2011年06月22日(水)

『働かないアリに意義がある』

テーマ:自然科学とか
『働かないアリに意義がある』  長谷川 英祐/著、 メディアファクトリー新書(2010)


多様性があることは、集団を、種を、世界を、粘り強いものにする。

粘り強さは、チョットやそっとの危機に直面してもポッキリと折れたり、最悪、絶滅してしまう、などということを減じてくれる。


無駄であること、短期的な利益には繋がらないこと、予測不能なこと、こうしたことが充分に在り得ると知りつつ、それでも自分の出来ることを日常として続けること。


アリやハチの世界を観察し続けることが、ヒトの世界を知ることに繋がる。

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2011年06月21日(火)

『慶喜登場 遠い崖4』

テーマ:歴史とか

『慶喜登場 遠い崖4 アーネスト・サトウ日記抄』  萩原 延壽 /著、 朝日文庫(2007)

アーネスト・サトウ日記抄を読んだのも久しぶりだ・・・。

こんなペースでは全部読むのにどのくらい掛かるのだろう・・・。


第1巻 『旅立ち』第2巻 『薩英戦争』第3巻 『英国策論』  からの続き。


この4巻は次のような内容


■ 慶喜登場
第二次長州戦争の最中、14代将軍家茂はわずか二十歳で他界する。

将軍が不在となる間、薩摩・長州を中心とした反幕府勢力は、有力諸藩連合による政体を模索するものの適わない。時期尚早。

一方、次期将軍最有力者である一橋慶喜は、京都における朝廷工作をはじめとし、将軍職に就くための権力基盤の強化を図る・・・。

慶喜優勢。


■ 情報収集

この時期、政治の中心は江戸にはなく、皇居のある京都、そして大阪であった。

慶喜も政務を京都で執った。天皇の傍に居る必要があったのだ。それだけ、天皇の威光が必要とされていたのである。幕府の力が相当弱体化していたってことだ。慶喜としては天皇を味方につける必要があった。

そして、イギリス公使パークスとしても、政治情勢を探るために公使館員の誰かを京都に派遣する必要があった・・・。いよいよサトウの出番である。。。

関西に派遣されたサトウの最初の情報収集先は長崎。そして鹿児島。その次が宇和島。

サトウと宇和島藩伊達家の隠居(前藩主)との会談場面は、会話体で日記に留められている。当時の政治情勢などが語られる。

その後、サトウは兵庫で西郷との会談に臨む。サトウと西郷の会話部分は、本巻でのハイライトと言って良いだろう。当時の秘密情報の数々が、西郷とサトウとの間で交わされる。

日本の統治機構に関して、当時としては過激な意見がサトウの口から発せられる。これまでは『英国策論』として、論文としての表現でしかなかった主張が、サトウ自身の口から、幕末の超大者:西郷に対して語られるのである。


そうそう、本章の最後には、サトウの回顧録『一外交官の見た明治維新』 が第二次世界大戦後まで日本国内で発禁であったことが書かれている。 何故か? 興味のある方は読んでみて下さい。


■ 大阪

慶喜に対して厚い信頼を抱いていた孝明天皇が崩御する。討幕派勢力の巻き返しが図られる。

天皇の信頼を得ていた慶喜は大きな痛手を被る。そして、予定していた外国公使との謁見が延期される。

情報収集の旅から戻ったサトウは、三週間後に再び大阪行きの命を帯びる。

目的は、幕府が計画する外国公使謁見の予定日時と準備状況の確認、宿舎の様子見、大阪市内・商業活動の視察、兵庫開港に向けた幕府側の動静を探ること、などであった。

このとき、サトウらは、幕府側の要人たちだけでなく、長州藩主父子や薩摩藩家老の小松帯刀などとも会談しており、精力的な情報収集を行なっている。情報収集官サトウの活躍が描かれる。


■ 謁見

各国大使と将軍慶喜との謁見。この謁見に至るまでの話には、イギリスとフランスの立場の違い、幕府に対する距離の置き方の違いが顕著に現われていて面白い。
後の歴史では、フランス公使ロッシュの見立てが甘かったこと、それに対してイギリス公使パークスの冷徹な判断力と情報理解力はイギリスのプレゼンスを高めたこと、が明らかとなる・・・。

さて、各国大使と将軍慶喜との謁見。

慶喜が醸しだす器量の大きさと公使たちへの対応の優雅さは、各国の公使たちを魅了する。なかでもイギリス公使パークスの慶喜評は極めつけである。コレまでパークスが持っていた日本人評が180度転換するほどだ。

慶喜に対しては、外国公使たちだけでなく、討幕派の岩倉具視や木戸準一郎(桂小五郎)もその尋常ではない資質を恐れていたらしい。最後の将軍は相当の実力の持ち主だったんだ。。。そんな人が歴史の舞台に長く留まれなかったのは時代の巡り合せが悪かったってことなのか・・・?



