2009年07月24日(金)

『リンカーン弁護士』

テーマ:ミステリーとか
THE LINCOLN LAWYER (2005)
  
『リンカーン弁護士』 (上)・(下)   マイクル・コナリー/著、 古沢嘉通/訳、 講談社文庫(2009)

コナリ-作品としては2年ぶりの翻訳。


以前にも書いたことがあるかもしれないが、物語の導入部分でザワツキ感、不安感を抱かせる小説というのは「アタリ」であることが多い。この小説の序盤もまさにザラザラ感満載である。

本作の主人公である弁護士マイクル・ハラーの言動が、この先、自分の首を絞めることになる(嵌められる)んだろう?・・・と予感させる物語序盤。そんなザワメキを覚えたら、もう、この物語からは抜けられない・・・。



さて、イキナリだが、この物語の“キモ”は、主人公である弁護士ハラーが秘めている依頼人(=被告人)や司法システムに対する達観した(醒めた)見識と、アメリカ司法制度の特徴であろう“Not Guilty”の論理にある、と言っておこう。


アメリカの司法システムに確固として屹立する“Not Guilty”の論理。

被告にとって、無実であるかどうかは問われない。有罪であることが立証されなければ良いのである。

有罪であると確証できるだけの証拠はない、あるいは、証拠を獲得した方法に瑕疵がある。それを説明できるだけの屁理屈が成立すれば、被告を有罪にすることは叶わない。

極端な話し、アメリカの弁護士は、被告人が有罪であろうという証拠に対して疑いが存在することさえ説明できれば良いのである。無実を立証する必要などない。


本作の主人公マイクル・ハラーもまた、これまでの仕事で依頼人の無実を立証することはなかった。有罪であると認めるに足るだけの証拠を論破することに力を注ぐのである。


今回、ハラーが獲得した依頼人は、金払いのいい裕福な不動産業者であるルイス・ルーレイである。 ルーレイは売春婦に対する暴行容疑で逮捕された。ルーレイは、自分は罪を犯していないと主張し、一貫して罪を認めない。

そんなルーレイの弁護戦略としてハラーが採ったのは、検察側が用意するであろう証拠(=証人)に対する瑕疵を立証するものであった・・・。

このルーレイ事件を扱っている最中、ある切っ掛けでハラーが想起したのは、2年前に担当したメネンデス事件であった。かつてハラーの依頼人だったジーザス・メネンデス。メネンデスは、女性を殴打した挙句、刺殺した罪で服役している。ハラーは、検察との駆け引きにより、メネンデスの量刑をかなり軽減させることに成功したと自負していたのだが・・・。

メネンデスが刺殺したとされる女性と、ルーレイが暴行したとする女性はあまりにも似ている。顔の片側だけを殴打するという犯行の様相も・・・・・。

類似した犯行手口。 そっくりな二人の被害者。 リンクする2年前の事件と現在の事件・・・。

服役しているメネンデスが、今回の事件に関与しているはずはない。メネンデスは無実であったのか・・・?

混乱し、当惑するハラー。無実を主張するルーレイは本当に罪を犯していないのか??

ハラーは、2つの事件に対する徹底した裏付け調査を、長年の仕事仲間であるラウル・レヴン調査員に依頼した・・・。


ここまで(上巻)のプロットで提示される様々な謎と含み。登場人物たちの魅力。著者コナリーの技は、いつにも増して冴え渡っており、ページを捲る手を休ませてはくれない。

7月後半の今現在、私は小説を読んでいてはいけない立場に置かれている。それを破ってコナリーに手を出したのが間違いであった。

読み出したら、止められない!


あァーッ!ナンテコッタ!

下巻に入って直ぐ、さらに怒涛の展開が待っているじゃねェか!

これぞ、超オモシロ小説だ。今年、ナンバー1だ!


読み終わった今、この面白さを誰かに伝えずにはいられない! ブログ記事を書かずにはいられない!

ホントは、こんなことしてちゃいけないのに・・・・・。


文句無く、お薦めです。




そうそう、本作を読み終わったら、『ブラック・アイス』の19章の確認も忘れずに!

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2009年07月06日(月)

『PLUTO』 8巻

テーマ:マンガとか

PLUTO 8 (ビッグコミックス)/浦沢 直樹

浦沢&長崎版アトムの最終巻。


ゲジヒトやアトムをはじめとする世界最高峰の人工知能(ロボット)は、いつしか自らの回路の中に“感情”を内包するようになり、優しい嘘をつくまでになる・・・。

そんな、ヒトと人工知能(ロボット)との境界が曖昧になった未来世界を舞台に、平和とは? ヒューマニズムとは? 悲しみとは? 憎しみとは? 生命とは? を愚直に描ききった傑作。


1巻でのダンカン老人とノース2号の物語は、本作中で最も泣けるエピソード。

3巻以降では、様々な人工知能(ロボットたち)が発する正負の感情の波を察知するウランの登場がアクセントになっている。

全巻を通して描かれるゲジヒトとヘレナ夫婦の物語もイイ。


お薦めです。


ブッシュ時代のアメリカ帝国主義を徹底的にこき下ろしているところは御愛嬌。




『PLUTO』 7巻
『PLUTO』 6巻

『PLUTO』 5巻

『PLUTO』 4巻

『PLUTO』 3巻

『PLUTO』 1・2巻    


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