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2005年10月31日(月)

『夜明けの光の中に』

テーマ:ミステリーとか
ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に

ローレンス・ブロック/著、田口俊樹・他/訳、ハヤカワ文庫



ローレンス・ブロックの第3短編集です。

長編シリーズの主人公、マット・スカダー、バーニー・ローデンバー、殺し屋ケリーが登場する短編を含む、全20作品が納められています。


この作家が書く短編は、ある一瞬の出来事・場面を切り取って描かれることが多いようです。

ページ数も限られているのだから当然といえば当然のことですが、その短いページ数の中に登場人物の心の動きや行動の謎を凝縮して描き出す手口は極めて巧妙です。


短編ミステリーこそ、ラストのアイデアが勝負。そのラストに向けた伏線の張り方も重要です。

ラストのアイデアといっても、決してトリッキーである必要はありません。

ニヤッとさせるラストであったり、ヘ~と思わせるラストであったり・・・、小粋なラストがイイですネ。


ローレンス・ブロックが描く短編作品のラストは、この“小粋さ”があります。しかも、チョットした驚きやショックを読者にもたらしてくれます。

その技は、まさに一瞬の閃光・・・。読後は残像がチラつきます。

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2005年10月30日(日)

『バランスが肝心』

テーマ:ミステリーとか
ローレンス・ブロック傑作集〈2〉バランスが肝心

ローレンス・ブロック/著、田口俊樹・他/訳、ハヤカワ文庫



ローレンス・ブロックの第2短編集、ハードボイルドからファンタジー風味の作品まで、全19編です。


この19編の中に、もともとは長編シリーズの主人公マシュー・スカダーという無免許探偵が活躍する作品があります。

現在では飲まないアルコールが、まだ手放せなかった頃の探偵の物語です。


「バッグ・レディの死」 田口俊樹/訳

探偵が“アームストロングの店”で、いつものバーボン入りコーヒーを飲んでいるところに、弁護士を名乗る男が訪れてきた。見知らぬ女が彼に1200ドルの遺産を遺した、とのことである。

彼女は、ニューヨークの街中を徘徊し、路地を住処とするショッピング・バッグ・レディと呼ばれる人間だった。その彼女がある日、路地裏でめった刺しにされた後、絞殺されたそうだ・・・。

彼女の遺言書には、探偵のほかにも31人の名前が書かれており、32人への相続総額は25万ドルにも及ぶと言う。


なぜ彼女は探偵に遺産を遺したのか?

彼女を知っている人間を求めて、彼女がどういう人間だったのかについて、ニューヨークの夜の街を聞き込みに回るスカダー。

スカダーの聞き込みは、いつしか・・・、ほとんど誰も気にも留めなかった1人の女の死について、誰もが口にするようになった。


そして、意外な解決・・・。

こんな事件の解決の仕方もあるのだ? こんな解決の仕方の作品があるんだ? と思わせるラストです。

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2005年10月29日(土)

『文春新書刊行目録2006』

テーマ:なんでも読んでみよう

文春新書が創刊された1998年10月から2005年9月までに出版された460冊あまりの新書について、その概要を紹介した目録です。


書店にて無料で手に入ります。


文春新書で分類されているカテゴリは15種


■日本の歴史

■政治の世界

■世界の国と歴史

■アジアの国と歴史

■経済と企業

■社会と暮らし

■教える・育てる

■考えるヒント

■文学・ことば

■コンピュータと情報

■サイエンス

■アートの世界

■こころと健康・医学

■スポーツの世界

■食の愉しみ


この出版社の特徴のひとつであると思いますが、やはり、“日本の歴史”カテゴリーの本が最も出版数が多いです。“世界の国と歴史”、“アジアの国と歴史”を合わせると、全出版数のおよそ1/3近くを占めています。

一方で、スポーツ関係やサイエンス系の出版数が少ないです。

そういえば、文集新書から出ているサイエンス系の本って、あまり読んだ覚えがない・・・。

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2005年10月27日(木)