ヤレヤレ、やっと4巻を読み終えた。

本巻ではサトウの情報収集能力の高さが際立った。


このシリーズ、まだまだ先は長い・・・。


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2011年06月18日(土)

『梁塵秘抄 (りょうじん ひしょう)』

テーマ:なんでも読んでみよう
『梁塵秘抄』  後白河法皇/編、 川村湊/訳、 光文社古典新訳文庫(2011)


後白河法皇が編纂したという歌謡集。 十一世紀後半から十二世紀の頃の「今様」の歌を集めたものだそうだ。 自らの境遇や子供たちのことを神仏に祈る歌、権力を風刺する歌、エロを詠った歌、などなど、当時の“今様”で表現されているとのことだ。当時は、リズムやメロディもあったのだろうが、現在では再現不可能だ。文字として読むしかない。。。

主な詠み人(歌い手のこと。作者とは異なる)は“道々の輩”、いわゆる賤者たちである。後白河法皇は、こうした賤者たちの歌を愛したという。 つまり、この「梁塵秘抄」とは、時の最高権力者が当時のサブカルチャー集を編纂したということらしい。 全部が残されているわけではなく、極一部が残されているに過ぎないそうだ。



それにしても、この光文社古典新訳版、この訳者、もの凄く大胆な現代語訳化をしている。 超訳といってイイ。ほとんど原歌を離れてしまって、創作といえそうなものまである。

一つの歌ごとに、訳者による大胆な意訳(異訳?)を右ページに、原歌とその真っ当な(?)解釈を左ページに載せている。本書には訳者が選んだもの、100の歌が載せられている。


あまりにもブッ飛んだ訳者の意訳は兎も角として、左ページの原歌とその解釈部分については、古典文学や詩歌を介さない私のような者にもナカナカ解りやすい。 当時の風俗や衣装がわかる挿絵もあってイイ。

巻末の「解説」も実にありがたい。


今も昔も、人の営みとか想いってのは大して変わらないってことが解ってイイですな。古典を読む効能ですね。



<追記>

「梁塵秘抄」は、他の出版社からも幾つか出ているようだ。

この光文社古典新訳文庫版は訳者の癖が余りにも強すぎると思われるので、これを入門書、契機として、他の出版社のものも読んだ方がいいかもしれない・・・。

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2011年06月14日(火)

『一外交官の見た明治維新(下)』

テーマ:歴史とか

A Diplomat in Japan (1921)

『一外交官の見た明治維新〈下〉』  アーネスト・サトウ/著、 坂田精一/訳、 岩波文庫(1960、2011第71刷)

少し間が空いた。下巻。


この下巻では、大政奉還、鳥羽伏見の闘い、江戸城無血開城、奥羽・会津戦、天皇の江戸行幸、函館戦争、などなど、幕末の主だった出来事に触れられている。

著者のアーネスト・サトウは、これらの出来事に関わった当事者ではないから、書かれていることのほとんどは伝聞だ。 しかし、伝聞ではあるが、その情報源のほとんどが倒幕の立役者たちなのだから凄い。旧幕府側では勝海舟なども情報源になってる。

サトウはこれら幕末の主だった人物達と指しで話ができたほど日本語を解し、この頃には日本の事情や習慣にも精通していたようだ。 なんといっても、こうした人物達との親密度の高さに驚かされる。討幕派のヤツラとはやたらと飲み食いしている。芸者を挙げてドンちゃん騒ぎしたり、一緒に吉原なんかにも行ったりしてる。


当時、日本の情勢を理解することのできた外国人としては飛び抜けた存在だったのだろう。 初期の維新政府に及ぼす影響が、フランス、アメリカ、オランダ、ドイツ、イタリアなどに比べて、俄然イギリスが大きかったのは、こうしたサトウの存在も大きかっただろうと思われる。 もちろん、もっとも大きな影響はイギリス公使パークスの能力の高さであったとは思うが。


本書、幕末維新の政治史、戦争史としての読み物としては大したこと無い。

それよりも、日本に精通した外国人の目を通して見た当時の日本人、日本人の考え方がどのようなものだったのかを覗き見るには面白い。



さて、もう一回言っとこう。本書、名訳です。非常に読みやすい。


『遠い崖』の4巻以降も読まなきゃナ・・・。


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2011年06月09日(木)

『一外交官の見た明治維新(上)』

テーマ:歴史とか
A Diplomat in Japan (1921)
『一外交官の見た明治維新〈上〉』  アーネスト・サトウ/著、 坂田精一/訳、 岩波文庫(1960、2011第71刷)

『遠い崖 -アーネスト・サトウ日記抄-』 を読み出したのは何時のことだった? まだ3巻までしか読んでいない。

 第1巻 『旅立ち』第2巻 『薩英戦争』第3巻 『英国策論』  


4巻は途中までのはず。勤務先の机のどこかに置いたままだ。 そんな中途半端な状態で、こちらに手を出してしまった。



この上巻では、アーネスト・サトウが日本に来てから、生麦事件、その賠償金問題、薩英戦争、四ヶ国による下関砲撃、宇和島藩伊達家や西郷吉之助との密談、一橋慶喜が15代将軍となり、大阪で外国公使との引見を果たしたところまでが綴られている。慶喜と会見した英国大使はパークス。

