年明け早々、1月13日に台湾総統選が行われる。

これの結果次第で我々日本にとっての行く末も大きく変わる。


独立派である現政権与党の民主進歩党は現在支持率34%でトップに立っている。しかし先日、支持率2位3位の国民党、台湾民衆党が統一候補を立てると発表した。統一候補が立つと支持率合計が民主進歩党を抜き、総統選に勝つ可能性が非常に高くなる。この2党はゴリゴリの親中政党で、中国共産党の台湾への浸透工作を全力でサポートしてきた。この野党連合が勝てば台湾はほどなく香港と同様に中国の1自治区になるだろう。そうなると次に中国が狙うのは沖縄だ。


沖縄は昨年の県知事選で玉城デニーが勝ち、玉城は沖縄独立と米軍基地排除のために意欲的に活動を続けている。中国共産党は沖縄独立後の中国への併合を視野に入れ長年かけて工作活動を続けてきた。沖縄のローカル新聞は全て左翼浸透工作が完了しており中国共産党の機関紙のようになって玉城デニーを応援し続けてきた。沖縄の老人達はデニーと中国との繋がりや沖縄独立を目指していることはろくに認知してないまま、テレビや新聞で目にする知名度によってデニーに投票した。

また、公安監視対象認定されている極左テロ組織中核派が立ち上げた政党れいわ新撰組や、北朝鮮系政党である社民党、共産主義勢力浸透済み労働組合らが支持母体の立憲民主党が玉城デニーの選挙応援に駆けつけた。ちなみに、玉城デニー勝利の影のMVPは大阪維新の会だった。維新は期限ギリギリで玉城デニーの対抗馬をこっそり(維新の名は出さずに)と送り込み保守層の票の分断を行った。結果、自民公明推薦の対抗馬への票が割れ玉城デニーが勝利した。

維新の会は保守の皮を被っているが中国共産党と一緒になって利権作りに勤しんでいる政党であることを見逃してはいけない。橋下徹は中国に何度も渡航し始めて後、突然沖縄独立論の本を出版し、上海電力を日本に引き込むことで電力インフラを売り渡し、大阪港湾局の一帯一路への参入まで行った(大阪市は一帯一路参入ではないと否定しているが中国側で日本の一帯一路加入と大々的に報道している)。沖縄知事選で突然候補者を送り込んだのは、玉城デニーの当選が危ういと見た中国共産党の要請で維新が動いたからだと見られている。


沖縄県知事選でこのように露骨な工作活動が行われ成果を上げているのを見ても、習近平の肝入りである台湾総統選への中共の工作は非常に熾烈なものだと予想される。

現在支持率4位のホンハイ社長テリーゴウは中国共産党に逆らって立候補してると報道されている。(ホンハイは中国に工場を置く台湾企業でiPhone製品は全てここが組み立てしている超巨大企業)中国共産党の支持に従わないため中国の工場に嫌がらせの立ち入り検査が続いているなどと報道されているが、私はこれを疑っている。これは沖縄で維新が送り込んだデニー対立候補と同じ役割、つまり保守層票分断のために中国共産党の指示によって立候補したのではないかと思っている。実際テリーゴウが本当に中共に逆らっているならばとっくの昔にホンハイは閉鎖させられているはずだ。単なる立ち入り検査くらいで終わるはずがない。工作浸透済みの台湾マスコミがテリーゴウを中共に対抗する英雄として報道しているのは独立派の票を分断するための工作である可能性がある。中国共産党を甘く見てはいけない。


ちなみについ先日、習近平がバイデンや岸田と会談し、表面上は友好的に終わった。マスコミや評論家はそれほど中国経済がヤバく、さすがの習近平も経済制裁緩和のために融和的に動かざるをえないのだと報道している。だが私はそうは思っていない。以前ブログでも書いたが習近平は中国の経済のことなんて微塵も意に介してない。むしろ彼の理想とする毛沢東時代の中国、人民は貧しく従順で学力を得ることができるのは一部のエリートのみ、そして個人崇拝の絶対的独裁権力という社会。それに向けて経済は確信犯的に破壊し続けているし、経済が悪くなるのは寧ろ思惑通り。困窮した人民が暴発するのを防ぐため、ソフトランディングで貧困化していく事に苦心してるくらいのものだ。今回習近平が薄気味悪い作り笑いでわざわざ出向いて会談を行い、数々の批判や要求に反論もせずに黙って聞いていたその目的はズバリ、台湾総統選のためだ。アメリカとの友好関係をアピールし、独立派の警戒心を少しでも緩め、中国共産党との友好関係を訴える野党連合に少しでも票が流れるための間接的且つ効果的な選挙応援が最大の目的だ。


