私自身そういう人間に憧れる。


まったくもって噂に違わぬ名著。 お薦めです。



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2012年05月27日(日)

『無限の住人』29巻

テーマ:マンガとか

休日はショッピングモールへの買い物の運転手にされる。

食料品、日用品を買うだけに、どうしてあんなに時間が掛かるのか?まったくもって理解不能のカミさんの行動に付き合っていられない私は、隙あらば書店に逃げ込む。


本日は何時にも増して立ち読み時間が多かった・・・。


純文学読みのお笑い芸人、又吉氏による『第2図書係補佐』はナカナカに面白かった。

採り上げている本の紹介は文末の僅か数行なのだが、そこに至るまでのエピソードの語りが上手い。

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)/又吉 直樹

久しぶりに大島弓子の『グーグーだって猫である』も読んだ。文庫版の4巻。

家に猫をおくだけでなく、野良猫の面倒まで見るようになった著者。。。愛猫家の話に惹かれる・・・。

グーグーだって猫である(4) (角川文庫 お 25-4)/大島 弓子


購入したのは、↓沙村画伯の『無限の住人』29巻

『無限の住人(29)』  沙村 広明/著、 講談社アフタヌーンKC(2012)

26巻以降を本棚から引っ張り出してきて、4巻を一気に読んだ。
剣劇のエグい場面、グロい場面が満載。そんな場面に嫌悪感を持つ人もいるかもしれないが(我が家のカミさんなど・・・)、その画力、描写力は凄い。
ただ強い剣だけを求めるという考え、公儀に歯向かう者は問答無用で滅するという考え、肉親の仇を取るためにはどんな事も厭わなという考え、それぞれの単純な考えに基づいて命のやり取りをする者たちの剥き出しの姿が潔く描かれている(と思う)。
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2012年05月21日(月)

薄曇りだったけど・・・

テーマ:メモランダム
超高級ガラス製 金環日食グラスBOOK ([バラエティ])/著者不明


金環日食。

いつもより早起きした。


右上から欠け始めた太陽は、その後金環になり、やがて月は左下へと抜けて行った。


ついでに、いつもより早く勤務先に出社した。で、チョット多く仕事ができた。




近所のコンビニでは、早朝から日食グラスを配っていたそうだ。やるな。
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2012年05月17日(木)

『続・日本の歴史をよみなおす』

テーマ:歴史とか


『日本の歴史をよみなおす (全)』  網野 善彦/著、  ちくま学芸文庫(2005)


昨日と同じ本の後半部「続・日本の歴史をよみなおす」について。


第一章 「日本の社会は農業社会か」

第二章 「海からみた日本列島」

第三章 「荘園・公領の世界」

第四章 「悪党・海賊と商人・金融業者」

第五章 「日本の社会を考えなおす」


著者が本編の全体を通して言わんとしていること、


■昔の日本の社会が、「農業社会」などという言い方の通り一遍ではなかった、ということ。


■公家や貴族、あるいは武士以外の被支配者層のうち、農業に携わっていた人々の割合は、歴史上

 のどの時代でも決して多いものではなかったということ。


■「百姓」=農民・農人 ではないこと。


■歴史上の「常識」と考えられるていることの中にも、実な根拠など無いもの、思い込みによるものなどが

 かなりあるということ。


この編では、「網野史学」のエッセンスが描かれている・・・のだと思う。


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2012年05月16日(水)

『日本の歴史をよみなおす』

テーマ:歴史とか

『日本の歴史をよみなおす (全)』  網野 善彦/著、  ちくま学芸文庫(2005)

コレ、有名な本ですね。

もともとは、「日本の歴史をよみなおす」 と 「続・日本の歴史をよみなおす」の2作品だったものが、文庫化されるに際して1冊にまとめられたもの。


本書、通史ではない。

ある特定の時代や事件や人物に着目して書かれた歴史書でもない。


第一章 「文字について」

第二章 「貨幣と商業・金融」

第三章 「畏怖と賤視」

第四章 「女性をめぐって」

第五章 「天皇と「日本」の国号」


↑このようなテーマを挙げ、14世紀の南北朝動乱期の前後を中心にして、古代から近代までの推移をみている。

また、自身をも含めた従来の歴史学者たちは、このようなコトを歴史上どのように捉えてきたのか? どう考えてきたのか? について紹介するとともに、教科書的な知識とは異なる観点・解釈をも披露している。


