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~CIN3(高度異形成~上皮内がん)の治療で女性の子宮は本当に守られてきたのか? 産婦人科医・婦人科腫瘍医らの欺瞞を斬る!~

「子宮狩り族」・・・たしかに過激で辛辣な言葉です。

この言葉は、近藤誠氏の著書『女性の医学』の中で、前がん病変と言われるCIN3(高度異形成~上皮内がん)や子宮頸がんに対して過剰な子宮摘出術や拡大手術を行ってきた日本の産婦人科医や婦人科腫瘍医たちを批判・揶揄する表現として出てきます。簡潔に言えば、「CIN3の治療で必要のない子宮摘出やそれ以上の拡大手術が過剰に行われてきた」、「初期の子宮頸がんに対しても、子宮が温存できて治療成績が同等以上の放射線療法が海外では広く適用されており考慮されるべきなのに、日本では子宮摘出や合併症や後遺症が深刻な拡大手術が横行してきた」ことを批判、揶揄する言葉として- - - 。

このような批判に対して、産婦人科医や近藤氏の言説に真っ向から反対する人たち(そういう人たちの中には、HPVワクチンを推奨したり、子宮頸がん検診を無批判に肯定、推奨する人が多い)からは非難、批判の声が上がっています。
例えば、近藤誠氏の著書や言説に反発して抗議の意見声明を発表した大阪大学医学部産婦人科の声明では、「日本はさらに精密に診断をしたうえで治療をしていますので決して取らなくてもよい子宮を摘出したり不必要な円錐切除をしているわけではありません。」と述べられています。また、ほたかさんのブログ記事、『20代の子宮頸がん検診キャンペーンはGSKらによって仕組まれた陰謀』で引用されている『子宮頸がん検診に関する調査報告書 : 2008年』の中では「HPV に感染し前がん病変となったとしても、子宮頸がん検診によって早期に発見することができれば、治療によりほぼ 100%完治し、妊娠・出産も可能である。」などと書かれています。
さらにtwitter上では、子宮頸がん検診による過剰診断・過剰治療の問題を批判しているほたかさんや、そのブログ記事を紹介した方への非難の声もあります。

togetter.com/li/946616
(※ この中でツイートされている一連の批判は相手の主張をご都合主義的に歪曲しており、的はずれなものと言えますが、これらに対する逐一の反論は別の機会にゆずります)

本エントリー記事では、検診による前がん病変(CIN3)の発見と治療(手術)が女性の子宮を守ることに本当に繋がり役立ってきたのか、「子宮狩り族」とは不当な批判なのか、そのことを前がん病変や子宮頸がんの治療に携わってきた医師たちが実際に行ってきた治療内容の統計データをもとに検討してみます。

その殆んどが子宮頸がん検診で発見される「高度異形成~上皮内がん」(CIN3)に対して、日本の産婦人科医や婦人科腫瘍医たちはこれまでどのような治療を行ってきたのでしょうか。そのことを私が初めて知るきっかけになったのは1995年に発刊された近藤誠氏の『患者よ、がんと闘うな』を読んだ時でした。
同書のP111~P112に、産婦人科医や婦人科腫瘍医らの主流医学誌である「日産婦誌」( 47巻2号 1995年)に掲載された「婦人科腫瘍委員会報告」の一部が引用されています。そこには0期子宮頸がん(当時、高度異形成~上皮内がんは0期子宮頸がんと呼称されていましたが、現在ではそれらがCIN3という表記に統一されています[*1])に対して、どのような治療(手術)が1990年代に行われていたのか、主だった医療機関の治療内容が表に示されています。それを以下に転記します。

表1

(※クリックすると拡大して見れます)