独立派が選挙に勝てば、台湾有事が近い将来起きる事が確定する。逆に親中派が勝てば目先の危機は無くなるかのように感じるが実際はそんなに甘くない。台湾はほどなく中国共産党の支配下になり、シーレーンや国防的にも日本は喉元にカミソリを突きつけられた状態になる。アメリカにとってもアメリカ本土へ直接攻撃可能な中国原子力潜水艦が自由自在に太平洋に入れる状態となる。軍事的脅威が直接アメリカ本土に及ぶことをアメリカが容認するはずはなく、軍事的対立やむなしとなる。どちらにしても日本は巻き込まれる。習近平が何らかの理由でいきなり亡くなるとか失脚しない限り。


既に2ヶ月先に迫った台湾総統選。注視していこう。

 

以下、アメリカの作家エドワード・グリフィンが1968年に行った講話を参考にして、アメリカへ共産主義勢力が浸透していった際の戦略と現状のアメリカと日本の様子を簡単に紹介する。

政府が人民の全てを100%掌握しコントロールすることを全体主義と呼ぶ。共産主義・ファシズム・グローバリズムはそれぞれの外見や主張する主義主張は違っているし、表面上は敵対関係にあるように見えるが本質的には同じ全体主義であると言える。そのどれもが人々の道徳や伝統的価値観を奪われて統一された新たな価値観に変え、完全支配政府によって思想統一された集団主義を実現することを最終的な目的としている。全体主義によって極一部の支配的ポジションにいる者達に権力や富が集中され、大多数の人々は思想的行動的な自由を失い、生存を脅かされ、イデオロギーの論議さえ許されない社会になる。この分類の中にグローバリズムを入れることに違和感の有る人がいるかもしれないが、例えば共産主義は「全ての人民が平等な社会」という理想を掲げており、実際にそれを実現する手段として全体主義による思想統一と人民支配、それに伴う指導者層への権力集中や反対者の粛清が必須であることは宣伝されていない。グローバリズムとは一般的には単純な多国籍企業化を表している言葉として捉えられるが、実際は全世界の経済市場としての統一化を理念として掲げた思想であり、それを成し遂げるためには各国各地域の伝統的な価値観・宗教・文化・生活様式などの差異の標準化、新しいものへの統一化を必須としており、最終的な到達点は世界政府による全体主義に帰結する思想を内包した言葉であることを認識しておかなければならない。

私達が民主主義・自由主義による人類の発展や進歩を望むとしたら、マルクスの思想的教義はとりあえず置いておき、レーニンによる共産主義勢力の組織戦略・戦術をまずは理解しておかなければならない。これが共産主義だけでなく全体主義的思想の勢力の共通した戦略となっているからだ。

ジョセフ・コーンフェダーは1919年にアメリカ共産党の創立メンバーとなり、モスクワで教育・訓練を受けた後にアメリカに戻り工作活動を行った。しかし彼は共産主義の矛盾や道徳に反した戦術に疑問を持つようになって離党し、後に熱心な反共産主義者になった。1955年にサンフランシスコの講演で彼は、「共産党の特徴はその理論よりも組織化されていることにある。国内で活動する組織である労働組合・農業団体・マスコミ・学術教員組織・政治クラブ・政府機関などの総和が国家権力を形作るものとし、そこに侵入浸透し、組織内部でグループを編成することで征服していき最終的には国家そのものを征服するという手段を主としている。」と語った。共産主義勢力の戦略を長年学んだ彼が話したこの戦略は、今もなお、世界各国、日本国内でも行われている共産主義勢力の基礎的な戦略である。

