1 | 2 次ページ >> ▼ /
2011年10月29日(土)

『ねじれた文字、ねじれた路』

テーマ:ミステリーとか
CROOKED LETTER , CROOKED LETTER (2010)
『ねじれた文字、ねじれた路』   トム フランクリン/著、 伏見威蕃/訳、 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2011)


少年時代の一時期、濃密な時間を過ごしたラリーとサイラス。 しかし、サイラスが黒人であったことから、合衆国南部の保守的な街では二人が友人関係にあることは内密にされなければならなかった。

そんな二人の関係が破れたのは、ラリーの父親に二人が一緒にいるところを見つかったことが切っ掛けだった。それ以来、お互いを避けるようになり、そしてある日、一人の少女の行方不明事件が決定的となって二人の付き合いは一切絶たれた。。。


25年前、少女が行方不明となった夜にデートをしたラリーは、少女と最後に会った人物として、彼女を殺し何処かに埋めたのではないかと疑われた。殺人・死体遺棄に関する一切の証拠もなく、厳しい尋問にも否定し続けることから“スケアリー・ラリー”と呼ばれ、25年間、街中から無視され、時には嫌がらせを受けている。


一方のサイラスは、大学入学に伴って一旦は街から離れたが、法の執行官として再び街に戻り、最近は町民からの信頼を得てきているが、少年期にラリーと親しかったことは上司にも恋人にも秘密にしている。


そんな二人の運命が25年後に再び交錯しだす。 またもや一人の少女が行方不明となったのだ・・・。


当然のごとく疑いを掛けられるラリー。だが、25年前のある秘密を知るサイラスはラリーの犯行とは思えない。

そんな折、ラリーが胸を撃たれ意識不明の重体に陥った。サイラス以外の捜査関係者達は、ラリーが2つの事件の罪の意識を抱え自殺を図ったのだと解釈する。だが、サイラスは単独捜索を行い、ラリーの周辺に現れたと思しき何者かの痕跡を発見する・・・。



本書ではかなりのページを割いて、2人の主人公の少年期と現在の有り様が視点を変えてそれぞれ濃密に、しかし淡々と描かれて行く。そんな作品の中盤までを読むのに私は少々の根気を必要とした。本書の狙いが何に、何処にあるのかがイマイチ判らなかったからだ。

それと云うのも、この作品は、犯人探しや犯行動機探しなどのミステリー要素に重点を置いた作品なのか? それとも主人公の心理・感情の移ろいや人間の関係性を描くことに重点を置いた(いわゆる「純文寄り」の)作品なのか? その配分が掴み難かったからだ。両者のバランスを測り損ねていたのだ。


ところがクライマックス以降、本書の主題が以下の2点に収斂され始め、「純文寄り」であることがハッキリしだしてからは俄然読む速度が増した。私なりに作品の主題の位置付けを理解することができたってことだ・・・。

で、本書の主題だが、私なりの解釈だと、

 ■お互いに対する疑念や25年前からの秘密を抱く後悔と無念の気持ちはサイラスにどのような行動を

  採らせるのか?

 ■25年が経って捜査官と容疑者という立場にある二人の間に、少年期のある一瞬を確かに共有した者

  同士の繋がりは残っているのか?

ってことになる。


さらに、2人の関係は果たして「友達」と呼べるものだったのか? という読者への問いを残したエンディングも気に入った。

この“問い”の存在が、巻末で解説者が述べるところの余韻に繋がっているのだろうと思う。


お薦めです。


AD
いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2011年10月28日(金)

『無限の住人』 28巻

テーマ:マンガとか

『無限の住人(28)』  沙村 広明/著、 講談社アフタヌーンKC(2011)


ついに、ついに!千両役者全員集合の巻。


いよいよ終幕に向けて加速しだした!


チャンバラ描写にも一層の冴えを魅せる沙村画伯。

カッチョイイ場面満載。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月26日(水)

『ローラ・フェイとの最後の会話』

テーマ:ミステリーとか

『ローラ・フェイとの最後の会話』  トマス・H・クック/著、 村松 潔/訳、 ハヤカワ・ミステリ(2011)


読者に心理的な圧迫感を強いるミステリ作品を描く職人作家トマス・H・クックの新作は、これまでの文春文庫からハヤカワ・ポケット・ミステリに移籍した。


通常のトマス・H・クックの作品は暗い。ドンヨリしている。結末に一縷の望みも持てない救いようのない話も多々ある。それでも読んでしまう。読まされてしまう。


何故、居たたまれなくなるような話、気持ちが沈み込む話を好き好んで読むのか?