例えば、


■日本では中世の頃から、一部の特権階級だけでなく、被支配階級に至ってまで識字率が異様に

 高かった理由が、社会システムに理由があるのではないかと考えられること。

 (どういう社会システムだったかが気になる方は読んでくださいね)


■表立った歴史では女性の立場は低いとされているが、文献を詳細に調べることによって、実際は

 これまで考えられてきた以上に社会で活躍する女性が多かったのではないかということが明らか

 になってきていること。


■日本と云う国号が使われだした時期に関する考察


などは、なるほどと思える観点が満載だ。「網野史観」とも云われる独特の視点に立っていると云われる。


一つひとつの歴史的事実に関する正誤は、さして問題ではない。

歴史に対する独自の観かたや考え方の提案がされていることこそが大事だと思える。

こういうのが学者の仕事なんだと思う。

だが、一カ所、ソコは違うだろ、ってトコがあった。

第五章の終わりで云われている、天皇制の存続についてだ。


著者は、展開期を迎えている日本社会(日本人)がいつの日か(そう遠くない将来?)、天皇制の廃止を選択するだろう、と云っているが、この意見は頷けない。この点だけはまったく根拠がない。

これまでの歴史上の出来事の延長からだけでは、未来の人間の所業など予想できるとは思えない。決して線形ではない過去のデータを外挿して得られることの精度などたかが知れている。

歴史から学ぶこととは、今現在の人間の所業がどのような経緯を経てきているのかを知ること。それを知ったうえで、近い将来の所業に対する判断材料とすることなのだから・・・。


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2012年05月08日(火)

『カオスの紡ぐ夢の中で』

テーマ:エッセイ・随筆とか

『カオスの紡ぐ夢の中で』  金子邦彦/著、 ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ(2010)


著者はカオスとか複雑系生命科学とかの研究者。そのエッセイ集+小説。

プラス小説、というのがウリかも。

で、その小説「進物史観」だが、一読しただけではどこが面白いのか良く判らない。なので二度読んでみた。二度読むと二度目にはジンワリと何となく奥深さが沁みてくる。


だが、やはり、何と云ってもエッセイがイイ。特に最初のエッセイは読者を鷲掴みにする。

科学や科学者の位置付け、定義付けが明確かつ納得できるコトが書かれてる。

一言でいうと、科学とは文化なんだ、と云うこと。

何かを発見したり、何かを発展・発達させたりするのは科学の一部の効能であって、それだけではない、ということ。

科学とは、モノの見方や考え方の新たな一面を提示するコトなんだ、という主張は大きく頷いてしまう。

芸術や文芸・文学などと同種の価値観を提案することなんだ。


だから、科学と小説とは親和性が高いんだ。

だから、著者は小説なんかも披露してみせるんだ。面白いかどうかは別として・・・。
だから、この著者の研究室からは芥川賞作家(円城塔)なんかも排出するんだ。

本書、お薦めです。

(昔から科学者のエッセイには面白いものが多いんだ・・・。)



金子邦彦著作のこれ↓も読みたくなった。

生命とは何か―複雑系生命科学へ/金子 邦彦
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2012年05月06日(日)

『花の慶次』と妙義山

テーマ:今日のポタ

ゴールデンウィークの後半は、娘とともに2泊3日で実家に行った。なか日に山歩きをするのが目的だった。

妙義山。上州三山の一つで、奇岩の山。


本だけ読んで暮らせたら

当初は一人で行こうと思っていたが、何気なく娘に聞いたところ、予想外にも「行く」とのことだった。



ゴールデンウィーク中、見るテレビは天気予報ばかり。

5月3日昼過ぎ、実家に向かう道中は大雨。隣り車線のトラックからの水飛沫が凄い。

列島の真ん中に2つの低気圧が居座っているらしい。関東各地は5月3日の夕刻までは雨、その後は回復、との予報。

実家に到着した15時過ぎ、雨は止み、周辺の山々からは一斉に水蒸気が登りだしている。

予報通り、明日4日は晴れそうだ、と期待する。


山歩き前日の実家での夜は、マンガ『花の慶次』の文庫本を引っ張り出してきて読む。

このマンガの中で、豊臣軍による関東(北条)攻めの行軍ルート途中で「松井田」を攻める場面が登場する。

明日、上信越高速道の松井田妙義インターチェンジで降りることを再度確認する・・・。


花の慶次―雲のかなたに (1) (集英社文庫―コミック版)/隆 慶一郎
花の慶次―雲のかなたに (10) (集英社文庫―コミック版)/隆 慶一郎


山歩き当日の5月4日。

4日は晴れるところもあれば、芳しくないところもある、との予報。

実家周辺の朝は小雨。

娘とは、「少しでも雨が降っている場合は山歩きは中止。予定変更して群馬県立自然史博物館に行って恐竜骨格模型展示を見に行こう」 ということにしていた。

取り敢えず、車を出す。 車を走らせ始めた途端に雨は止んだ!?

