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2008年06月28日(土)

『黒死館殺人事件』

テーマ:ミステリーとか

『黒死館殺人事件』  小栗 虫太郎/著、 河出文庫(2008)  初出は1935年だそうだ



読み終わるのに1ケ月以上掛かった。

って云うか、正確には読み終わっていない。300ページを過ぎてからは飛ばし飛ばし読んだ。どうせ訳判らない内容なんだから、大まかな筋だけでイイや、って思ってからは一晩で読んだ。


イヤー、もう、これ! 最も嫌いなタイプのミステリだった。最初の20ページ程度を読んで、嫌な予感がしたんだ。探偵役も、その取り巻きの奴らもナンテコッタ・キャラだった。これ見よがしのウンチクの披露、その口調・文調、どれをとっても、何から何まで、私の趣味には合わない・・・。


しかし、昭和初期のミステリなんだから、時代も価値観も文化的背景も異なる人の書いたミステリなんだから、現代の少々ヒネタ中年男の趣味とは違っていて当たり前なのだと思い、どこまで読めるのか、チョイと意地になって読んでみた。ことさら躍起になって読む必要も、アタマっから否定して読む必要もあるまい、と思い、延々1ヶ月も掛けて読んできた。


で、結局、私には、私の能力では、この小説に対する評価・コメント・理解は不可能だ、ってことが解ったのだった。(← こんなことが解るのに1ケ月も費やしたとは・・・)


どんな小説か? ということの知識だけを得たいのであれば、全文を真面目くさって読む必要などない。

この文庫の巻末の解説を読めば十分である (解説者の思い入れタップリの文章が2編載っている)。



それにしても、これを書いた小栗虫太郎って人は、面白かったんだろうな。これを書いている最中。

恐らくは自分の趣味・興味だけを、好き勝手に詰め込んで書いたんだろうな。

作品に対する個人的な好き嫌いはともかく、マニアックで一種悪趣味なことをひたすら披露するだけの作品が、こんなふうに世に出ていることについては、純粋に凄いなと思ってしまう。感心してしまう。こんなアホらしくて、モノ凄くヘンな小説が何十年も流通していること自体は喜ばしいことである。解説者のように、この小説に価値を見い出す人たちがいることもなんだか安心する。


アホさ加減も徹底するとそれは芸になる。

読者の意表をつく、唖然とさせるほどアホなことが書けなくて、なにがプロの小説家か! などとも思ってしまう。

そういった意味では、この作家は超一流のプロであったのだナ・・・きっと。


最期はまったくこの作品とは関係のない感想になってしまった。。。私はいったい何に感心しているんだ。。。


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2008年06月25日(水)

『ザ・ロード』

テーマ:ミステリーとか
The Road (2006)
『ザ・ロード』  コーマック・マッカーシー/著、 黒原敏行/訳、 早川書房(2008)


最初の7、8ページを読んだだけで、とてつもない寂寥感に襲われた。

凄い舞台設定だ。そして、そんな世界に生きる人間を描く筆力もまた凄い。


舞台設定と言っても、著者がその舞台を明示的に表しているわけではない。読者が想像するのだ。だが、ほとんどの読者は、終末に向かっている世界を念頭に置くことになるはずだ。

モノクロームの世界。空からは灰混じりの雪が降り続く。太陽光が遮られ、一日のうち僅かな時間だけ薄い光が射し、ほんの少し気温が上昇する。だが、ほとんどの時間は暗く寒い。おそらくは核の冬。こんな世界になって数年、あるいは十年程度経過している・・・。

植物は枯れ、動物も死滅している。そんな世界だが、僅かに生き残った人間たちがいる。かつての住宅などに貯蔵・備蓄されていた保存食品を漁り、食い繋いでいる。だが、そんな食べ物も少なくなってきた。強者が弱者を、大人が子供を食う世界。

未来が閉ざされた世界。絶望に支配された世界。


そんな世界を旅する父と息子の物語。

少しでも生き残れる可能性が高い南の地を目指す2人。飢えに苦しみながら旅をする。父は、2人が生き残るため、用心深く、他人の目に付かないように歩を進める。それでも時には、他人の存在を感じることがある。そんなときには隠れ、逃げ、場合によっては銃で威嚇する。生き残るために、現実的に対処しようとする父。

世界が破滅した後に生まれた息子は、生命が溢れ、文明が栄えていた頃の世界を体験していない。父から聞いた話の中でのことしか知らない。終末世界に生きながらなお、息子は、他人を想い、他人のために涙する純真さを持つ。