いろいろ考えるところはあるが旨く文章にできない。 まぁ、はなはだ陳腐な言葉を用いた要約ではあるが、「負の感情をデトックスするための呼び水」ってところなのだろう・・・。

今作もそうだと思っていた・・・。

では、作品紹介。

本作の主人公は、しがない歴史学者。ある地方都市での講演会が終わった後、ホテルのロビーで彼に声を掛けてきた初老の女。彼女の名前はローラ・フェイ。彼はこの女を知っていた・・・。

この物語は、登場人物二人の会話だけで構成されている。二人の会話の中に出てくる人物たちを含めてもせいぜい7、8人程度しか登場しない。しかも、そのほとんどが故人。


20年前に二人の故郷で起こった殺人事件。加害者、被害者の双方が二人の身内であり、当事者として少なからぬ関わりを持っていた二人。

主人公とローラ・フェイとの間で、事件に関わる人物たちに関する会話が交わされ、徐々に、当時、主人公が抱いていた様々な感情が明かされて行く。ローラ・フェイとの会話に誘導されて・・・。


非常にシンプルな物語。それが2段組み350ページもの小説として成立するんだから、複雑なのは人間の行動や感情にあるってことだ。人の心理描写だけで小説が書けてしまう。そういうのが改めて判る。


いつものトマス・H・クック作品と比べると今作には二重の裏切りがある。良い意味の“裏切り”ね。“意外性”と云う方が適切かもしれない。

最後の最後で自分の感情が引っ繰り返される快感が味わえる。お薦めです。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月25日(火)

『本へのとびら  岩波少年文庫を語る』

テーマ:本を読むこと・本にまつわること

『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』  宮崎 駿/著、 岩波新書(2011)


アニメ映画監督、宮崎駿の選んだ岩波少年文庫が50冊紹介されている。1冊1冊に書店のポップのような短いコメントが添えられている。


岩波少年文庫は読み易くて、私レベルに丁度イイ。 それに挿絵があるってのも魅力。

かつて、かなり感動した本 もあった。

こんなガイド本を読んじゃうと、ますます積読本が増えてしまう。


「三月十一日のあとに」というエッセイでは、震災後の日本社会が「終わりの始まり」の時代に突入したというようなことを言っている。 ちょっと、私の感覚と重なるところもある。。。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月23日(日)

『ハルシオン・ランチ2』

テーマ:マンガとか
『ハルシオン・ランチ(2) <完>』   沙村 広明/著、  講談社アフタヌーンKC(2011)

沙村画伯のスットコドッコイ漫画。 久しぶりの2巻。そして最終巻。


そもそもこの漫画、充分な計画性があって連載を始めたのだろうか? そうとは思えない。

行き当たりばったりのプロット、登場人物。思い付きで描いているようにしか思えないんだが・・・。
センス・才能のみで描いているような気がする。。。 そこがイイ。


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月23日(日)

New PCのセットアップが面倒

テーマ:メモランダム

丸7年近く使ったPCを諦め、週末に新しいPCを購入。いろいろ比較した結果、dynabookに決定。

デスクトップ型からノート型へ。XPから7へ。

インターネットへの接続、メール・アカウント登録、プリンターへの接続、などなど、面倒な設定・・・


無線ランへの接続設定では、7年も前のバッファロウ社製のルーターのセキュリティ・キーが判らず苦戦。結局、ネット・ケーブルを買ってきて、一旦有線接続し、バッファロウのWEBからセッキュリティ・キーが判らなくても無線ラン接続ができるソフトをダウンロードして、やっとこさ無線接続が可能になった。それだけのことで疲れた・・・。

昔はコンピュータやらプログラムを触っているだけでも楽しかったが、最近ではそのテのことがホント億劫になった。


ま、取り敢えずネットには繋がった。まだメールの開通やら、プリンター設定が残っているが、少しづつネ。。。


PCも復活したことだし、読み終わっている漫画や小説がいくつかあるので、また少しづつ記事をアップしていけるかな!?


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月17日(月)

PCクラッシュ

テーマ:メモランダム
ついに自宅のPCが壊れた。
六年半も良く持ったんじゃないかと思う。
買い換えるのはやぶさかではないが、機種選びやらセットアップやらが面倒だ・・・。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月14日(金)

『失われた地平線』

テーマ:ミステリーとか
LOST HORIZON (1933, 1936)
『失われた地平線』  ジェイムズ ・ヒルトン/著、  池央耿/訳、 河出文庫(2011)


「シャングリ・ラ」という名称を世界に広めた(?)と云われる作品。


元々はこの作品による架空の地名だったものを、中華の国は、あるチベット地方の町を改名させて実際に造ってしまった・・・なんてこともある・・・。(最初から脱線・・・)



この作品、いつかは読みたいなァって思ってた。絶版状態で古本屋でもなかなか御目にかかれなかった。

河出書房さん、新訳版をありがとう。


革命の騒乱から脱出するために乗り込んだ飛行機は、イギリス人領事コンウェイを含む4人を乗せ、インド領内を東に向かい、世界有数の山岳地帯上空を飛び、チベットらしき地に不時着した。弧絶の山岳地帯がコンウェイらを取り囲む・・・。