この表を示した上で近藤氏は、がんセンターや大学病院といったがん治療の中枢と言われている病院ほど、0期の症例(CIN3)に対して子宮摘出や深刻な合併症・後遺症のリスクが高いリンパ節切除や膣部分切除を伴う拡大手術(広汎子宮摘出術)を施術する割合が異常に高いと批判していました。
表を見れば、子宮摘出やリンパ節切除、膣部分切除などを伴う広汎子宮摘出術を0期(CIN3)症例の100%に行っていたがんセンターや大学病院があることが分かります。全国集計としてはリンパ節切除が5%、膣部分切除が12%の割合で行われていました。
このような拡大手術を受けた女性に排尿障害や性交困難など深刻な合併症、後遺症をもたらしていたであろうことは想像に難くありません。
この本が出版された1995年当時、医療界の中で近藤氏の他に誰がこのような問題に警笛を鳴らしていたでしょうか。近藤氏の今もって通じる先見性のある批判や警告は十分に評価されるべきでしょう。

1990年代以降、産婦人科医・婦人科腫瘍医は、子宮摘出や拡大手術を減らし円錐切除へと無し崩し的に舵を切ってきました。
以下に、日本におけるCIN3に対する治療内容の変遷をざっと列記してみます。

【CIN3に対する治療内容の変遷】
〔1991年〕
円錐切除(23.4%)、子宮摘出(60.9%)、拡大手術(12.6%)

〔1994年〕
円錐切除(37.0%)、子宮摘出(52.6%)、拡大手術(7.4%)

〔2003年〕
円錐切除(72.8%)、子宮摘出(21.5%)、拡大手術(2.5%)

〔2008年〕
円錐切除(78.5%)、子宮摘出(13.4%)、拡大手術(1.3%)

〔2013年〕
円錐切除(80.3%)、子宮摘出(11.8%)、拡大手術(0.5%)

(※ これら治療内容の統計データは、婦人科腫瘍医たちが自ら行った治療のデータを集計して医学誌(日産婦誌)に報告した資料「婦人科腫瘍委員会報告」から拾い上げたものです[*2]

以上のデータから分かるように、2013年でもCIN3症例の12%以上に子宮摘出以上の手術が行われています。
また、2000年頃までは子宮摘出術と広汎子宮摘出術を合わせると、CIN3治療全体の過半を越える状況だったことも分かります。

子宮摘出や拡大手術の比率が減ってきたのは「無し崩し的」であると書いたのには理由があります。
産婦人科医・婦人科腫瘍医は「(子宮摘出や拡大手術が減って)円錐切除の比率が増えてきたのは若い女性のCIN3が急増し妊孕性(生殖能)の保持を望む女性が増えてきたからだ。」と説明し、最近の子宮頸がん治療ガイドラインでは「若年女性のCIN3治療は妊孕性の保持のため円錐切除の適用を考慮する」などと書かれています。
しかし、若年女性のCIN3が急増してきたのは、産婦人科医らによって検診推奨が盛んに唱えられ検診受診者が増えてきたからだと言えます。CIN3の実際の罹患数が急増したのではなく、若年女性の検診受診が増えて、それまで「治療」されていなかった潜在的なCIN3が拾い出され「治療」の対象になったことが「急増」の原因になったのです。
これまで複数のブログ記事で、若年女性のCIN2~CIN3の9割を大きく越える圧倒的多数が将来に渡って症状も起こさず命も脅かさない過剰診断であると論じ解説してきました。つまり、検診によって発見され治療(手術)されたCIN2~CIN3の圧倒的多数は、治療の必要がなかった過剰治療だったと言えるのです。

検診の普及によって若年女性に発見されるCIN3が急増するにつれて漸次、拡大手術の比率が減り円錐切除の比率が増えてきたのは事実です。
ただしその理由は、従来であれば治療医は子宮摘出や拡大手術を勧めてきたが、検診受診が増えることによって若年女性のCIN3が急増してきたために、子宮摘出や拡大手術の必要性について、将来こどもを望む患者や家族から疑問やセカンドオピニオンを求める声が大きく上がり、それが子宮摘出や拡大手術を減らすことに繋がったというのが実状と言えるのではないでしょうか。