読んでいる最中、この物語の結末が、父子の行く末が非常に気になった。こんな舞台設定の物語には悲惨な結末しか待ち受けていないのだろう、そう思っていた。

作者マッカーシーは、前作 『血と暴力の国』 と同じように、救いのない物語を淡々と描いているのだろうと思っていた。

違った。

長く苦しい2人の旅を250ページ読んだ後に待ち受ける結末・・・。目が潤んだ。

そうだよな、彼ら父子は、“火を運ぶもの”だもんな・・・。


今年一番の物語に出会った。

お薦めです。

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2008年06月23日(月)

『無限の住人』 23巻

テーマ:マンガとか


『無限の住人 (23)』  沙村 広明/著、 講談社アフタヌーンKC (2008)



スーパー時代劇マンガも23巻目。


因縁で結ばれた人物達のあらかたが登場する本巻。だが、それは最初の2話だけ。

残りの5話は、逸刀流の独断場゙だ。

天津影久(あのつ かげひさ)率いる逸刀流の精鋭4人が、大手門から江戸城に押し入り、斬って斬って斬りまくる大乱闘を繰り広げる。


やはり、沙村氏の画力はアクションシーンにこそ生きる!

静止画、ストップモーションの羅列で構成されるマンガ。であるにも拘らず、その前後の動きを想像させる沙村画伯の画。確か、誰かが云ってた、“画の慣性力”がこのマンガには働いている。

1コマ1コマの構図・アングルや陰影の付け方は映画にも比肩するし、人体の動き、特に四肢の動かし方については、もう、スゴイの一言だ。俯瞰のモブシーンにも目を見張ってしまう。


イマイチ、マイナー感が漂うこのマンガ。

だが、目の肥えたマンガ読みなら、この圧倒するチャンバラシーンには瞠目するはず!


毎度まいど、シツコイですが、お薦めです。


【関連記事】

2007年12月23日記事 『無限の住人』 22巻

2007年6月24日記事 『無限の住人』 21巻

2006年11月01日記事 『無限の住人』 20巻

2006年4月27日記事 『無限の住人』 19巻

2005年7月5日記事  『無限の住人』 18巻

2005年2月6日記事  『無限の住人』

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2008年06月22日(日)

『処刑人の秘めごと』

テーマ:ミステリーとか
THE SECRET HANGMAN (2007)




『処刑人の秘めごと』  ピーター・ラヴゼイ/著、 山本やよい/訳、 ハヤカワ・ノヴェルズ(2008)

ミステリ小説の2大強国といえば恐らくアメリカとイギリスだろう。 この小説はイギリス産。


かつての黄金期と呼ばれた時代に活躍した英国の探偵達は、貴族趣味の (というか、探偵が貴族である場合も多い・・・) いけ好かない物言いをする輩ばかりだった。立ち位置も気に入らないし・・・。灰色の脳細胞を働かせるとか云うベルギー人なんてその最たるものだ。この灰色の脳細胞オジサン以外にもいろいろ挙げられるが・・・。まァ、時代の産物といってしまえば、そうなのかもしれないが・・・。

そんなこともあって、どうもミステリ小説としてのリアリティさとか、現代性といった点から、黄金期のイギリス産ミステリは、同時代のアメリカ産ミステリに比べてつまらなかった。鼻持ちならなかった、という言い方が正しいかも。。。

私の趣味からすると、圧倒的にアメリカン・ミステリに軍配が上がっていた。


しかし、現在のイギリス産のミステリ小説(以下、ブリティッシュ・ミステリ)の主人公達は、社会的階級の高い探偵(プライベイト・アイ)ではなく、警察官というパブリックな立場にあることが多い。社会的地位(階級ではない)が職業的な能力ともリンクする現代社会にあって、彼らの境遇やバックボーンは、ある程度のリアリティさが付されている。さらに、良くも悪くも極めて人間味に溢れた、感情的なキャラクター付けが成されている。リーバス警部然り、フロスト警部然り、この小説の主人公であるダイヤモンド警視然り、である。

