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2007年05月31日(木)

『日本語は天才である』

テーマ:なんでも読んでみよう

『日本語は天才である』  柳瀬 尚紀/著  新潮社(2007)


この著者、J・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・『ユリシーズ』、ロアルド・ダール作品などの翻訳者である。

英語、日本語の超一流プロフェッショナル。

ジョイスを翻訳したのだから、この著者も天才の一人なのだろう。どなたかは奇才とも云っていた。


全体的には優しくユーモラスな筆であるが、ところどころチョットした御小言と何気ない含蓄が散りばめられている。


“日本語の奇跡”、“日本語の天才性”について、この本で著者が言うことは割合簡単で、私でも理解することができる。

世の中で使われている日本語に関しても、著者の言い分は尤もなことばかりである。


しかし、普段の自分がどう日本語と付き合っているかをよくよく考えると、この著者の言い分を実行するのはかなり大変だ。


私の場合は、「日本語をキチンと理解し、使いこなすことのできる日本人なんていないだろう? 言語ってのは常に変化するものなのだから・・・・相手に無礼にならない程度なら大目にみようぜ!」っていう立場だから、アナウンサーが正確な用語を使わなかろうが、若者言葉が乱れようが、「ら」抜き言葉がまかり通ろうが、実害さえなければ構わない。。。

著者だってそんなことは判っちゃいるが、乱れ方もホドホドにネ、ってことのようだ。

言語や将棋や文学作品のことに造詣の深い方なら、きっともっと深く著者の意を汲めると思う。

私ごときじゃチョイと役不足だった。

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2007年05月30日(水)

『数学、一歩先へ』

テーマ:自然科学とか

『数学、一歩先へ  証明と計算がおもしろい』  大橋 義房/著  岩波ジュニア新書(2007)




中・高校生はもちろん、少し歳を取って時間に余裕があって“もう一度数学を”と思う人達を対象に書かれた岩波ジュニア新書。

証明問題とチョットした計算問題を例題に、数学の面白さ、奥深さ(の入り口)をのぞいてみよう! というもの。


中・高校生には適当な(適切な)内容かも知れないが、もう少し読み物としての楽しさがあったら良かったのに・・・。

ん~、普通!

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2007年05月28日(月)

『家守綺譚』

テーマ:ファンタジー・SFとか

『家守綺譚』  梨木 香歩/著  新潮文庫



梨木作品を読むのもこれで4作目となった。


この『家守綺譚』は、これまで読んだ 『西の魔女が死んだ』『りかさん』『からくりからくさ』 とはチョット調子の異なる作風であるように感じた。 


売れない文筆家・綿貫征四郎が亡くなった友人・高堂の実家の家守をする日常が淡々と何事も無いように描かれる。ただ、綿貫の過ごす日常は少し異常だ・・・。

掛け軸からは亡くなったはずの高堂が時折訪ねてくる。庭のサルスベリには意思がある。庭には河童も来れば小鬼も来る。狸や狐や川獺にばかされる。いつしか居ついた飼い犬のゴローはなんとなく高尚さを醸しだしている?。散歩をしていて異界に迷い込む。

それにしても、このぬるさはなんだ!? 梨木さんの筆致にかかったら、妖に包まれた世界も和みの世界となってしまう。


静謐な清んだ空気感・・・、『家守綺譚』、『百鬼夜行抄』、『蟲師』、『しゃばけ』、『陰陽師』・・・・・、皆どこかで連なっている・・・?



そうそう・・・、最終話「葡萄」で、湖底の幽明への誘いに対して綿貫が、「理想世界は、私の精神を養わない」といって敢然と拒否する姿勢を描いた場面・・・、ここは唸った(ハードボイルドだ。。。)。



【こちらも読んでチョ】

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2007年05月25日(金)

『奪回者』

テーマ:ミステリーとか

FINDER (1998)


『奪回者』  グレッグ ルッカ/著,  古沢嘉通/訳,  講談社文庫(2000)



第1作目の仕事が終わり、その4ヶ月後がこの第2作の物語の始まりとなっている。

フリーランスのボディーガードである主人公アティカス・コディアックは、第1作で起こったあの出来事以来、本業から遠ざかっており、深夜バーの用心棒のようなことをして凌いでいる。

その深夜のバーで、美貌の女性が若い男に絡まれているところを助けた。アティカスが過去に深く関わった娘だった・・・。

本作でアティカス・コディアックが守るのは15歳の少女エリカ。そして、アティカスと対峙するのは世界でも屈指の戦争・対テロ部隊SAS(イギリス軍特殊部隊:スペシャル・エア・サービス)。