ベンジャミン・ギトローはアメリカ共産党の書記長でありモスクワの共産主義国際執行委員会のメンバーでもあり、世界の共産主義勢力の中でも非常に力を持つ人物だったが、彼もまた後に共産党を抜けて反共産主義運動の一員となった。彼は著書の中で共産党時代の様々な体験を綴っている。かつてニューヨークで共産党が行った夜間の街頭演説で、共産党員と反対派の間で喧嘩が起きた。これは過去にも度々起こっていたことで、事前に準備していた共産党の屈強なチンピラ部隊が反対派の市民を叩きのめしたのであるが、その後彼らは事前に立てていた恐ろしい計画を実行した。周囲の建物の屋上に隠れていた共産党員が地上に集められたチンピラ部隊の頭めがけて石畳用の重い花崗岩を投下したのである。これによりチンピラ部隊の内2名が頭蓋骨骨折により亡くなった。もちろんこれらは共産党員にも真相を知らされることはなく反共産主義者によってなされたと宣伝された。共産党は自らの計画的殺人によって「殉教者」を作って反共産主義者に対する憎悪を高め、世間一般に対しても共産主義に反対する勢力の非人間性を演出したのであった。このような共産主義者による計画的な殺人(身内に対しても外敵に対しても)は常に繰り返されており、最終的な政治的目的のためにはどのような非人道的行為も許されると考えられている。

1928年の時点で共産主義者達はアメリカ国民の間における人種的違いは社会構造における最も脆弱な急所だと明言し、ここを利用したアメリカ国民の分断化と敵対構造を作るための工作活動を開始した。人種差別反対のスローガンを掲げた運動を知って共産党に入党した黒人の青年マニング・ジョンソンはやがてアメリカ共産党の全国黒人委員会の委員に任命されるまでになった。しかしその後、共産主義者は実際は黒人の状況を改善することに全く興味が無く、むしろその状況を利用して社会的混乱を作り出そうとしていることに気づき脱党した。彼は自著の中で「アメリカを破壊するための血生臭い革命における捨て駒として黒人を利用しているだけだ。それはモスクワの指導によって作られた“共産主義者の指令書”によって計画されており、人種間の争いがアメリカを分裂させ、混乱の中でモラルの崩壊とパニックが起こし、その混乱の中で共産党の指導の元で革命委員会を組織して民衆の蜂起を指揮、武装した民衆は主要官庁を占拠し大統領や閣僚を拘束し旧体制の廃止と新政府の樹立を宣言する。」と語った。共産主義勢力は、治安を悪化させて社会基盤を不安定化させ混乱を作り革命に繋げるという常套的な戦略があり、それに基づいて戦術を作ることを認識しなければいけない。

これらの事例は現在のアメリカの混乱は最近突発的に始まっているのではなく、かなり以前からの共産主義勢力による工作活動の浸透によるものであることを示している。現在のアメリカでは共産主義勢力に属する大半の政治家は民主党に属している(一部共和党にもいるし、民主党にも反共産主義者も一部いるので誤解ないよう)。もちろんゴリゴリの共産主義者である極左に属することを隠さない者もいるが、共産主義者であることを直接的には表明せず人道主義者・リベラリストの仮面を被っている者もいるし、イデオロギー的に共産主義には属していないもののその戦略上の利益を享受する者やグローバリスト、イデオロギー的には賛同してないが人道主義者として戦略に同調している無自覚な善意者も含まれる。

 

民主党のバラク・オバマは大統領時代にそれまでの慣習を破りFBIやCIAの主要役職を自分の子分に入れ替え、民主党の利益のために動く集団に変えた。民主党とウォール街は中国などと結託した目先の富を求める層が大半を占めるようになり、手っ取り早く儲かるために中国系企業の上場だけは審査をしなくて済むように法律を変えることまで行い、主要メディアへの浸透も完了して共産主義勢力の戦略に乗っかった巨大な利権集団を作り上げることに成功した。

 

トランプは、オバマが構築したこれらの結びつきによる政治的支配力を「ディープステート」と呼び影響力の排除を試みたが、既に浸透工作が終わっている主要メディアや大手SNSはこれらの情報を「陰謀論」と呼び情報規制を行った。また、熱狂的トランプ支持者の一部が「光の戦士トランプがディープステートを倒す」といった類のファンタジックな妄想と混ぜこぜにして情報発信したものを殊更大きく取り扱い、「ディープステートなどという概念は陰謀論から生まれた幻想だ」と宣伝することに利用した。因みに日本の大手マスコミもほとんどが民主党系アメリカメディアの影響下にあること、日本国内の共産主義勢力が浸透していること、中国共産党の浸透と脅迫による工作によって、アメリカ国内の事情に関しては民主党系アメリカメディアの報道内容だけをそのまま垂れ流しており、アメリカの実情の報道はなされていない。