現在、リアリティさ、同時性という点で、ブリティッシュ・ミステリとアメリカン・ミステリの間に大きな相違はなくなってきたように思える。


アメリカン・ミステリにおける探偵・警官達の内面描写では、ときに事件や捜査中の犯罪とは掛け離れた、個人的な問題に関する場合がある。ミステリ小説の本筋である犯罪捜査に関連するものとは直接関係のないことに対して心情を吐露していることがある。一種のキャラ付け、キャラ背景として、過去に起こったことに対するトラウマや苦悩などを主人公に事前に持たせている。もちろん、キャラクターに厚みを持たせるために、事件とは関係のない個人的背景を描くのは構わない。ただ、そこに焦点があたり過ぎていることが気になることがある。


一方、現代ブリティッシュ・ミステリにおける主人公達の内面に関わる描写は、事件捜査に携わる同僚や上司・部下、被害者やその家族、犯人やその家族、犯行の背景に存在する社会や文化など、に対するものの方に重心が乗っているように思う。警官達の思考過程や行動様式を緻密に描くことが直接的に事件解決(物語の終決)に至る道筋になっていることが多いように思えるのだ。これが重要だ。

当然、ブリティッシュ・ミステリの主人公達にだって、本筋とは関係のない、個人的な心情を吐き出す場面の描写がある。ただ、そこに焦点はあたらない。上品なサブ・ストーリーといった位置付けなのだ。


さらに、現代ブリティッシュ・ミステリがアメリカン・ミステリと決定的に異なるのは、主人公である警官達が自らの手で犯人を死に至らしめることがほとんど無いことである。これは、ブリティッシュ・ミステリの伝統と言ってもイイ。事件が暴力的に解決されることを潔しとしない風潮が流れているように思える。

もっとも、銃器の所持が一般人の権利として認められているアメリカが特殊なのであって、普通の国では銃器による犯罪は相対的に少ない。罪を犯す者が飛び道具を使わないのならば、警官側も対抗武器を所持する必要性も小さい。英国の犯罪捜査官達は通常、武器を携行しないそうだ。

だからなのか(?)、ブリティッシュ・ミステリにはアクションシーンが少ない。(英国で“アクション”を受け持つ小説ジャンルは、これまた伝統の「冒険小説」である・・・。)

アクションシーンが少ないせいもあって (ドンパチによる事件解決が実質上不可能なこともあって)、主人公警察官の思考の閃きや発想のジャンプによって、事件を解決させる方向に向かわなければならないのだ。そうした必然性が高いのが、現代ブリティッシュ・ミステリなのだろう。



そんな、現代ブリティッシュ・ミステリの中の傑作シリーズ、ダイヤモンド警視シリーズの第9作目が本作だ。

(やれやれ、やっと、本論だ・・・)


オーソドックスな筋運び。物語の後半部では大体の結末が見えてしまうけど、それでも主人公ダイヤモンドのキャラ、その言動や心情に入れ込んでしまう。このダイヤモンドってぇ親爺が実に渋いんだ。


上で、グダグダと述べた屁理屈など関係ない。(結局はキャラかよ・・・) 

プロットもなかなかだし、この作品、実にイイ!

お薦めです。

(本論みじけー!)

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2008年06月20日(金)

ボーナス月で良かった・・・

テーマ:読みたい・・・(未読本倉庫)

『ザ・ロード The Road』  コーマック・マッカーシー、早川書房   6/24読了


『処刑人の秘めごと』  ピーター・ラヴゼイ、早川書房     6/20読了


『四十七人目のサムライ』  スティーヴン・ハンター、扶桑社ミステリ文庫   7/4読了


『鎮魂歌は歌わない』  ロノ・ウェイウェイオール、文春文庫  7/14読了


『マンハッタン・ノワール』 ローレンス・ブロック、二見ミステリ文庫


『フロスト気質』 R.D.ウィングフィールド、創元推理文庫



新刊ばっかり読むことになりそうだ・・・

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2008年06月17日(火)

『聞いてないとは言わせない』

テーマ:ミステリーとか
DUST DEVILS (2007)
『聞いてないとは言わせない』  ジェイムズ・リーズナー/著、 田村義進/訳、 ハヤカワ・ミステリ文庫(2008)


先週金曜日、新潟出張の新幹線に乗る直前、大宮駅構内のLIBROで衝動的に購入した本作。


出張時には大抵の場合文庫を持って行くが、今回は当初持参した本をどうにも読む気がしなかったため、駅構内の本屋に寄った。そこで私を呼んでいたのがこの本だった。


読みやすい文章。意外なストーリー展開。隣の席のオッサンの大鼾もほとんど気にならずに、出だしから終わりまで一気読みだった。



主要な登場人物は2人。

一人は20歳ソコソコの男。こいつが、見渡す限り平坦な何もない畑地の中の一軒家の農場を訪れるところから物語りは始まる。その一軒家には40歳前後の女が一人住んでいる。彼女はブロンドできれいな顔立ちをしている。広大な土地に男女2人が暮らし始める・・・。が、こんなシーンは長くは続かない。

