2012年02月26日(日)

『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』

テーマ:ミステリーとか

『秘書綺譚: ブラックウッド幻想怪奇傑作集』   アルジャーノン・ブラックウッド/著、 南條竹則/訳、 光文社古典新訳文庫(2012)



前の記事で紹介した本よりもこちらの方を先に読んでいたはずだ・・・? 結構前に読み終えていたはず・・・だ?

できるだけ読んだ順番にブログ記事も書いておきたいのだが、ここのところ家のPCの前に座っているときは、もっぱら論文修正をしていたものだから、ブログ記事に時間を割くことができなかった。その間、幾つかの本を読み終えていたが、どの順番で読み終わったのかがゴッチャになった。


さて、本書だが、これも短編集。

1個前の記事の『謎の物語』はアンソロジーだったけど、こっちは一人の作家によるもの。

作者はアルジャーノン・ブラックウッド。


名前だけは聞いたことあったけど・・・・・、

読み始める前はどうかな~って思ったんだけど・・・・・、

じゃ買うなよ!って、一人突っ込みもあるけど・・・・・、

たまには初モノにも手を出してみないとネ、って思って読み始めたはずだ・・・・・。


幽霊、魔術、ゴブリン、予知能力、シックスセンス、などなどを題材にした短編が11篇。

いずれも1900~1923年の間に描かれたもの。


■空家

■壁に耳あり

■スミス 下宿屋の出来事

■約束

■秘書奇譚

■窃盗の意図をもって

■炎の舌

■小鬼のコレクション

■野火

■スミスの滅亡

■転移


このうち、1,2,5,6番目の4編は、ジム・ショートハウスという男を主人公としている。しかし、この男、作品ごとに性格や態度が違っている。シリーズものとして描かれた訳ではなさそうだ?


作者ブラックウッドはイギリス生まれ。おそらく彼が育った環境や文化的背景にキリスト教はあるのだろうけど、作品にはあまり一神教の匂いがしない。ときおり垣間見える宗教的なものは、どちらかというと自然崇拝に近いような気がした。

だから、私のような者でもたいした違和感なしに作品に入り込めたのだろう。

結果、結構面白かった。


訳者:南條氏による解説・年譜・あとがきは30ページ強に及ぶ大作。

この中で、ブラックウッド作品に関しては、芥川龍之介によって初めて本邦に紹介されたとのこと、他にも西条八十や萩原朔太郎との関係など、なかなか興味深いことが書かれている。


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2012年02月25日(土)

『謎の物語』

テーマ:ミステリーとか

『謎の物語』   紀田順一郎/編、  ちくま文庫(2012)



翻訳作品の短編集。 


謎を解明せず、読者の想像に任せたまま物語を閉じる。そういうのをりドル・ストーリーと云うのだそうだ。

本書は、世界的にかなり有名なりドル・ストーリーを集めたもの。


おそらく最も有名なのが 『女か虎か』 という話。

自分の娘(王女)をかどわかした罪で若者を裁断する独裁者。裁きとは、闘技場で二つの扉のどちらかを選ばせるというもの。片方の扉の向こうには美女がおり、もう片方の扉の向こうには餓えた虎がいる。究極の二者択一。

はたして若者はどちらの扉を選択するのか??? 結末は描かれずに物語は終わる。。。


コレ↑↑と似たような話、どこかで聞いたことあるでしょ!?

そのオリジナルが、1882年、フランク・R・ストックトンという作家によって描かれたのだそうだ。


本書には、その続編 『三日月刀の督励官』 も載ってる。読者から真相を問われることが煩わしかったストックトンが、4年後に“御愛想”のつもりで描いたんだそうだ。だが、その作品もまた、より一層の謎を残して物語が閉じられているのである。

その後、『女か虎か』 の解決編を幾人もの作家が試みているそうであるが、それら多くの中でも傑作として評判らしい、J・モフィットという人の描いた 『女と虎と』 が本書に載っている。

この解決編はかなり凝っている。3作続けて読むと一層面白さを増す。編集の功である。

他にも、マーク・トウェイン、小泉八雲、N・ホーソーン、O・ヘンリー、A・ハックスリー、キプリングなどの作品も載ってる。

どれもが傑作というわけでもないが、面白作品率は結構高い。


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2012年02月18日(土)

『脱出空域』

テーマ:ミステリーとか
SILENT ENEMY (2011)
『脱出空域』  トマス・W・ヤング/著、 公手成幸/訳、 ハヤカワ文庫NV(2012)


前作 『脱出山脈』 との兼ね合いがあるからこんなタイトルになるんだろうけど、原題は「サイレント・エネミー」なんだよねぇ(^_^;)。。。 


老朽空輸機B-5ギャラクシーの中で繰り広げられる緊迫した戦い。

戦う相手は、航路に待ち受ける気象条件・自然条件、老朽化が進み故障だらけの機体、収容された怪我人たちの容体、クルーの疲労蓄積、そして仕掛けられた爆弾。この爆弾、ある一定高度にまで低下すると起動する・・・。

はたして、乗員・クルーたちは生き残ることができるのか?