例えば、アメリカで頻繁に起こる銃乱射事件に関しての報道は「だから銃規制が必要である」という主張のみが報道されている。これは民主党系主要メディアによる論調そのままであるし、日本人が聞くとそれは非常に理に叶った意見としか思えない。しかし実際はそんな単純な問題ではない。アメリカはその国家設立の経緯によって、建国の精神として「政府は絶対的なものではなく、政府が国民に対して弾圧を行った際には、国民は武装蜂起して政府を倒す権利が有る」という、民主主義・自由主義の根本となる非常に重要な国民の権利(義務的なニュアンスもある)として銃火器の所持が認められているのである。しかしこれは共産主義者にとっては非常に邪魔で憎むべき「伝統的文化」であり「民主主義的思想の具現化」であり「一神教であるキリスト教的教義の下では政府も国民も同等の存在であるという思想」であり、何よりも、自分達に抵抗する力を国民が持つことに対する強い拒絶がある。だから民主党系主要メディアは銃乱射事件が起きる度にこれを銃規制実現のためのプロパガンダに利用するし、保守系の人々はそのような意図を知っているから強くこれに反発する。そして残念ながら日本でこのようなアメリカ社会の実情が両方の視点から報道されることはない。

共産主義勢力・グローバリズム勢力と強く結びついた民主党はアメリカを破壊する政策を進めている。黒人青年の死をきっかけに大きく広がり一般的に認知されることになったBLM(ブラック・ライブス・マター)運動は、日本のマスコミではまるで民主的な反人種差別運動かのように報道されている。しかし実態は、共産革命を標榜するテロ破壊活動の実行部隊でしかない。1977年、ウェザーアンダーグラウンドという共産テロ組織がFBIによって解散させられた。彼らの残党が立ち上げた組織がBLMで、BLMのリーダーは「私たちはイデオロギー的な枠組みを確立し、訓練されたマルクス主義者です。私達はイデオロギー的な理論に極めて精通しており本当の目的は、多くの黒人が利用できる社会運動を構築することです。」と公言し、更に環境活動・不法移民受け入れ促進もこれらの社会不安定化のための活動手段であることも名言している。彼らは民主党の影響の強い州の都市部を中心に暴動や破壊活動を行った。その理由はそれらの地域の警察組織はBLMメンバーを逮捕しないように民主党政治家から指示されていたからだ。また民主党系マスコミはBLMの破壊活動を「言論の自由である」と擁護した。因みに共産主義者でありグローバリストであることでも有名な大富豪であるジョージ・ソロスはBLMに活動資金を出しているメインスポンサーの一人である。

民主党バイデンは大統領になって真っ先にトランプ時代に建設中だった国境の壁を撤去し、続々と押し寄せてくる不法移民の入国を増加させるように努め、それから2022年までの約2年間で500万人以上の不法移民をそのままアメリカ社会に解き放った。なぜこのような事をするのか、共産主義者の戦略・戦術を知れば容易に理解できる。不法移民の増加は治安を悪化させる最も有効な手段の一つであるからだ。LGBTや環境問題に関する活動も同様に共産主義活動家が利用し社会問題として拡大させてきた。特にアメリカやヨーロッパ諸国でLGBTに関しての運動が実を結び、女子トイレや更衣室に男が自由に入れたり、女子スポーツに男が混ざったりなどして既存の社会秩序を破壊して混乱を拡大させていっている。

では日本の共産主義勢力の活動はどうか。日本の場合は人種的な分断が難しかったため長く時間をかけて在日朝鮮人差別の切り取りと拡大宣伝による分断、沖縄の独立運動、アイヌ差別の捏造と拡大宣伝による分断工作を行ってきた。最近は欧米でのLGBTによる社会混乱の成功例を見てこれを急速に取り入れようとしている。島国のため不法入国者の増加推進は遅々として進んでないが、不法滞在外国人の強制送還反対活動などをして日本の治安悪化のために地道な活動をしている。