一軒家の農場に突如襲ってきた男二人。いきなり拳銃をブッ放して乱入。ここから、疾風怒濤の活劇が始まる。


現金輸送車の襲撃。銃撃戦。犯罪者同士の裏切りにつぐ裏切り。感動的な場面など一片もないハイパー・ノワール。予想される結末は2通りしかない。それは、読んでいる途中で明らかになった。2人に一人。どちらかの結末しかありえない。その結末に至る直前にはどんでん返しが待ち受ける。それも想定済み。

でも、ヤラレタ。 なるほどネ、って感じ。

このテのノワール小説は一般には嫌われがちだが、なぜか私は読んでしまう。


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2008年06月15日(日)

2008.06.15-田園

テーマ:今日のポタ

新幹線の高架下の道をひたすら真っ直ぐに走ってみた。信号があまりなくて走りやすい。


2008.06.15-01


埼玉県中央部は関東平野の中央部でもある・・・おおよそ。したがって山はもとより丘などもほとんどない。だだっ広い平らな地面が延々と続く。

新幹線の高架の左右には田園が広がる。



2008.06.15-03


この時期は田圃いっぱいに水が張られている。用水路にも溢れんばかりの水が流れている。



2008.06.15-02     2008.06.15-04

およそ1時間半のポタリング。帰宅後は風呂に入り、 「麦とホップ」 を飲み、夕飯を食い、今に至る。眠い・・・。
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2008年06月14日(土)

2008.06.14-森林公園サイクリング

テーマ:今日のポタ

武蔵丘陵森林公園 に行って、自転車に乗ってきた。




良く晴れた日で、気温も高かったはずだが、サイクリングコース は大部分が木陰で、むしろ涼しい感じ。

ルートの殆どは歩行者の立ち入りも禁じている自転車専用道路。しかも一方通行。適度なアップダウンもあり、ゆっくりと走るには快適。


途中、青大将や野兎にも遭遇。青大将はおそらく全長1.5m程度はあろうかという大物。おそらく15年ぶりくらいに見た。


このサイクリングコース、娘はかなり気に入ったらしい。来週も行くと言っている・・・(^_^;)

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2008年06月13日(金)

『ハイドゥナン 3&4』

テーマ:ファンタジー・SFとか

   
『ハイドゥナン 3』  『 ハイドゥナン 4』  藤崎 慎吾/著、 ハヤカワ文庫(2008)


1巻と2巻 を読んでから1ヶ月待った。この間、長かった~っ!


2巻の終わりでついに起こったキンバーライト噴火。3巻では、ついに琉球諸島のなかの1つの島が沈む。中国大陸、そしてアヤフヤな国境付近の魚釣島周辺を通り、琉球諸島の地下にまでプルームの上昇が認められる・・・。プルームやマグマの上昇が海底下のガスやハイドレートに達すれば、一気に琉球諸島は南西諸島海溝に沈むことになる。


マッドサイエンティスト達は、観測網を広げ、地下深部のプルーム・マグマ・断層活動を3次元で可視化し、リアルタイムでその状況を把握することに成功する。

しかし、南西諸島の地殻変動はますます活発化してゆく・・・。


与那国島、琉球諸島を救うため、大地の怒りを静めるために、伊波岳史(いは たけし)は<しんかいFD>に乗り込み6000mの深海へ向かう。そして後間柚(こしま ゆう)は、オナリ神として岳史を守りつつ、岳史の意識にシンクロして深海の「神」に祈る。


サイエンティフィックな1・2巻に対して、この3・4巻はファンタジックだった。チョイと私の趣味からは外れていったが・・・。あの二人の結末も、私としては気に入らなかった。

でも、生命とは?、生態系とは?、命の記憶とは?、生命圏における人の役割とは?・・・こういったことに関する著者の“意味付け”には新鮮さを感じた。


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2008年06月11日(水)

こういう賞はイイね

テーマ:読みたい・・・(未読本倉庫)

酒飲み書店員大賞

京都水無月大賞


書店員が何のしがらみもなく(?)選んだオモシロ本の賞。

読んだことのない本ばかり。

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