『随筆 本が崩れる』

テーマ:なんでも読んでみよう
随筆 本が崩れる    草森 紳一/著、文春新書

3編の随筆。

「本が崩れる」

「素手もグローブ」

「喫煙夜話 この世に思残すこと無からしめむ」



風呂に入ろうとして身体を半身にして扉を抜けたとたんに、扉近くに積んでいた本が崩れ、風呂場に閉じこめられる。天井まで積み上げられていた本が崩れれば、扉を開くだけの空間も埋め尽くされてしまう。扉はびくともしない。昭和13年生まれの著者はマンションに一人で暮らしているため、声を出しても誰も助けてくれない。

(この窮地からどのように脱出したかが気になる人は本書を読んで下さい)


地震が来るたびに家のどこかで本が崩れる。寝床の近くにも本が積まれていて、顔の近くに崩れてくるモノは本能で払い除けることができる。


家の中を移動としようとすると、気を付けているつもりでも本に足が引っかかり崩れる。

いくら本の積み方が上手くなったとしても、家を埋め尽くすほどの本が存在する限り、物理的に安全なところはない。


このような状況に置かれている著者は、なんとも幸せそうである。そういう雰囲気が文章から漂ってくる。


時に世相に背を向け、時に自虐的になる、中身など大したことのない、単なる老人の独り言を書き綴った、何のことはない本だが、そこがイイ。羨ましく思う。


タバコについて記した「喫煙夜話 この世に思残すこと無からしめむ」もイイ。

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2005年10月26日(水)

『河出文庫解説目録2006年』

テーマ:なんでも読んでみよう

以前紹介した 『岩波文庫解説目録2004年』 に続く、これまた、タダの文庫案内書です。


河出文庫から出ている作品に対する私の印象は、“マイナー”、“ニッチ”、“クセモノ”、といったところ。

この目録を見て感じたのは、あながち私の持つ印象は間違ってはいないみたい、ということです。


私の家にも、河出文庫ってあまり置いてないです。

でも、面白そうな本が、たくさんありました。

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2005年10月25日(火)

『唯幻論物語』

テーマ:なんでも読んでみよう
唯幻論物語

 岸田秀/著、文春新書


著者の育てられてきた家庭環境(その大部分は母親との関係や母親から受けた仕打ち、母親に対して抱いていた感情)や、少年期・青年期における異性や他者との関係について、正直かつ冷徹に自身を分析し、そして、著者が見い出した「唯幻論」という精神分析理論について語った本です。


ま~、よくもココまで自身を冷徹に分析できたものだと感心してしまいました。

それだけに、唯幻論という理屈を構築してきた過程にも妥協がみられません。また、著者が他者(読者)に向けて語る言葉も冷徹です。


「子育てに利己的な動機が全然含まれていないなんてことはありえない。普通の人間が利己的な動機なくして子育てのような大変なことができるわけがない。子になんの期待もせずひたすら献身的な親など存在しない。どれほど子を愛している親でも、子よりは自分が大切であることはいうまでもない。」


「人間は本能が壊れた動物である。壊れた本能の代わりに自我を構築し、自我を守るという形で個体保存を確保するようになった。自我は現実的基盤を欠く幻想であるから、自我を守るためには、その自我が優れているとか、価値があるとか、尊敬されているとか、などの属性を与えなければならない。自分は生きるに値する価値があると信じていなければ人間は生きられない。」


「自分の無意識は他者の眼、他者の行動、他者の鏡、他者の物語を介して見えてくるものであって、自分の心の中をどれほど見回してもみつからない。他者を足場にして初めて、堂々巡りする自己中心的な自己観察がいくらか客観的な自己分析となる。」


著者の云っていることは恐らく正しいことなのだと思います。

私は、こういう尤もな事?がもっと世の中に広まればイイと思います。

でも、著者の云い方では、感情的に反発する人が多くいると思います。もう少し言い方に優しさがあったほうがイイ。



青字は引用です)

