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2011年03月30日(水)

『僕らが死体を拾うわけ』

テーマ:自然科学とか
『僕らが死体を拾うわけ  僕と僕らの博物誌』   盛口 満/著、 ちくま文庫(2011)


植物を採取し、昆虫や動物の死体を拾ってきて、観察し、スケッチする。鳥やネズミやモグラの仲間などを解剖して、胃や腸の内容物を取り出す。死体を煮て、肉と骨を分離し、骨格標本まで作ってしまう。

勤務先で教える中学生や高校生を巻き込み、そうしたことに楽しく取り組む。著者の元には、、教え子や学校の近所の人たちからも、動物の死体やケッタイな虫やらが持ち込まれる。著者はそれを記録・スケッチする・・・。


極々ありふれた虫や小動物の形態を見ているだけでも、それが幾つも集まれば、比較することによって相違が見えてくる。異なる種類の動物の骨にも、種を越えた同一性が見えてくる。

毎年生えるタンポポにだって、花や茎が異常に大きくなった「オバケたんぽぽ」が現われ、それがどういった法則性で生じるのか?といった疑問が湧き出てくる。

このようなことの繰り返しが、いつしか世の中を知る切っ掛けになって行く。


好きなことを好きなように見て、調べて、記録して、比較して、考えて、感じて、表現する。

教え子の中からは、博物館員やドイツ留学して標本士にまでなってしまうような人材を輩出する。


本書には、著者が世界を見ていくためのテーマが、なんのテライもなく、力むこともなく記されている。そのさりげなさに感動してしまう。

羨ましいなァ、こういうの。 こういう本が書けるの。



どのページにもイラスト・スケッチがあり、それがまた上手い!


ホント、これはお薦め。

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2011年03月27日(日)

【海外ミステリ 作家別 目次】 の更新

テーマ:メモランダム

久しぶりに 【海外ミステリ 作家別 目次】  (← クリック!) を更新しました。


およそ220篇の海外もの翻訳ミステリー作品に関する記事です。


カタカナ表記のファミリー・ネームによる五十音順で作家別に並べています。


海外ミステリーに興味を持っていただける方が少しでも増えて頂けないかと、参考になればと・・・。

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2011年03月27日(日)

『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』

テーマ:ミステリーとか
AN OCCURRENCE AT OWL CREEK BRIDGE
THE EYES OF THE PANTHER (1891)
『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』   アンブローズ・ビアス/著、 小川高義/訳、 光文社古典新訳文庫(2011)


死と幽霊のことばかりを題材にした短篇小説集。ほとんどの作品の背景にはアメリカ南北戦争がある。

ポーの幻想小説に似たところもある。

作者はアンブローズ・ビアス。 政治家や大実業家などに筆で挑むジャーナリストして活躍し、内戦渦のメキシコで消息不明となった。 『悪魔の辞典』の作者として有名。


本書に収められた作品は次のとおり。


■ アウルクリーク橋の出来事

■ 良心の物語

■ 夏の一夜

■ 死の診断

■ 板張りの窓

■ 豹の眼

■ シロップの壷

■ 壁の向こう

■ ジョン・モートンソンの葬儀

■ 幽霊なるもの

   首括りの立会人

   冷たい挨拶

   無線通信

   逮捕

■ レサカにて戦士

■ チチモーガの戦い

■ 幼い放浪者

■ 月明かりの道


あまり好みとする様な話はないが、何故か印象に残る物語もある。

表題作「アウルクリーク橋の出来事」もそうだし、最後の「月明かりの道」という、一つの死を三人の人物それぞれの立場から見た話も後に残る・・・。



光文社古典新訳シリーズの特徴である、訳者による解説やあとがきは今作でも相変わらず素晴らしい。

今までまったく知らなかった作家のこと、作品のことを僅かながらでも知ることができる。


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2011年03月26日(土)

『「絵のある」岩波文庫への招待』

テーマ:なんでも読んでみよう
『「絵のある」岩波文庫への招待』  坂崎重盛/著、 芸術新聞社(2011)

迷ったんだ。この本の購入。コレを読んでしまったら、今後、ブックオフに行く度に挿絵付きの岩波文庫を漁るようになる自分が見えてしまったから。。。
でも、結局、衝動的に買ってしまった。パラぱらっと中身を見たらやはり欲しくなっちゃったもんだから。

岩波文庫には挿絵のあるものが多いらしい。しかも、その挿絵を描いているのが物凄い人だったりする。
本書を読んでいると、挿絵を頼りに文学作品や紀行文や江戸版本関連を読むのもアリだよな、って気になってくる。文意を読み取ろうとシャカリキになるのではなく、テキストに首ったけになるのでもなく、絵・画を辿りながらテキストは斜めに読んで行く。 そんなふうに本を読むのもイイ。
本屋でパラパラとめくって見て、気に入った挿し絵が描かれているってことを取っ掛かりに、今まで読んでこなかった名作とか書名だけ知っている有名作品をを読んでみる。そういう気分にさせてくれる。