このような、「前がん病変」や子宮頸がんに対する無定見かつ無し崩し的な治療(手術)方法の変遷は、乳がん治療におけるそれを彷彿させます。
かって、海外では乳房温存療法が広く普及していたにもかかわらず、日本では合併症・後遺症が苛酷な拡大手術(ハルステッド術)が漫然と広く行われていた時代がありました。その時代に近藤誠氏が日本でいち早く温存療法を提唱し、その温存療法を受けた患者たちの声や情報交流が乳房温存療法普及の大きな後押しとなった歴史があります。

これまで行われてきた過剰診断・過剰治療の深刻な弊害について、産婦人科医や婦人科腫瘍医たちが自ら総括することもなく、患者や家族、国民にも説明することもなく、『大阪大学医学部産婦人科の声明』のように「決して取らなくてもよい子宮を摘出したり不必要な円錐切除をしているわけではありません。」と平気でウソを書き並べられるのは、まさに悪しきパターナリズムの典型と言っていいでしょう。

検診によって甚大な数の過剰診断・過剰治療が発生してきた状況は、米国においても指摘されています。たとえば、

過剰診断: 健康診断があなたを病気にする (単行本)/H.ギルバート ウェルチ

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の中で、著者である臨床医・研究者のウェルチ氏は米国での前がん病変(CIN3)について、

『前がん病変の診断を受けた女性が何人いるのか、正確には分からないが、100万人単位に上るだろう。- - - 子宮頸がんで死亡する生涯リスクが0.2%(1000人に2人)にすぎないことを考えると、これはものすごい数の前がん病変の過剰診断になる。- - - 円錐切除術は、不妊の原因になるという問題があるし、子宮摘出術をすれば、当然ながら妊娠できなくなってしまう。こうした害があることから、アメリカ産婦人科学会は最近、若い女性のスクリーニングをやめることや、スクリーニングの頻度を減らすことを新たに推奨した。』(同書P121~P122)
(NANA注:スクリーニングとは検診を指します)

と書いています。

日本ではここ20年くらいの間に、若年女性層の検診受診が増えるに伴ってCIN3の「治療」数は大きく増加してきました。しかし、その増加による多大な負担や犠牲に見合うように子宮頸がん(浸潤がん)の罹患や死亡は減ってきたと言えるでしょうか。
残念ながら、子宮頸がんの罹患や死亡の統計データはそれを明確に否定しているのです。

産婦人科医・婦人科腫瘍医が言うように妊孕性の保持が望まれる若年女性のCIN3治療には円錐切除が適応できるのなら、何故、これまで高い頻度で安易に子宮摘出や拡大手術が行われてきたのでしょうか。将来妊娠を望む女性や第2子、第3子を望む女性が子宮摘出以上の手術を勧められ、妊孕性(生殖能)を断念させられてきたケースが数多くあったことは、上記に示した治療内容の統計データから想像に難くないでしょう。
また、初期の子宮頸がんにも過剰な拡大手術を数多く行ってきたことに納得できる合理的な説明ができるでしょうか。

以上書いてきたことを整理すると、以下のようなことが言えると私は考えます。
「子宮狩り族」という批判表現も、過激で辛辣な言葉ですが、的はずれではないと思います。

① CIN3の治療が子宮頸部の円錐切除にとどまらず、子宮摘出が高い割合で行われてきた。さらには深刻な合併症や後遺症のリスクが非常に高いリンパ節切除、膣部分切除を含む広汎子宮摘出術(拡大手術)も無視出来ない頻度で施術されてきた。

② 産婦人科医・婦人科腫瘍医らが盛んに唱える「若い女性に子宮頸がん検診を奨めるのは、前がん病変(CIN3)を早期に発見すれば妊孕性(生殖能)を保てる円錐切除の治療で済み、検診を受けなければ頸がんになって子宮摘出になる事態を避けられるメリットがある。」という言説が、これまで行われてきた治療の実態と子宮頸がんに関する統計データを勘案すれば、欺瞞的と言わざるを得ない。