エリカは、アティカスが陸軍時代に護衛に付いた元国防総省大佐の娘である。エリカのガードを依頼してきたのはその元大佐であり、彼はエイズに罹り死に掛けている。

なぜ、SASが少女の誘拐を企むのか? アティカスは仲間を集めチームを組織し、エリカを守るべく臨戦態勢に入る。


一介のボディーガード達が戦争のプロ集団の襲撃からどのように依頼人を守るのか? いくらフィクションでも、そこのところを強引に進めるとリアリティが無くなって、しらけちまうぞ・・・、そう心配しながら読み出したが、余計なお世話だった。作者は見事に、無理なく、ボディーガード・チーム対SASの攻防を描いた。



今回の物語では、まず、アティカスがチームを組織するまでに一波乱あった。そのチーム内での人間関係のアヤが、どのように仕事に影響するのか?そこも序盤の読みどころである。

アティカスは次々と、チーム内、依頼人家族、公的捜査機関の人間たちとの軋轢に晒される。24時間敵の襲撃に備える状況下にあって、さらに、他人の感情に揺れ動かされる。

この物語の主人公は、自分以外の人間、あるいは自分も含めた人間の感情などに構うことのない冷酷なプロフェッショナルに徹することができない。主人公のアティカス自身は、自分はプロだと云いながらも、読んでいる方からはちっともプロらしく思えない。スキルはプロでも、精神がプロではないのだ。

だが、それが、このシリーズのプロットを複雑なものにし、面白さを倍化させる。欠点だらけの主人公が物語をグイグイと牽引して行き、また、主人公に関わる登場人物たちにも魅力を纏わせるのである。


今作では、アティカスとエリカ、エリカとその家族、アティカスとエリカの家族、アティカスとナタリー、アティカスとブリジット、アティカスと亡き友、の関係の描き方・・・・・信頼と裏切り・・・・・に焦点を当てた、キリリと胸を突き刺す、そんな痛みを感じる物語であった。


前作もそうだったが、今作もまた、次作の展開に気を向かせる終わり方だった。この辺は巧いネ。

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2007年05月23日(水)

『風が吹いたら桶屋がもうかる』

テーマ:ミステリーとか

『風が吹いたら桶屋がもうかる』  井上 夢人/著  集英社文庫 (2000)



7つの短編連作集。


「風が吹いたらほこりが舞って」

「目の見えぬ人ばかりふえたなら」

「あんま志願が数千人」

「品切れ三味線増産体制」

「哀れな猫の大量虐殺」

「ふえたネズミは風呂桶かじり」

「とどのつまりは桶屋がもうかる」



牛丼チェーン店で働く三宅峻平(シュンペイ)。その友人で、気の小さい公務員かつ超能力者の松下陽之助(ヨーノスケ)。同じく友人でパチプロの両角一角(イッカク)。いずれの短編もこの3人が登場する。


牛丼屋にシュンペイを尋ねて美女たちが訪れる。彼女たちは超能力者の噂を聞きつけ、自分たちが抱える問題を解決してもらうため、超能力者の仲介者である(と、彼女たちが勘違いしている)シュンペイを尋ねてきたのだ。

美女たちの依頼内容は・・・、ボーイフレンドを探してくれというもの、亡くなる間際に伯父が遺そうとした最期の一言の意味が判らず、無き伯父の魂を呼び出してくれというもの、開かずの寄木細工の箱の中に隠されたモノを教えてくれというもの、などなど。

美女たちの頼みをナントカしてあげたいと思うシュンペイは、3人が共同で暮らす古い倉庫に彼女たちを連れて行き、ヨーノスケに合わせる。


ヨーノスケの超能力とは・・・、手を使わずに割り箸を割る(30分もかかって・・・)。霊を呼び出す(間違ってブルドッグの・・・)。念力でウクレレの弦を弾いて1曲演奏する(5時間もかかって)。・・・といった役に立つのか立たないのか判らないものばかり。

シュンペイにしてみれば、いずれも普通の人間が普通に行った方が効率的に巧く出来ることばかり。そんなものは超能力というよりも“低能力”としか云えない代物であった。

もっとも、ヨーノスケ自身も、超能力は趣味みたいなもので別段自慢できるほどのものではないと思っている。極めて謙虚なのであった。。。


だが、美女たちは、そんなヨーノスケの能力を目の前にして驚き、是非にとも依頼する。

美女たちはシュンペイとヨーノスケに向かって話し出す。彼女たちの抱える深刻な問題について・・・。自信は無いものの、彼女たちの力になろうと決心するヨーノスケは、美女たちの目前で超能力の発揮を試みる。しかし、その能力の発現には極めて長時間を要する。