日本だけの特徴的な分断工作としてとりあえず3点挙げるとしたら、まずは反戦平和運動という名の日本弱体化運動。共産主義勢力は「敗戦革命」という言葉を使い、外国勢力の侵略による日本の敗戦とその混乱に乗じた共産革命を視野に入れて反戦運動・軍備増強反対・憲法改正反対などの活動を続けており、その意図を認識しておらず思考停止で、無条件でそれに同調する国民も多い。これは他国には無い特徴的なものである。
2つめは選択的夫婦別姓・同性婚問題だ。実際に困っている人はかなり少数であるし少しの知識があれば簡単に対応可能な事象であるのだが、その少ない問題を切り出して拡大宣伝・報道することで強引に社会問題であるかのようすることに成功した。左翼マスコミがこれに全面協力していることも大きい。中国の明確な侵略行為が激化している中、自民党総裁選を扱った日本マスコミが候補者達になげかけた質問は「日本の防衛に関して」ではなく「夫婦別姓に賛成か反対か」であった。「選択的」なんだからやりたい人だけやればいい、個人で判断することなので他人が拒絶する必要はないという人は多い。しかしこの運動は日本の最小社会単位である家族制度とそれの元になっている戸籍制度の破壊を最終目標としたものだ。ダムに蟻の一穴を開け全体を崩壊させるための最初の一撃として、レーニン的戦略に忠実に基づいて始められた社会運動であるという背景を知らなければいけない。

そして3つめは女系天皇問題だ。日本人のアイデンティティは天皇にあると考える共産主義勢力はまずは天皇制の有名無実化からの廃止を目的にし、女系天皇制を主張している。従来の男系天皇による血統主義を破壊するための蟻の一穴である。

私達日本人は、共産主義勢力が行う活動は、平和を愛し人権を守りたい善意の人々のその善意を利用した戦略・戦術であることを認識しなければいけない。共産主義工作のお題目として利用される言葉は「平和」や「人権」であることに注意し、更に、日本のマスコミの報道が必ずしも真実を報道しているとは限らず、なんらかの意図を持って情報が選択的に、時には捻じ曲げられて報道されている可能性さえもあることを知り、能動的にテレビ以外の多角的な情報を得て、欧米諸国の実情を多面的に知った上で自国の実情を考えることが必要である。
 

 

中国において、習近平の独裁体制が完全に確立した。

先日行われた共産党大会において、習近平の政治的抵抗勢力が全て排除され、手下のみで構成された人事が発表された。

これで習近平の永年皇帝としての地位が完成してしまった。

 

習近平は総書記となった2012年からの任期1期目の5年間で、「腐敗撲滅運動」の名目の元、それまで中国共産党を支配してきた江沢民派や胡錦涛の共青団を中心に、政敵を次々と摘発・拘束していった。これによって幹部から末端に至るまで実に25万人以上が粛清された。習近平の派閥の者達ももちろん軒並み汚職や収賄に手を染めているわけだがそれらは一切摘発されなかった。この腐敗撲滅運動は、習近平の敵対勢力や、どこの派閥にも属していない者達に対しても、習近平に逆らうと粛清されるという明確なメッセージとなり、共産党内に習近平への絶対服従の空気を作った。

 

反対ができない状況にしてから習近平が行ったのは自らの権威・権力の強化だ。党規約を改定し自らを毛沢東らと並ぶ英雄的な指導者として規定し、人民に対して習近平思想の教育をすることを義務づけた。また共産党内に独裁者を作らないようにするために鄧小平が作った総書記職の最長2期10年という任期規定を変え、3期目4期目の続投も可能にした。

 

権力強化が終わった後に続いて手をつけたのは政敵の財源の破壊。「腐敗撲滅運動」によって既に対抗する意思を失っていた政敵達だったが、意思だけの屈服ではなく、身動きできないように手足をへし折っておこうというわけだ。香港の一国二制度を潰し中国共産党の完全支配にしたのも江沢民派が握っていた金融業界を奪うという目的が最初にあったと言われている。

 

そして次に中国経済をけん引してきたIT業界や不動産業界を潰しにかかった。江沢民世代の幹部やその子供や孫世代らと癒着することで急成長を遂げていたITや不動産業界であったが、大手IT企業の株式上場を止めたり規制で縛りあげていったり経営者を拘束するなどして業界の成長を止め、共産党の管理による国営化に向けて動き始めた。