前作『脱出山脈』での主人公コンビ、マイケル・パースン空軍少佐とソフィア・ゴールド陸軍上級曹長がまたまた登場。


政治政策、宗教・信条などどうでもイイ。

僚友を守るため、故郷に帰るため、目の前にある任務を遂行するため、そして誰かに必要とされているから戦う。

自分に出来ることを淡々と最後の最後まで諦めずにやり続ける。

クルーたちのそうした姿と考えが延々500ページにわたって描かれる。

まァ、とにかくカッコイイの一言。


緊迫したストーリー展開の連続で、読んでいる途中、何度も胸を圧迫されるような感じが続く。しかし、その中で時折、パースンやクルーたちのセリフ、行動に勇気付けられ感動する一瞬が訪れる。

ラストも含めて、決して全てがハッピーに終始する訳ではないが、それでも読後感はスッキリ!


お薦めです。

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2012年02月12日(日)

『アイアン・ハウス』

テーマ:ミステリーとか

   
『アイアン・ハウス (上) (下)』   ジョン・ハート/著、 東野さやか/訳、 ハヤカワ・ミステリ文庫(2012)


早川書房は、本書を文庫版とポケミス版の2形態で出版している。値段は同じ。文庫は上下2巻構成だが、ポケミスなら1冊で済む。

個人的な好みから云えば、新書形態のポケミス版で読みたいところだが、私の場合、ジョン・ハートの過去作品は文庫で読んできているため、今回も文庫の方がそれらと隣り合わせにして本棚に収納できるので都合が良い。

別段、文庫と新書を隣り合わせにしたっていいのだが、現在の私の本棚の構造上、文庫用と新書用とでは収納高さが異なっており、スペースを有効活用するために、こうした事態が起こる・・・。

・・・どうでもイイ話でしたね。失礼しました。



さて、ジョン・ハートがストーリー・テラーだってことは過去の3作を読んで判っている。どれも高品質の作品だ。

  『キングの死』     『川は静かに流れ』     『ラスト・チャイルド』


本作品もアッと言う間に読めてしまう。


犯罪組織を抜けると言い出したことから、組織に狙われる羽目となった主人公マイケル。

犯罪組織の一員であり、数々の殺人に手を染めてきたことを隠して付き合っている恋人エレナが狙われることになる。エレナが勤めるニューヨークのレストランが爆破され、多数の死傷者が出る事件が起こる。運良く難を逃れていたエレナを連れ、ひとまずニューヨークからの逃亡を計画するマイケル。

そんなマイケルに掛かってきた電話。組織は、子供の頃別れ別れとなった弟ジュリアンまでを盾に取ろうとしている・・・。

2人を守るために、組織との対決を決意したマイケル。彼は恋人エレナを連れ、弟ジュリアンが暮らす地へと向かう・・・。


マイケルとジュリアンは、ごく幼い頃に親に捨てられ、10歳・9歳になるまでアイアン・ハウスという施設で育てられた。体と精神の弱いジュリアンは、施設の子供達から虐めの対象となっており、マイケルはそんな弟を守る毎日を送っていた。

ある日、彼ら兄弟を引き取ろうと、上院議員夫妻が施設を訪れる。そんな最中、虐めにあっていたジュリアンが相手の一人を殺してしまった。その現場にいち早く駆けつけたマイケル。ジュリアンの体と精神では、捕えられ尋問などされ、さらには収監などされたら死んでしまう。そう考えたマイケルはジュリアンの身代わりになり、上院議員夫人の目前を駆け抜け、施設からの逃亡を図る。


施設から引き取られたジュリアンは、上院議員夫人からの愛情と恵まれた環境の中で育てられ、今は児童書作家として世間から認められるまでになっている。しかし、未だアイアン・ハウスで受けたトラウマを完全に克服するまでには至らず、発達障害による情緒不安定も時折顔を覗かせる・・・。

マイケルが上院議員夫妻とジュリアンの元を訪れた時もまた、ジュリアンは自分の殻の中に閉じこもっている最中だった。精神の奥底では、子供の頃の自分を守ってくれた憧れのマイケルが来てくれたことを理解しているにも拘らず、現実に向き合えないほど、何らかのショックを受けているジュリアン。しかも、マイケルが来宅している最中、ジュリアンは忽然と姿を消した。何故ジュリアンの精神状態は最悪の状態に落ち込んでいるのか?ここ上院議員の邸宅と敷地内で何が起こっているのか?


マイケルの過去と、マイケルが犯罪組織の一員だったことを聞かされ、動揺を隠しきれない恋人エレナは衝動的にマイケルから離れる。そんなエレナを捉えた組織。ジュリアンとエレナ、2人を同時に守らなければならない、という板挟みに会いながら、マイケルは組織との戦いに挑む・・・。


場面展開はスピーディで、数々のアクション・シーンは迫力も迫真さもある。

でも、今までのジョン・ハート作品と比べて何処か物足りなく感じる。 なぜか??


一つには、主人公のマイケルが余りにもスーパーマン過ぎること、そしてマイケルにとって都合のイイ事ばかりが起こること、が挙げられる。リアリティさに欠ける・・・というのかな?