岩波文庫でなくったってイイ。ちくま文庫、中公文庫、河出文庫などにも挿し絵つきの作品は多い。
お気に入りの挿絵画家を見つけて、その人を中心に本を探してみるのもイイ。

当分は本書を傍らに置いといて、時折ここに紹介されている岩波文庫を探しにいってみよう。

本書、私にとって新しい本の読み方を提起してくれた。

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2011年03月23日(水)

『シブミ』

テーマ:ミステリーとか
SHIBUMI (1979)
  
『シブミ 〈上〉〈下〉』   トレヴェニアン/著、 菊池 光/訳、 ハヤカワ文庫(1987, 2006, 2011)


何十年ぶりだろう。 コレを読むのも・・・。 20年以上も前になるのか???

ほとんど中身は覚えていなかった。

覚えていたのは、ミュンヘン・オリンピックでイスラエル人選手を殺したパレスチナ・ゲリラに対する報復が絡んだ話だったことと、ボルボのボンネットを蹴っ飛ばす癖のある主人公が登場すること、この2点だった。

もっともこの2点でさえ、今回読み出すまで、この『シブミ』に関わるエピソードだったことは忘れていた。



パレスチナ・ゲリラ達の暗殺を計画しながらも、その計画を探知されていたことから逆に反撃に遭ったユダヤ人襲撃グループ。3人のうちの二人が殺された。 残った一人ハンナ・スターンは、伝説の暗殺者ニコライ・ヘルを探してバスク地方の山中へと赴いた・・・。

ハンナの伯父アサ・スターン(故人)こそは、彼女たちのグループを組織し、パレスチナ人の暗殺を企てたのだった。彼女は、かつてアサ・スターンから恩義を受けたニコライ・ヘルを頼ったのだった。

パレスチナ人達への暗殺計画を阻止したのは、産油国であるアラブ諸国と結び付き、CIAやMI6などをも動かしながら西側諸国を裏から操る秘密組織<マザー・カンパニイ>であった。<マザー・カンパニイ>幹部のダイアモンドは、ハンナの痕跡を追い、ニコライ・ヘルへと辿り付く。

ダイアモンドはバスクに赴き、ニコライ・ヘルに会い、<マザー・カンパニイ>の意向に逆らうことは許さないと恫喝する。


ダイアモンドとニコライとの因縁・・・・。


ナチス・ドイツの父親とロシア貴族の母親を生物学上の両親とする主人公ニコライ・ヘル。

生まれたときから父親の顔は知らず、幼少時は上海社交界の顔である母親に育てられ、少年期の彼に最も影響を与えたのは、上海を支配した日本陸軍将校の岸川だった。岸川が戦場に出てからは、ニコライは日本に渡り、岸川の親友であり棋士の大竹七段の下に身を寄せ、日本文化と日本的精神を身に付けた。いつしか彼は、日本的精神の至高の境地「渋み」を極めることを自らに課すようになる。

第二次世界大戦に破れ、GHQの占領下にある日本。父親代わりであった大竹七段を亡くし、初恋の女性もまた広島に投下された原爆で亡くした。 精神は日本人でありながら容貌はヨーロッパ人であり正式な国籍を持たないニコライは、混沌とする東京で一人生きていかなければならなかった。しかし、多言語に通じる能力と生来の知性を持っている彼はGHQに雇われ、各種文書の翻訳、時には暗号解読を仕事とするようになる。

そんなある日、シベリアの地で捕虜となっていた岸川将軍が戦犯として裁かれるために巣鴨拘置所に移送されて来るとの情報がニコライの元に届いた。

岸川との面会に辿り付き、生き恥を潔しとしない岸川の意向を汲み、岸川を自らの手で死に至らしめたニコライ。アメリカとソ連、敵対し暗躍する両国の駆け引きの中、岸川殺害の罪で捕らえられたニコライに対し、ソ連の指示で行ったと自白自著させるべく拷問に掛けたのは、GHQアメリカ陸軍のダイアモンド少佐だった・・・。



本作、<マザー・カンパニイ>対ニコライ・ヘルの対決をメインとして描いた冒険アクション小説なのだが、そんなメイン場面を圧倒しているのが、ニコライの人格形成過程=日本の戦中戦後期を描いた場面と、ニコライが趣味で行うバスク山中の洞窟探検の場面だ。

ニコライの日本時代のエピソードには、古き時代の日本文化やアメリカ文化、そして日本的精神についての深い洞察があり、バスク地方の洞窟探検のエピソードには、これだけで一つの冒険小説となり得るほどスリリングな筋立てと男の友情物語がある。

むしろ、これらのサブプロットの方が心揺さぶられる話になっている。

今作中における日本文化論、日本人論は、一読の価値がある。 とにかくお薦め。

さて、今回、改めてコレを読んだのは、来月、今作の前日譚となる『サトリ』という作品が出るからだ。それが読みたいからだ。 早川書房が『サトリ』を出すのに合わせて、この『シブミ』を新装版で出した。その策略にまんまと乗っかってやったのだ。