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2005年10月24日(月)

『おかしなことを聞くね』

テーマ:ミステリーとか
ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね


ローレンス・ブロック/著、田口俊樹・他/訳、ハヤカワ文庫



アメリカのミステリー作家、ローレンス・ブロックの第一短編集です。18作品が掲載されています。



ローレンス・ブロックといえば、無免許探偵マット・スカダーを主人公とするシリーズが有名ですが、この短編集にはスカダーが登場する作品は18編目の「窓から外へ」だけです。



この第一短編集の中で私が気に入っている作品は「夜の泥棒のように」。



『夜の泥棒のように』 田口俊樹/訳

エレイン・ホルダーは警備員の前で部屋の番号と入室時間を記入した。彼女が真夜中に訪れたオフィースには先客がいた。

「こんばんは」と男は云った。

何故、こんな時間に見ず知らずの男がいるのか?

エレインは恐かったが、態度には出さず、男の言い分を聞いている。

その男は、威圧的なところなどまったく無く、むしろ人好きのする魅力的な男。言葉遣いにも教養が伺え、立ち居振る舞いも申し分ない男。バーニー・ローデンバー。泥棒だといっている。



実はバーニーも恐がっていた。自分は不法侵入者であり、このオフィースに立ち入りできる正当な人間であるエレインに警察に通報されたら終わり・・・だから。

彼は他人を傷つけたり、ましてや人殺しをしたりすることなど決してできる人間ではなかった・・・。

殺人現場に出くわし、やむを得ず警察に協力して犯人探しをしたりすることはあったが・・・(泥棒バーニー・ローデンバーが主人公の長編シリーズがあります)。



話をしているうちに、なぜか気の合った2人。2人はお互いの仕事を終えて(バーニーはエレインの仕事を手伝ったりして)、一緒に警備員の前を通ってビルから抜け出した。エレインのアパートメントまで送り届けたバーニーは、コーヒーに誘われ、そのまま一夜を供にした。バーニーは夜明け前にエレインのアパートから帰っていった。帰り際にはキチント鍵をかけて・・・。



その後、エレインは、・・・・・



バーニーが帰った後のエレインの行動が、この作品のオチになっています。

長編では主人公を務めるバーニー・ローデンバーが、この作品では脇役を務めています。小粋に効いたオチ・・・、バーニーはそれを知らない・・・・・。おしゃれな作品です。





ローレンス・ブロックは短編も巧いです。小粋でおしゃれ、あるいは、渋みの効いた佳作が多いです。

私が持っているローレンス・ブロックの短編集はこの他に、『バランスが肝心』と『夜明けの光の中に』がありますが、どれも水準以上の短編がたくさん入っています。

ブロックの短編集はお徳感、大です。

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2005年10月22日(土)

『ワールドカップ全記録2002年版』

テーマ:サッカー・スポーツとか
ワールドカップ全記録〈2002年版〉

 原田公樹/著、講談社文庫



前回2002年のワールドカップの本選はもちろんのこと、全大陸における全予選の結果についても載っています。



それだけではありません。

1930年の第1回ウルグアイ大会からの全試合の記録(得点、得点者、選手、コーチ、審判、など)が網羅されています。

対戦国、得点だけなら、これまでのワールドカップ予選全試合についても掲載されているから、まったくすごいです。



文庫サイズのデータブックなんて手軽で便利。

2006年ドイツ・ワールドカップへの各大陸予選も佳境に入ってきて、この本片手にスポーツナビ(http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/wcup/06germany/preliminary/index.html)を観るのが楽しいゾ!