③ 若年女性(20代女性)が検診を受けることで得られる利益が検診によって生じる過剰診断・治療の重大な弊害の不利益を上回るとはとても言えない。
若年女性の検診受診がこのまま増加して行けば、過剰診断・過剰治療による弊害がさらに拡大する。

★★★★★★【補足追記】★★★★★★

~「高度異形成、上皮内がん、進行、浸潤がん、治療、経過観察」などのキーワードで私のブログを訪れてくれた方へ ~

私のブログには上記のキーワードでアクセスされてくる方が結構いるので、検診で前がん病変(CIN2~CIN3)と診断されネット検索で私のブログにたどり着かれた方も少なくない印象を持っています。
医師から病変を宣告されて大きな不安がある中で、無治療や経過観察を選択するのは難しいでしょうし、それはある意味、大変勇気がいることです。
医療者でもない私が、経過観察したほうがいいとか治療を受けろなどとアドバイスできる立場にも当然ありません。
ただ、そうではあっても次のような事は是非、伝えたいと思っています。

◇ もっぱら検診によって発見される、いわゆる前がん病変と言われるCIN2~CIN3について、仮に治療を受けることを決めるにしても、それにはデメリットや弊害もあることを認識し、医者まかせにせず、焦らずじっくりと情報を集め、自分の頭でしっかり考えてから決断されることを願っています。

◇ 治療を受けることに決めた場合。
産婦人科医・婦人科腫瘍医の中には、CIN2でも積極的に手術をする医師がいたり、CIN3の治療で子宮摘出以上の拡大手術の割合が過剰に多い医師がいたりします。そういう情報を治療を受ける前に集めることも大事でしょう。
担当医師に治療成績(実績)――CIN3の治療について、経過観察の症例はどれくらいの割合であるのか、円錐切除や子宮摘出術、拡大手術をどれくらい割合で行ってきたのか――等を尋ねることも必要だと思います。またそれがその医師のもとで治療を受けるかどうかの判断材料にもなるでしょう。
もし、患者からの質問にしっかり答えなかったり、嫌な顔を見せるような医師だったら離れるのが得策だと思います。

【関連記事】

◇高度異形成~上皮内がんは浸潤がんに進行するのか?(その1)

◇高度異形成~上皮内がんは浸潤がんに進行するのか?(その2)

若い女性の皆さんへのメッセージ


※下記のほたかさんのブログ記事も、CIN3の治療や経過観察の判断、選択をする上で参考になると思います。

◇日本産科婦人科学会のトピックス~CIN3の大部分は消失・退縮する


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

**************************************
[*1] 前がん病変とされる子宮頸部高度異形成や上皮内がんの日本における医学的表記の変遷には混乱も見受けられます。婦人科腫瘍医ら専門医は、かって0期子宮頸がんと呼んでいた高度異形成・上皮内がんを2008年頃からCIN3という表記に統一しています。しかし、現在でも高度異形成・上皮内がんという言い方は普通にされています。いずれにせよ、CIN3という表記は、これまでの0期子宮頸がん、高度異形成・上皮内がんと言われていたものを統一表記したと理解されます。

[*2] CIN3(0期子宮頸がん)や子宮頸がんの登録医療機関ごとの治療内容などが記載されている「婦人科腫瘍委員会報告」は、数年ごと不定期に産婦人科学会誌に報告されています。そのpdfファイルは産婦人科学会誌のwebページで該当する巻、号の日産婦誌を検索し、表示された記事一覧から「婦人科腫瘍委員会報告」の項をクリックして閲覧することができます。
1991年度の治療内容のデータ - - -日産婦誌47巻2号
1994年度の治療内容のデータ - - -日産婦誌52巻4号
2003年度の治療内容のデータ - - -日産婦誌57巻11号
2008年度の治療内容のデータ - - -日産婦誌62巻3号
2013年度の治療内容のデータ - - -日産婦誌67巻8号
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