パイロットは正規の軍人ではなく、何故か中国人が操縦していた。その中国人パイロットは、コンウェイに「ラマ教の僧院があるシャングリ・ラに向かえ」と言い残して間もなく死亡した。そこに、谷の向こうから一塊の人間たちがやって来るのをコンウェイらは凝視した・・・。

ラマ僧らの一行に助けられた4人はシャングリ・ラに招かれた。


シャングリ・ラの僧院には世界中のあらゆる書籍を集めた驚くべき図書館があり、西洋音楽を奏でるものが居り、様々な研究と思索に耽るラマ僧らが静謐に暮らしている・・・。

シャングリ・ラでの生活にも慣れてきたある日、コンウェイは僧院を司る大僧正との面会を許され、シャングリ・ラとそこに暮らす人たちの秘密を聞くこととなる・・・。

この後、コンウェイは大僧正と何回か面会し、その都度二人の会話が描写される。

コンウェイと大僧正とが話す中身にはヒトの在り方や生き方に関わるコトも多く、その言い分はゆとりと気品に溢れている。 (おそらく日本語訳も素晴らしいのだと思う。)

本書のプロットには、ミステリー的要素も冒険小説的な要素も含まれるが、コンウェイと大僧正との会話部分こそが本作の主要部だと思われる。

いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2011年10月08日(土)

『日本中枢の崩壊』

テーマ:なんでも読んでみよう
『日本中枢の崩壊』  古賀 茂明/著、 講談社(2011)

話題の書らしい。 何が話題かというと著者。 現役官僚時代に自分が属した組織や政権をケチョンケチョンに否定し(たと判断され)て仕事から干されていたことで話題になっていた。


勤務先の後輩が読んでいたのを見て借りた。


中身だが、大きく分けると3つのことが言われているかナ。

 (1) 今後、日本人がソコソコに暮らしてゆくためには、古くなった国の統治システム(官僚システム)を大胆

   に変えなきゃダメだ!ってこと

 (2) 最近の民主党政権が行なってきたことに関して、推測も交えた暴露話

 (3) 過去に、自分が官僚として何を行なってきたかということ


(2)と(3)に関するコトの真偽は、著者の一方的な話なのでどうでもイイ。

この本を読んで多少なりとも考えるのは(1)について。まァ、ココ20年余り言われ続けて久しいことではある。


官僚組織に関わらず、企業でも管理・統治システムは疲弊している。 疲弊しているものをいつまでも使い続けている。 変えればいいのだが、変えられない。

“こんなところがダメだ” “だから、このように具体的に変革しよう!” という所までは今までにも様々に提案されている。 本書でもイロイロな変革案が出されている。

・・・・・それでも変えられない。


私が思うに、「このように変えましょう!」 という提案より、

 ■何故、疲弊した組織やシステムを変えられないのか?

 ■今となっては古いのだが過去に成功体験を持つ既存システムを廃止したり、既得権を持つ組織のトップに

  居る連中を辞めさせるためのインセンティブとして、どのようなもの・手立てがあるのか?

を考えてはどうなのだろう?と思ったネ。

考えるにしても、精神論・道徳論や経済論的観点ではなく、脳科学とか集団心理とかの自然科学的な観点からのアプローチはどうなのだろう?と思った。

ある刺激によって古いシステムを変えたくなったり、社長や事務次官を辞めるとエンドルフィンが出て非常に気持ち良くなる方策ってのは無いものかね・・・。


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年10月02日(日)

『ゼロ年代の想像力』

テーマ:なんでも読んでみよう
『ゼロ年代の想像力』  宇野常寛/著、 ハヤカワ文庫(2011)


小説や漫画やアニメやゲームやTVドラマや映画などに描かれた物語を通して考察した時代風潮に関する批評。

450ページもあって読み始める前は構えたが、中味はスッキリした論旨で、著者の言いたいことが良く解った。納得できる部分も多々あった。


これまでにも幾つか、社会や世相を評論・批評したような本を読んだことはあったが、いつも引っ掛かっていたのが“ポストモダン”という言葉。今まで読んだものからは、ある範囲の時代を表すこのような単語の意味が良く理解できなかった。

それが本書を読んでヤット解った(ような気がする)。


一回り以上も年下の教師に教わって、やっとこさ理解できた出来の悪い生徒・・・。




<注意!>

本書が対象とするく読者層はおそらく30歳代以下。

40歳代後半の私が付いていけたのは、(子供と一緒になって)漫画にもゲームにも日常的に好んで関わっているからであって、そういったものに関わっていない、興味のない年寄りには著者が何を言っているのか殆んど解らない内容であると思う。ある程度、議論の前提となる背景知識を必要とします。


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
1 | 2 次ページ >> ▼ /

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。