また、不動産業者に対する銀行からの資金融資に規制をかけ、多額の借金を伴う拡大路線によって急成長してきた全ての大手デベロッパーへの資金の流れを止め、倒産寸前の状態にした。どうして自国が経済的に困るようなことをするのかと思うかもしれないが、習近平にとって自国の経済なんて二の次三の次、それよりも政敵を潰すことが最も重要だということである。

かつて毛沢東は大躍進政策による大量餓死者を出し経済や社会の混乱を起こしたことで一度主席の座を奪われ、権力奪還のために文化大革命を始めて政敵を排除することで復権を果たしたが、習近平は政敵が動く前にその力を全て削いでいくことで自らの地位を固めていった。

 

ところで、これらの動きの具体的施策、思想の論理構築などは習近平が自ら行ったものではない。習近平にはそのような能力は無い。これらを行ってきたのは王滬寧という人物である。

彼は1988年アイオワ大学に留学した際、アメリカ社会の乱れや堕落を目の当たりにすることで、このような社会は将来必ず崩壊すると考えた。中国をアメリカのような社会にさせないために、思想・経済・文化などを全て党がコントロールする方式を強化しなければいけないという思いを強めて中国に戻った。その後彼は中国共産党が世界の自由主義に対抗するための基礎的な価値観や思想の中心となった。江沢民・胡錦涛・習近平の、お互いに嫌い合い対立しているリーダー達の全ての側近としてその時代の重要な政策を立案してきた。このような人物は中国では非常に珍しい。中国は歴史的に、例えば戦功を挙げた英雄が出た場合、その英雄の上官などが何らかの理由をつけて真っ先にその英雄を粛清するようなことがよくあった。自らの保身のため、優秀な部下が自分を追い落とす前に潰しておくというような考え方だ。昨今の日本企業なんかでも有る話ではあるが、特に中国ではそういった考え方が強い。そういった社会、特に派閥間の争いが激しい中国においてこのように生き残っていく人はかなり稀だ。王滬寧という人物の立ち回りの凄さがよく分かる部分と言えるかもしれない。

中国共産党が今まで掲げてきたスローガン、「多角的発展観」「和階社会」「反腐敗」「一帯一路」「戦狼外交」「共同裕福」「習近平思想」などの政策は全て彼が立案し理論構築を行った。そしてそれらの中国の自由経済や腐敗した文化を終わらせる時が来たと習近平を説得することに成功した。習近平にとって王滬寧の考え方である共産主義社会の実現は、江沢民派などの政敵達の排除もできるし、毛沢東の時代に中国を戻し、自らも毛沢東を超える存在として歴史に名を残したいという彼の願望にも合致する。

 

習近平の悲願は毛沢東も成しえなかった台湾侵攻による中国統一だ。彼はこれを成し遂げることで自分が毛沢東を超えた存在になれると考えている。習近平政権は成立直後から一貫して、最も重要な目標は台湾統一であると掲げてきた。また、2期10年制の規定を変える際、「台湾統一の準備には10年では足りない。私は必ず台湾を統一する。」と突きつけ規定改定に反対する長老ら重鎮達の意見を封じた。最も重要なのは台湾統一なのだから、その目的遂行のための行動に反対するのは、反共産党、反国家、人民の敵であるという理屈だ。

アメリカの工作機関は当時もちろんこういった情報をつかんでおり、習近平は3期目の期間中に必ず台湾侵攻に動くと考え「中国は2026年までに台湾に侵攻するだろう」と発表することで中国を牽制した。

 

しかし今回の共産党大会で発表された人事により、習近平の暴走を止める人が完全にいなくなった。これは台湾侵攻を阻害する国内の要因がなくなったことになる。暗殺や事故などにより習近平が突然死なない限り、必ず台湾侵攻が始まる。そして何よりも今月、共産党大会が始まる直前にアメリカは中国のウイグル人虐殺迫害への制裁として、半導体の完全な輸出禁止規制を発表した。中国のサイレントインベージョンによって上層部が軒並み取り込まれている日本のマスコミは中国に関する報道を抑制しており、中国に不利なニュースをあまり大きく扱わないため日本国内ではあまり話題になっていないが、中国企業や中国国内の外資企業はこれによって半導体自体の生産はもちろん、半導体を使った製品が生産できないことになった。これは今までの規制とはわけが違う。今後まともな工業製品が生産不能になるということは、経済的なダメージが計り知れないだけではなく、先進的な兵器の生産が一切できなくなるというのが大きい。早い段階で台湾に侵攻しなければ、今後中国の兵器は使い物にならなくなってしまう。アメリカが敢えて中国を追い詰め、習近平がすぐにでも動かなくてはならない状態にしたとも言える。