ヨーノスケが超能力を発揮させようと集中しているとき、部屋の片隅に居たはずのイッカクが立ち上がる。読んでいた推理小説に文句を云い、ホッポリ投げながら美女の前に座る。どうやらイッカクは、推理小説を読みながらも彼女らの話を聞いていたようだ。美女にいくつかの質問をしながら繰り広げるイッカクの見事な論理展開。依頼人の女性から聞いた事実(データ)だけから推測される事象を次々と連ねていき結論に至る。

イッカクの推理結果を聞いた美女たちは、あわてて彼らの元から飛び出す。超能力を発揮させようと悶絶するヨーノスケを置いて・・・


数日後、美女が3人の元を再度尋ねてくる。事件の顛末を携えて・・・。

イッカクの論理展開によって導き出された結論は・・・・・・、美女らが告げた事実関係とはおよそ掛け離れたものであった。「風が吹けば桶屋が儲かる」のごとし・・・?????????・・・・・・ハテナ・マーク(?) が二十個くらい付きそうな推理結果だった。。。

にも拘らず、美女たちは皆満足し、彼らに感謝し、折り菓子を置いて帰って行くのだった。ヨーノスケが超能力を発揮したその瞬間に・・・・・。


各話は全てこのパターンで終始する。


偉大でおバカなワンパターンの7連チャン。人を食った物語の連続。笑いの7両連結。

まさに“バカミス”。 最高だ。 ブコウスキーの 『パルプ』 にも匹敵しそうだ。

お薦めです。朝になったら「ブ」に走るべし!

jettvanels氏の記事 も読むべし! さらに笑える。

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2007年05月21日(月)

『りかさん』

テーマ:ファンタジー・SFとか

『りかさん』  梨木 香歩/著  新潮文庫


この本には、「りかさん」と「ミケルの庭」の2編の中編・短編小説が収められている。


「りかさん」は、 『からくり からくさ』 以前の物語。

「ミケルの庭」は、『からくり からくさ』 の後日談。


「りかさん」の冒頭で、『からくり からくさ』 に登場した蓉子とりかさんの出会いが描かれる。そして、蓉子とりかさんの出会いの切っ掛けとなった蓉子の祖母麻子さん、この3人と様々な人形を中心とした不思議ワールド・ストーリーが展開される。


「ミケルの庭」では、蓉子とその同居人兼友人の与希子、紀久、マーガレットの4人プラス1人の、『からくり からくさ』 後の様子を描いている。プラス1人がミケルである。

私個人の好みから云えば「りかさん」よりも「ミケルの庭」の方が面白かった。

「りかさん」の方は人形に焦点があたりすぎているような感じがした(このあたりは完全に好みの問題ではあるが・・・)。ただ、麻子さんの一言一言には重みがあって良かった・・・

「ミケルの庭」はもっと膨らませた物語が読みたい。続編できないかな??



【こちらも読んでチョ】

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2007年05月19日(土)

『からくり からくさ』

テーマ:ファンタジー・SFとか

『からくりからくさ』  梨木 香歩/著 新潮文庫


梨木本2冊目。


4人の20代の女性たちと“りかさん”と呼ばれる人形が古民家で共同生活している。彼女たちの感情の移ろいを追って行く物語。
この物語を読んでいると、ほのぼのとして、時折まどろんだ感覚になる。なんとなく物語がボケている様な感じがするのだ。

しっかりした筋が通っているようで通っていない。主題があるようで無い。ないようで在る。

読み手によって主題はどうとでも採れる? こういう物語はイイ。


『西の魔女が死んだ』 と今作と、この著者の作品を2作続けて読んだが、結構気に入った。

ところで、同じ著者の 『りかさん』 という作品は、『からくりからくさ』に出てくる“りかさん”と関係あるのかい???
『家守綺譚』も気になるが、次は『りかさん』か!? 