通訳官アーネスト・サトウ個人の行動としては、パークスと将軍慶喜との会見が終わった後、パークス一行と別れ、ワーグマンと供を連れて陸路東海道を大阪から江戸まで旅するところまでが記されている。

ココまでの出来事、『遠い崖 -アーネスト・サトウ日記抄-』では5巻の途中までに相当する。アララ、コッチのが先行しちゃったよ。。。



さて、当時のイギリスの政策は、幕府寄りでもなく、薩長を中心とする倒幕側寄りでもない、どちらにも肩入れしない内政不干渉を貫いていた。しかし、コレを読むと、一通訳官であるアーネスト・サトウはかなり薩長側に寄っていた事が解る。

それと、当時の世の中の情勢というのか風潮というのか、いわゆる志士って呼ばれる輩たちの思想も“尊皇攘夷”に染められていた、ってことが私の脳の中には刷り込まれていたが、このうちの「攘夷」という風潮・思想は実際のところは余りなかったんじゃないかとあらためて思った。
薩摩も長州も、それ以外の地方藩も、外国・外国人を追い払いたいんじゃなくて、外国との貿易を幕府が独占することが許せなかったってことだ。自分達にも外国と貿易させろ!ということだったらしい。そんなことが良く解る。


本書、だいぶ昔に出版された訳書なんだが、実に読みやすい。名訳だと思う。



下巻に続く

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2011年06月08日(水)

寄席

テーマ:メモランダム

毎月第一水曜日は定時退社日。

だからって訳でもないが、同僚達と久しぶりに寄席に行って来た。鈴本演芸場。


本だけ読んで暮らせたら-寄席

缶ビール片手に落語きいてニヤニヤ。 タマにはイイね。


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2011年06月06日(月)

『移行化石の発見』

テーマ:自然科学とか
Written in Stone (2010)
『移行化石の発見』  ブライアン・スウィーテク/著、 野中香方子/訳、文芸春秋(2011)

ダーウィンが 『種の起源』 を著した時、その中で嘆いていたことがあった。それは、種が別の種に移行しつつある状態を示している化石がなかなか発見されないことだった。物的証拠を示すことができなかったことが、進化論否定者の口実にされていた。


しかし・・・・


海から陸へ。 あるいはその逆に陸から海へ。

恐竜から鳥へ。

類人猿から人類へ。

そして、ホモ・サピエンスへ。


・・・・・・などなど、変化の過程を示すと考えられている化石=<移行化石>=の発見が最近相次いでいる。


で、移行化石の発見によって何が判ってきたのか? あるいは何が未だ判らないのか? ってことが、

↓↓ このような章立てで書かれている。


序 章  「ザ・リンク」はリンクではなかった

第一章 化石と聖書

第二章 ダーウィンが提示できなかった証拠

第三章 ヒレから指へ

第四章 羽毛を生やした恐竜

第五章 哺乳類はどこから来たのか

第六章 陸に棲むクジラ

第七章 百象争鳴

第八章 ウマはなぜウマ面なのか

第九章 ネアンデルタールが隣人だった頃

終 章 進化は必然か偶然か



書店でこの本を見つけたときは、「序章」のキャプションに釣られたんだ。 『ザ・リンク』 を以前読んでいた ものだから・・・。


特定の化石、・・・例えば、『ザ・リンク』のダーウィニウスと名付けられた化石・・・、に焦点を当てて、それのどこが移行期の特徴を示しているのか/いないのか、を詳述している内容かと思っていた。

でも、総括的、網羅的な内容だった。 読む前に期待していた内容とは若干違った。

まァ、進化論に関する入門書としてはイイのかもしれない。。。


終章は、“読み処”です。 著者の最も言いたかったことが端的かつ明解に書かれている。

この著者の言い分に大賛成。


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2011年06月03日(金)

『濹東綺譚』

テーマ:なんでも読んでみよう

『濹東綺譚(ぼくとうきだん)』  永井 荷風/著、

岩波文庫(1947第1刷、1991改訂第41刷、2009第73刷)




『「絵のある」岩波文庫への招待』 を読んだときから、いつかは読みたいと思っていた本作。
昨日、帰宅の車中で読む本がタマタマ無かったことから駅構内の書店で購入した。

関東大震災から復興しつつある東京のある年の夏。夜な夜な隅田川の東方(濹東)にある私娼街に通う小説家らしき初老の独身男と私娼の情話。
淡く艶めいていて味わいのあるイイ話。
私娼の雪という女の造形がイイ。
冒頭、当てもなく都内を徘徊する男(おそらくは作者荷風の分身)が街中・世間を観察するその傍観振りがイイ。
昭和初期の東京の街中や長屋に佇む男と女を描いた数十枚の挿絵も物凄くイイ。
さすが、永井荷風の最高傑作と言われるだけのことはある。

オッサンにお薦め。

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