そして、何よりも決定的なのは、エレナの性格描写が貧弱すぎると感じられるのだ。

そもそもこの物語は、恋人エレナに対する想いからマイケルが犯罪組織を抜け出すことに端を発している。にも関わらず、マイクルは何故そこまで彼女に対する想いが強いのか?が伝わってこないのだ。

恋人に対する強い想いについては、コトある毎に2人の会話として描かれてはいる。しかし、彼女がそれほどまでに魅力ある人物なのかが何か特別なエピソードを通して描かれているわけではない。ただ、マイケルが好きになったという前提があるだけなのだ。

つまり私には、マイケルの恋人エレナという人間の魅力が判らなかったのだ。それほどまでの女なのか?と思わずにはいられなかった。


一方で、上院議員夫人アビゲイルが何故ジュリアンをそれほどまでに慈しむのか?については、それがストーリー中の謎の解明を担う要素の一つともなっており、実に良く描けている。

むしろ、このアビゲイルこそが主人公だと云ってもイイくらい彼女は良く描けている。


マイケルがかつて属した犯罪組織との戦い、上院議員宅地内の湖から発見されたアイアン・ハウス出身者の死体とジュリアン失踪の謎、この2つの大きなプロットそれぞれが余りにも複雑な様相を呈しながら展開する。

だからなんだと思う。プロットを複雑にした分、主人公マイケルと弟の養母アビゲイル以外の周辺人物たちの描写が単調になり過ぎたのではないか?という気がしてならないんだ。

これまでのジョン・ハート作品に感じられた、人・家族に対する深い洞察というものが全体を通して足りなかったように思えた。そこが惜しい。
ジョン・ハートという高レベル作家の作品ゆえの贅沢な要求かもしれないけど・・・・・。 それでもお薦めなんだけどね。
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2012年02月11日(土)

現実からの逃げ道

テーマ:読みたい・・・(未読本倉庫)

忙しいうえに問題山積の業務も抱え儘ならぬ状況である。若い時ほどの気力もバイタリティもなく、すべきことも出来ずにいる。

そんな中でも読みたい本はいくらでも出てくる。

休日出勤をした帰りに購入してしまった本。


脱出空域(ハヤカワ文庫NV)/トマス・W・ヤング

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/ヨハン テオリン

謎の物語 (ちくま文庫)/紀田順一郎/編
本の購入と毒にも薬にもならない読書こそが、私の現実からの逃避術。辞められまへんナ~
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2012年02月10日(金)

『ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち』

テーマ:ミステリーとか

『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』   三上延/著、 メディアワークス文庫(2011)


読みたかったやつ。

たまたま娘が同級生から借りてきていたのを、ここぞとばかりに又借りしてしまった。

出勤時に本書を持って出て、往復の電車の中と、帰宅して夕食後の腹ごなし中に読み終えた。


古本とその古本にこだわる客に纏わるミステリーの連作中編集。

探偵役は、大怪我をして入院中の古書店主の篠川栞子さん。

助手は、職探し中の身だったが、ヒョンなこと(第一話)が切っ掛けで店員になった五浦大輔23歳。


プロローグ

第一話 夏目漱石 『漱石全集・新書版』 (岩波書店)

第二話 小山清 『落穂拾い・聖アンデルセン』 (新潮文庫)

第三話 ヴィノグラードフ・クジミン 『論理学入門』 (青木文庫)

第四話 太宰治 『晩年』 (砂子屋書房)

エピローグ


うん。評判どおり面白い。

第四話の犯人など少々突飛なキャラも登場したり、探偵役の栞子さんの頭脳はホームズのようにデキ過ぎだとも思えるが、ラノベ的デフォルメだとすればそれもアリ。キャラ萌え要素もあるし・・・

まァ、それに何と云っても本に纏わる話だしね・・・。

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2012年02月07日(火)

執筆中

テーマ:メモランダム

ただいま執筆中です。

自分的には数年ぶりの大著です。

現在、十数ページに及ぶ論文を書いてます。


初稿はだいぶ前に出しましたが、数名の審査者によるピア・レヴューを経て、33項目に及ぶ修正・追加説明を要請されて審査から戻ってきました。

で、その修正原稿の提出締め切りがもうすぐ。あと1か月もない。


勤務先では顧客から委託されている業務が優先され、個人的な論文の執筆など後回しです。

年度末ということもあって本来業務もテンコ盛りです。仕上げなけりゃならない報告書がまだまだ何件も残ってます。

勤務日のうち週に何日かは、現場、業務の中間報告、会議・打合わせやらで外出するため、勤務時間の半分も書き物ができません。

そのため、論文の修正は自宅で行わなければなりません。


ジョン・ハート著『アイアン・ハウス』も、ブラックウッド著『幻想怪奇傑作集』も読み終わり、記事も途中まで書き掛けているのですが、そのまま止まった状態です。


記事も書かずに読み終った本ばかり・・・になる!?

しかも困ったことに、何故か忙しい時ほど隙間の時間を見つけて本を読みたくなる・・・。


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