【こちらも読んでチョ】

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2007年05月18日(金)

『ガラスの中の少女』

テーマ:ミステリーとか
THE GIRL IN THE GLASS (2005)
『ガラスのなかの少女』  ジェフリー・フォード/著、 田中一江/訳  ハヤカワ文庫(2007)



2005年のアメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバッグ賞を受賞した作品だそうだ。

この著者の作品、今までにもいくつか翻訳出版されているようだが私は初めて読む。



いかさま降霊術師のトマス・シェル。シェルが育ててきたメキシコからの不法移民の少年ディエゴ。シェルのボディーガード兼運転手のアントニー・クレオパトラ。シェルを頭目としたこの3人組は霊魂の存在など一切信じない。降霊会が開催される事前には顧客の周辺・背景を徹底的に調査し、降霊会当日は様々なギミックを仕掛け、顧客の心情や感情の動きを巧みに読みながら大掛かりな詐欺を遂行する。


シェルは、自らが計画したインチキ降霊会が開催された邸宅のガラス窓に突如少女の姿を見る。その少女こそ、数日前から行方不明になっているある富豪の一人娘だった・・・・・。なぜ、この邸宅のガラス窓に少女の姿が浮かび上がったのか? 少女の霊魂なのか? そんなはずがない・・・。 シェル、ディエゴ、アントニー達はその謎を解明すべく少女の行方を追いはじめる・・・・・。


純推理小説とはまったく異なる。 怪奇小説か?、幻想小説か?、それともちょっと違う。

物語の前半・後半で・・・、ディエゴの活躍が始まるクライマックス場面から・・・、なんとなく作風が変化しているような感覚に捕らわれた。内容も筆致も不思議な感覚を抱かせる物語だ。どう不思議かは巧く表現できない。読んでもらうしかない。

この作者の作風、なかなか面白い。 もちろん中身も。

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2007年05月15日(火)

『恐竜探検隊』

テーマ:自然科学とか
恐竜探検記/R.C. アンドリュース

「ブ」のパトロールで、文庫本や単行本コーナーを物色していても、まったく触手の働かない日というのがある。そんなときは児童書・幼児書コーナーに行ってみる。

ときおり、岩波少年文庫や講談社青い鳥文庫などに「読みたい!」と思わせるものがある。それが105円だったら、即買いである。

そんなふうにして手に入れたのが、講談社青い鳥文庫の 『恐竜探検隊』 (1995) である。


ロイ‐チャップマン アンドリュース/著,  長谷川 善和/訳,  小沼 直人/絵
恐竜探検隊

上の画像は、一般(大人)向けのものらしく 『恐竜探検』 となっているが、私が購入して読んだのは 『恐竜探検』 の方。

化石ハンターたち一行のモンゴル冒険紀行。この著者、インディー・ジョーンズのモデルだそうだ。

シュリーマンやヘディンを読んで面白いと思った人なら、これもイケル(と思う)。


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2007年05月13日(日)

『謎解き 広重 「江戸百」』

テーマ:歴史とか



謎解き 広重「江戸百」 』  原信田 実/著  集英社新書ヴィジュアル版 (2007)


広重が描いた江戸浮世絵風景画の傑作シリーズ「名所江戸百景」、略して「江戸百」。浮世絵風景画の連作として、この時代の庶民の人気を博したそうだ。

しかし、これらの絵は、ただ美しいだけの風景画ではない。


この本の表紙絵にもなっている“浅草金龍山”の近景・遠景に描かれた対象物と、この絵が描かれた頃に起きた出来事を結びつけた時、そこに一つの仮説が、この絵が描かれた切っ掛けが浮かび上がる。著者の原信田氏の頭に浮かんだこの仮説を、別の絵にも当て嵌めることができたなら・・・・・。

著者は第1章で仮説の発想について記し、第2章では「江戸百」が描かれた時期、“安政”という時代の世相・世情・風潮や幾多の自然災害と、庶民の「世直り」の願望について説明する。そして、第3章から第5章では、45編の絵を挙げて、それぞれの絵に込められたメッセージを浮かび上がらせる。

それぞれの風景画には、広重ら製作側が含めた意図や込められた意味というものがあった。幕府によって表現の自由を規制されていたこの時代、それぞれの絵にはコード化された、一種ジャーナリスティックなメッセージ・ニュース性を混入したものであったのだ。



著者の云う仮説に対し、最初はホントかな?という疑問があった。しかし、一つひとつの絵に対する解説を読み進めるうちに次第に納得していく。。。

当初、「江戸百」シリーズの全ての絵がカラーで掲載されているページをパラパラめくりながら、浮世絵の美しさ・繊細さ、構図の大胆さに目を見張っていただけの私が、テキストの中身についても次第に惹かれていった。

新書サイズのビジュアル本としての価値も然ることながら、歴史謎解き本としてもメチャクチャ面白い。

お薦めです。


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