雲の動きが速い。松井田妙義インターチェンジに着く頃には快晴。


登山口近くの駐車場から見上げる妙義山は日を浴びて輝いている。

岩場は濡れているだろうが、初心者コースを様子を見ながら行こう、と決める。

靴を履き替え、滑り止め付きのグローブを用意して歩き出す。


石門めぐりルートを行く。
本だけ読んで暮らせたら   本だけ読んで暮らせたら


本だけ読んで暮らせたら


頭上の木や岩から滴り落ちる水滴の中を歩いたり、泥濘を踏んだり、鎖を使いながら登ったり降りたりしなければならない岩壁を幾つか越えて、休息場で一休みする。

ジーンズとパーカーを泥だらけにし、汗だくになりながらも娘の魅せる表情は楽しそうだ。


山歩き初心者の娘を連れ、変化の激しい空模様だったこともあり、およそ2時間半を歩いて終了とした。

久しぶりの山歩きだったので、私にもちょうど良い按配だった。



5月5日。

ほぼ全身が筋肉痛・・・。

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2012年05月02日(水)

『明治めちゃくちゃ物語 勝海舟の腹芸』

テーマ:歴史とか

『明治めちゃくちゃ物語 勝海舟の腹芸』   野口 武彦/著、 新潮新書(2012)


以前、『氷川清話』 を読んでみて感じたこと==明治時代(明治政府)も結構いい加減だった==が、書名になってるものだから興味津々で購入。


ところが、書名と中身がかけ離れている。

大政奉還から戊辰戦争終結までの、薩長官軍vs旧幕軍による戦記が大まかに描かれているだけ。

幕末、維新期の主だった人物が一様に出てくるが、「海舟の腹芸」など何処にも書かれてない。


まったく!

野口武彦・・・二度と読まん!
新潮社の本・・・新刊はもう当分買わん! せいぜいブックオフ。 よほど読みたいのが見つかった場合は図書館。

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2012年05月01日(火)

『写真で見る関東大震災』

テーマ:歴史とか

『写真で見る関東大震災』  小沢健志/編、 ちくま文庫(2003)


大正12年(1923年)の関東大震災後の東京や横浜、鎌倉などの地の被災状況を録った写真がおよそ250点載ってる。


東京下町の火に焼き尽くされた被害地域をとらえた写真は、去年の東北地方太平洋沖地震による津波の被害に遭った沿岸域の惨状に酷似している。一部の鉄筋コンクリートの建物の外側が残された以外は荒涼とした更地が残されるのみである。



この地震による死者・行方不明者は東京だけで約15万人。当時の東京の人口がおよそ400万人だから、その割合たるや物凄いものがある。

関東大震災による被害は火災旋風によるものが大きかった。本所の被服廠跡地では一時的に避難した人たち3万8千人もの人が火災によって命を落とした。


大きかった被害は東京だけではない。

震源に近い相模湾沿いの被災率は当然のことながら東京を超えていた。

横浜では9割もの家屋が倒壊し、10万人もの人々が亡くなった。

鎌倉や三浦などでは津波による被害も相当だった。



来年2013年は、大正関東大震災から90年。
近代以降、東京は90年前の地震と70年程前の大空襲によって2度焦土と化した。 そして、その都度復活した。


次の地震の際、おそらく大災害、社会制度の崩壊は免れ得ない。

3度目の崩壊を被ったとき、人口が減少し、経済成長が見込めない社会が、焦土の中から文明を復活させることができるのか?

復活可能なしぶとさを現在の日本社会は持っているだろうか?


災害に対する冗長性とか、復活可能な靱性が持てるような制度設計とは何か?

災害の記憶、復興の記憶を後世に引き継ぐための方策は?


こういうのを読む・見るたびに、東北地方の沿岸域の現場を見るたびに考えるが・・・どうにも、その後が続かない・・・。

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