 

侵攻する場合、いきなりミサイルを撃ち込んだり、ドローンや攻撃機でいきなり侵攻を開始するような事態は想定しにくい。なんらかの偶発的な事態やウクライナ情勢によってはそのようなことももちろん可能性はあるけど、なによりも中国軍には揚陸艦が不足しているため電撃作戦による台北占拠といった戦術はとりにくいためだ。ではどのような展開が想定されるか考えてみた。

 

現実的に最も可能性が高いのは、まずは台湾を取り囲む形での海上封鎖と思う。船や航空機が台湾へ入れないようにして兵糧攻めのような状態にし、核攻撃も言及した強い脅しで台湾へ降伏を迫る。実際に発砲や攻撃は行っていないギリギリ軍事的行動とは言いにくい難しい状態である上、民間の漁船と偽った船舶も多数使うため、台湾やアメリカは力でこれを排除しにくい状態。無理に排除しようとすれば軍事的衝突となり本格的な戦争が始まってしまう。そしてこの動きに合わせて、台湾に長年かけて浸透させてきた工作員達が一斉に反戦運動を開始する。人命尊重と無抵抗での降伏を主張しデモ活動を行い、マスコミやSNSを駆使して台湾内の世論を揺さぶるだろう。日本のリベラル系・左翼系活動家や親中インフルエンサーもこれに連動して運動を開始すると思う。マスコミも連日そちら側の運動や意見ばかりを取り上げ日本の世論は寧ろ降伏論の方に傾く可能性も高い。しかし台湾人民の大半は香港が蹂躙された経緯や民主活動家の行く末、今の暗黒状態をずっと明日の我が身として見てきたため、世論が降伏に傾く可能性は低い。日本に蔓延する平和ボケによるリベラル思考や、世界史的にみて占領された側にどのような悲劇が待っているかが想像できないという感覚は国際的にはかなり異質なものだと認識しなければならない。アメリカの占領政策が成功したため日本人にそういう悲劇的経験が無いためだ。

 

そしてこの混乱は、台湾が降伏するか、中国が諦めて撤退するか、降伏勧告への回答に期日をつけるか、しびれを切らして攻撃を開始するまで続く。台湾は降伏しないため、いつかは必ず全面的な戦闘になる。戦争が開始されたら、中国は容赦なく台湾、続いて日本各地にミサイルを撃ち込む。こう言うと「なんで日本に?」という人もいるだろう。日本人の感覚ではそうだけど、中国人の感覚はそうではない。日本は最初から敵国として想定されている。台湾を取りにいくということは同時に日本にある米軍基地・自衛隊基地は全て攻撃対象であるし、尖閣諸島はもちろん、状況次第では沖縄も取りに来る。何よりも東京にだけミサイルを撃ち込めば日本の政治・経済・情報などの全てが簡単に壊滅状態にできる。そしてそうなれば同時に北朝鮮、下手したらイランも動き世界大戦に発展する可能性さえもあるし、既に疲弊しきっているロシアでさえ、この時の情勢によっては北海道へ侵攻を開始する可能性が無いとは言えない。ちなみにこの場合は虐げられているアイヌ民族の救出解放という名目を掲げてくるだろう。ロシアはそのための準備をしてきたし、ロシアと中国の工作によってアイヌが土地を奪われ虐げられてきたかのような宣伝活動が今まで行われてきた。昨年北海道のアイヌ活動家からの手紙がプーチンの元に届いたと発表があった。内容は「私達アイヌは日本人から酷い扱いを受けている。助けに来てください」というようなもの。既にロシアにとっての口実作りは完了しているのだ。

 

平和ぼけの日本人には想像がつかないかもしれないが、台湾有事の際は必ず日本も巻き込まれる。それも直接的に。私達は備えなければいけない。最悪の状況を想定してそれに備え、最終的に「何もなかったね」だったらいいではないか。話し合いでなんとかしよう、対抗策を練ることで相手を刺激してしまうから止めておこうといったお花畑なことで思考停止せず、まずは最悪な状況で何ができるかを考え準備をしていかなければいけない。それも早急に。