『サトリ』の作者はドン・ウィンズロウ。 ウィンズロウが、今は亡きトレヴェニアンが物した傑作『シブミ』へのトリビュート作品をどのように仕上げているのか? 楽しみでしょうがない。


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2011年03月10日(木)

Village Vanguard

テーマ:メモランダム

勤め先の最寄り駅近くのデパートの外壁に Village Vanguard が開店した、との垂れ幕が掛かっていたので、昼休みに行って来た。

自分の徒歩行動圏内に書店が新規開店するのは嬉しい、と思っていたのだが・・・


雑貨屋と本屋のハイブリッドだってことは噂には聞いていた。

・・・だが、ん~~っ!? 雑貨屋の色味が濃すぎじゃねェーの!? と個人的には思った。


雑貨の入った籠と書棚がランダムに渾然一体となった店内は歩きづらい。書棚も見にくい(醜い)。

雑貨が相当数置いてある分、本の種類も数も少ない。


雑貨などにほとんど興味のない私には趣味じゃない。コリャ、今後も、当分行かないな。



明日は、打合せで日比谷のプレスセンタービルに行くので、そこのジュンク堂で本を買うのだ。

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2011年03月09日(水)

『GOSICKsⅢ』

テーマ:ミステリーとか
『GOSICKsIII―ゴシックエス・秋の花の思い出―』  桜庭 一樹/著、  角川文庫


この短篇集の3巻で、現在までに刊行されている『GOSICK』シリーズは全て読んだことになる!? たぶん・・・?

長篇2作の後に短篇集を1作持ってくる、というパターンも判った。


読むなら、↓ この順番ね!


『GOSICK ―ゴシック―』

『GOSICK II ―ゴシック・その罪は名もなき―』

『GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神ー』

『GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―』

『GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ-』

『GOSICKs II―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―』

『GOSICK V-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋-』

『GOSICK VI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜―』

『GOSICKs III―ゴシックエス・秋の花の思い出―』


(短篇集の第1巻を一番最初に読んでもイイ。)


このシリーズ、要は Boy-meets-Girl モノにミステリとチョットした架空の歴史ロマンをまぶした物語なのだが、作者の巧妙な仕掛け・伏線とお遊びのおかげで面白く読める。往復の通勤電車に乗っている間でほぼ1作が読めるというのもイイ。


さて、明日からは久しぶりに違う毛色のを読んでみよう。

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2011年03月08日(火)

『GOSICKⅥ』

テーマ:ミステリーとか

『GOSICKVI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜―』   桜庭 一樹/著、  角川文庫


長篇6巻目。5巻のエンディングからそのまま続いている。実質的には2巻でひとつの作品。
組織間の対立に巻き込まれた主人公の2人であったが、事件解決後には絆が深まる・・・、というハッピーエンド。
今のところ、このパターンは踏襲されている。
ココしばらく、このシリーズを読んできたが、残りは短篇集の3巻。
取り敢えず今現在刊行されているのはソコまでのはず。 続巻も近々出るようだが・・・。
短篇集の3巻を読み終わったら、今後は海外ミステリに戻ろう。
3月10日には、あの『シブミ』の復刊があり、早川ポケミスの新作にも面白そうなのがあるので、そちらの方に・・・
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2011年03月08日(火)

『GOSICKⅤ』

テーマ:ミステリーとか
『GOSICKV-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋-』   桜庭 一樹/著、  角川文庫


長篇5作目。短篇集も併せると7作目。


学園から主人公の少女ヴィクトリカが消失するという事件で幕を開ける本作。

5作目にして、このシリーズに、オカルト省 vs 科学アカデミー、という組織間の対立が本格的に絡み出してきた。そうした対立に巻き込まれる主人公の2人。

本巻のエンディングはそのまま次の6巻へと繋がっている・・・。


古のヨーロッパの価値観を代表するオカルト省の重鎮であるヴィクトリカの父親。

新しい時代の幕開けを期待する科学アカデミーに加担する(?)ヴィクトリカの母親。

今後、組織間対立とヴィクトリカの身内の者の愛憎がどのように絡み合ってくるのか??? それはまた別の物語?

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2011年03月05日(土)

『GOSICKsⅡ』

テーマ:ミステリーとか
『GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―』   桜庭 一樹/著、  角川文庫


過日読んだ長篇第4作は、夏休み直前の学園内に起きた殺人事件を扱い、これから読む第5作では夏休み最後の1日から物語が始まっている。

で、この短篇集の2巻は、長篇第4作と第5作の間=夏休み中の主人公2人の他愛のないやり取りを描く。


長篇がオカルティックな大事件を扱うのに対し、短篇集は閑話休題。インターミッション。スピンオフ。

メインキャラたちの日常の何気ない心情やメインキャラたちを囲む人物(長篇には登場しない人物)を描いたりして、読者にシリーズへの傾倒を増幅させる役割を担う。

このシリーズ構成、実に巧い。


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