2011年09月25日(日)

『エージェント6』

テーマ:ミステリーとか
AGENR 6 (2011)
   
『エージェント6(シックス)』  トム・ロブ・スミス/著、 田口俊樹/訳、 新潮文庫(2011)


第1作 『チャイルド44』 はミステリ小説風、第2作 『グラーグ57』 はアクション・冒険小説風だった。

で、この第3作目はスパイ・謀略小説風味か? いや、ちょっと違う?

ともかく、この作家は同一主人公による3つの異なるジャンルの小説を描いたようだ。


3作に共通していたのは、

物語の舞台が共産主義ソビエトによる恐怖政治が布かれた時代情勢下であったこと、

体制側の人間である主人公レオ・デミトフがイデオロギーに反した行動を強いられる中で、どのように生き延びることができるのか?というのがメイン・プロットであったこと、

そんなメインプロットを展開しながら、おそらく著者は、主人公の家族に対する感情を主題としていたのかな?ということ。。。

だが、3作の風味は随分違う。(と思う)


エンターテイメント小説としては3作とも見事なオチをつけて完結させながらも、シリーズを通してみるとどうにもスッキリとした読後感が味わえなかったのは、主題の重さを突きつけられたからなのだろう。ほんと、ズッシリとした作品だ。

本作、前2作とも傑作であることに間違いはなく、非常に読み応えのあるシリーズだが、再読するには重過ぎる。



蛇足:

今回、トム・ロブ・スミスのデミトフ3部作を読み終わって思い出したのが、90年代にフィリップ・カーという作家が 『偽りの街』、『砕かれた夜』、『ベルリン・レクイエム』という、同一主人公を登場させながらも異なるテイストの3連作を描いていたことだ。確か第二次世界大戦を挟んだ物語だった・・・。第1作の『偽りの街』はハードボイルドの傑作だった・・・はず・・・。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年09月18日(日)

『生きているのはひまつぶし』

テーマ:エッセイ・随筆とか
『生きているのはひまつぶし』   深沢 七郎/著、 光文社文庫(2010)

先日読んだ 『本と怠け者』 に中に登場した作家の一人で、埼玉県の菖蒲町というところに農場を開いて移り住んだという深沢七郎。 「楢山節考」を書いた作家として有名。


『本と怠け者』 を読んだ際になかなか癖のある人間であるように思えたので、この人の書いたエッセイを読んでみようと思い立った。

読んでいる最中の印象は“粗野”。結構、無茶苦茶なことを言ってたり、齢を重ねれば誰もが判るようなことを言ってることも多いが、嫌な感じはしない。きっと言い方が潔いからだな。


AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年09月17日(土)

『恐竜博2011』

テーマ:自然科学とか

上野の恐竜博は10月2日まで。

今回の展示の目玉は、待ち伏せティラノ。別名お座りティラノ。

肉食のティラノサウルスが獲物を狙う様子を骨格標本として再現している。


本だけ読んで暮らせたら-110917dyna


7月からの開催以前にチケットは購入済みだったのだが、なかなか行く機会がなかった。

家族全員の都合がついた本日参戦。

スゲー混んでた。その混雑が凄すぎて、会場では全部の解説まで読むことができず。。。

ってことで、ガイド本を購入。2000円。内容は充実している。


AD
いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2011年09月15日(木)

『本と怠け者』

テーマ:エッセイ・随筆とか
『本と怠け者』   荻原 魚雷/著、 ちくま文庫(2011)


この本の著者は、天野忠、矢牧一宏、十返肇、古山高麗雄、阿佐田哲也、深沢七郎、中村光男・・・らの小説や随筆(どれも古書)を好んで読んでいるらしい。

そんな古書ばかりを読んでいる著者には、作品や作家の生き方を通して世相や社会や人間や自らのことが透けて見えるらしい。

古書と関わることで見えたこと、感じたことが綴られたエッセイ集。


どれも読んでいると脱力できる。

そんなに頑張らなくても、シャカリキになって働かなくても、ダラダラしていても、宙ブラりんでも、イイじゃないかと思わせてくれる。



震災後は、私もソロソロ脱力してイイ頃合かな・・・、歳相応に落ち着ければナ・・・などとイロイロ考える。

PTSDの一種か?などとも思う。

そんなときにはエッセイ。

自分でイロイロ考えようとすると、無い頭を振り絞らなければならないからチョット面倒くさいし、疲れる。だから他人の考え(本)を借りてくる。腑に落ちる他人の考えに出会うと、それだけでも何となく落ち着く。安心する。



ミステリを読む合い間に、もう少しエッセイを読んでみようと思う。力を抜くために。

勤務帰りに深沢七郎の『生きているのはひまつぶし』を買ってきた。


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年09月08日(木)

『生、なお恐るべし』

テーマ:ミステリーとか

THE TERROR OF LIVING (2011)

『生、なお恐るべし』   アーバン・ウェイト/著、 鈴木恵/訳、 新潮文庫(2011)

長篇デヴュー作だそうだ。今年は新人作家の作品を結構読んでるナ。

さて、先ず最初に思ったのが、どうしてこういう訳題になるかな?ってこと。 購買ターゲットはオッサンか??