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2005年10月21日(金)

『蜘蛛の巣のなかへ』

テーマ:ミステリーとか
蜘蛛の巣のなかへ

 トマス・H・クック/著、村松潔/訳、文春文庫



二十数年前に故郷の田舎町を捨てた主人公ロイ・スレーターは、肝臓癌で余命いくばくも無い父の最期を看取るために戻ってきた。父には自分の他に家族はいなかったからだ。

故郷を捨てる直前、殺人を犯して牢獄で自殺した弟。そのことを苦にして後を追う様に病死した母。そして、ロイの前からは恋人も去っていった・・・。



ロイは思い出す。仲の良かった弟と故郷から逃げ出した晩のことや、故郷から抜け出すために大学に進み、卒業後は恋人を迎えに来ようと思っていたこと、など・・・、そして何よりも家族に対して冷たかった父親のこと・・・。

父のジェシー・スレーターは、ロイが子供の頃から、いや、その前からいつも不機嫌だった。一生を不機嫌なまま生きているかのようだった。



故郷に帰ったロイは、ふとしたことで、かつての同級生で今は保安官を務めるロニー・ポーターフィールドに会う。また、彼の父親で、弟の事件の捜査を行った前の保安官ウォレス・ポーターフィールドとも・・・。

そして、次第に、あの二十数年前の出来事、弟が起こしたとされる殺人、父親の過去、町を支配する保安官、ロイに別れを告げたかつての恋人の想い・・・、様々な謎に関与していくことになる。





この作家の書く作品は、大抵の場合、重苦しい感じというのか、焦燥感というのか、プレッシャーというのか、そういう感覚(巧く表現できません)を読者に(私に)抱かせます。特に作品の導入部から後半部にかけて、この感覚が強く作用します。

数十年前の出来事にまつわる謎が登場人物たちに暗い影を落としており、それぞれの人物が長年に渡って何かしらの傷を負っている、というのがこの作者の書く作品の多くに共通した設定となっています。

実は登場人物の誰もが真相を知っていて、知らないのは主人公と読者(私)だけ、というような錯覚を持つこともあります。作品の中に立ち込めている独特の雰囲気がページをめくる手の動きを早めます。



ただ、主人公が真相に至る過程は作品によって若干異なるような気がします。

特に最近の作品が変わってきた?のかもしれません。



少し前の『記憶4部作』と呼ばれている作品では、物語の後半部からクライマックスに至る速度は比較的ゆっくりしており、真相は静かに開示されていく・・・、といった構成を採っていたように思います。謎が解明された後も、大抵の場合、主人公やその周りの人物たちに平穏が訪れることもなく、エンディングは主人公あるいは読者に何か考えさせるものを残しながらフェイドアウトしていきます。



一方、この作品ですが・・・、

物語の導入部から後半部までは、これまでの作品と同様の雰囲気で、ドンヨリした雰囲気を醸し出しながら進行していきます。特に、主人公に対する父親の不機嫌な態度と、その父親の態度に対する主人公のシニカルな対応、過去に一家に起きた不幸が、ドンヨリ感を強調しています。

しかし、クライマックスではこのドンヨリ感が一転します。これまでの作品には見られなかったほどの展開の速さで真相が明らかになっていきます。

エンディングもなんとなく明るい将来を予感させて、物語が閉じられます。



この作者独特のドンヨリ感に堪えられない、結末がハッピーエンドじゃない、と言って、この作家を敬遠する人も私の周りにはいます。好き嫌いの分れる作家かもしれません。

しかし、ストーリー・テリングは間違いなく一流です。

私はいつも一気読みです。

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2005年10月20日(木)

『幻獣標本博物記』

テーマ:なんでも読んでみよう
幻獣標本博物記

 江本創/著、パロル舎


帯より、

『世界各地で採取された奇異な生物! 黙殺された科学者たちの偉大なる功績。

――-進化の闇の底から、幻獣たちの嘆き声が聞こえる―――』


奇怪な生物の標本写真、イラスト、発見者達の手記を掲載した本です。


スゴイ本です。すごい、としか言いようがない。

説明不能・・・。見て、読んでもらう以外にない。トンデモ本。すごく変。

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