若い人が、このタイトルに惹かれるとは思えんのだが・・・。


そして、帯の表と裏側に書かれた惹句。

 表側: 「C・マッカーシー、D・ウィンズロウ、T・R・スミスに叩きつける挑戦状!」

 裏側: 「どえらい小説だ。仮借なきテンポと流麗な語り。弛緩というものをまったく知らない。」

        ↑ この惹句、スティーヴン・キングの名前を持ってきている。

読み終わって言えることは、この煽りの惹句は、いくらなんでも言い過ぎだってこと。

大御所作家を羅列して釣る商法。。。このテのあざとい誇大広告はキライ。


文句ばかりを言ってもしょうがないので内容紹介。


小さな牧場で少数の馬を育てるだけでは生活が成り立たない主人公:初老の前科持ちフィル・ハントは、時折、麻薬の運び屋をしている。20年以上も運び屋をしてきたが、コレまで問題となることは無かった。

だが、遂にその日がやって来た。受け渡し場所を保安官補に発見され、歳若い相棒は捕まり、自身はなんとか逃亡を果たす。

そして、その失敗を償うために引き込まれた新たな仕事で命を狙われる始末。極僅かに生き残れる道を模索するため、取引の“麻薬”を持ち去るフィル・ハント。

フィル・ハントを執拗に追う殺し屋。

麻薬を追うベトナム人マフィア達。

殺し屋とマフィアが通った跡には数々の死体。

彼等を追うFBIと保安官補。

追う者と追われる者を描いたクライム・ノベルの佳作。


主人公と保安官補、この二人の人物造形はイイ。プロットは普通。結末はイイ。総じてソコソコの作品。

だが、D・ウィンズロウには敵わない。あれほどの作家にソウソウ敵うはずもない。

かなり、C・マッカーシーの影響を受けていることも判る。だが、C・マッカーシーまでは遥か彼方だ。


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011年09月01日(木)

『謝罪代行社』

テーマ:ミステリーとか
SORRY (2009)
『謝罪代行社』  ゾラン・ドヴェンカー/著、 小津薫/訳、 ハヤカワ・ミステリ1850(2011)

このポケミスも当たりだ! 今年のポケミスは大豊作。


着想の斬新さ、叙述の巧みさ、筋運び、どれも高レベル。

前半部を読んでいる時の心理的圧迫感・・・、早く先が読みたい!との焦燥感・・・。今のところ今年一番、ドキドキ、ザワザワを感じさせてくれた作品。

(もっとも、爽快感はまったく無いけどネ。そういったモノとは真逆の感情が揺さぶられるので、サイコ・サスペンス系が苦手な人、嫌いな人は要注意。)



若者の正規職への就職が難しいドイツ。

新聞社を解雇されたクリス、弟のヴォルフ、兄弟の友人タマラ、タマラの親友フラウケ。

2人の男と2人の女は、依頼人に代わって謝罪を行なうことを仕事にしだした。謝罪代行社<SORRY>の仕事は、口コミで評判を呼び、繁盛した。湖畔のヴィラを購入するまでになった4人は、そこで共同生活をしながら事務所としても活用している。

仕事も生活も順調だったある日、ラルス・マイバッハという男からの依頼を受けて、ヴォルフは指定のマンションに行った。その一室には、壁に磔にされた女の死体があった。。。

マイバッハは、彼に代わって、彼が殺した女に謝罪するよう、謝罪代行社<SORRY>に要求する・・・。異常な犯人? 異常な事件???


全てのコトが終わった後に車を走らせている「わたし」とは誰なのか?

マイバッハの行動や感情を綴る「おまえ」とは誰なのか?

事件に深く関与しているにも関わらず、「現場に居なかった男」とは誰なのか?


時制が入り乱れる場面展開。人称までもが入り乱れる。1人称描写と3人称描写が使い分けられるだけでなく、2人称による描写まである。

この2つの奇妙な叙述形態が組み合わさって、複雑な筋立てが構築され、幾つもの謎が浮かび上がる。

だが、読みやすい。だから、内容が解らなくなるなんてコトはない。これから読む人は安心してイイ。 


複雑な筋立てによって隠されている犯人、犯人の動機、<SORRY>4人の先行き、物語の終着点、これらが明らかになるまでページを繰るのがモドカシク感じられる。


ドイツ推理作家協会賞受賞だそうだ。頷ける。お薦めです。

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。