最近話題の「ブラック企業」問題。


これ自体、いろいろ問題はあるので、また改めて考えを整理していきたいとは思いますが、その一環として、

「経営者が労働法を知らない」=「労働法教育をすべし」という議論がたまにあります。


たとえば、濱口桂一郎『日本の雇用終了』(2011年)45頁などです。


たしかに、経営者が労働法を知らないで違法行為をしているということはあります。

私も、社会人向けのゼミや講義を過去にやったことがありますが、その受講生の中には経営者の方もいますから、そういった方は労働法を学ぼうと、若輩者のところに金と労力をかけてきてくださっているわけですから、教育をすることに、一定のニーズは確実にあります。

そして一定の効果はあるでしょう。


ですから、私もそのこと自体は基本的には賛成です。


++++++++++++++++++++++++


ただ、論者も分かっているとは思いますが、それで万事解決するとはとうてい思えません。


おそらく上記のような、労働法を学ぼうという姿勢を持つ経営者は、その本意がどうであれ、まだよいのですが、日本で問題となっているブラック企業(と言われる会社)の経営者は、


「労働法なんか守ってたら、会社なんか経営できないだろ?」

「うるさいこと言うなら、辞めて出て行けよ」


的な発想が多いのではないでしょうか。


そうすると、経営者に教育したり、あるいは企業内での労働者への労働法教育を義務づけても、

恐らく本当の問題企業ほど、形骸化してしまうのではないかと…。

そして労働者にも、つまらない研修に拘束されて仕事がデスクにつみあがっているという負のスパイラル…


そしてさらなる問題は、上記のような経営者の発想に、

「たしかにそりゃそうなんだよな…」「労働法とかうるさく言うのって、サヨクだよな…」

的な引け目を、労働者も無意識のうちに感じて(感じさせられて)しまっているのではないかと…。


+++++++++++++++++


上記の濱口先生の著作は、中小企業ほど労働法知識が欠如していることを指摘されています。

これは恐らくそうなのでしょうが、「ほんとは守らなきゃいけないのかもしれんけど、守ってられるか!」的な

発想の方が、本当は強いのではないかと…。


だから「教育などムダ」というつもりはありませんが。


本質部分は、引け目を、労働者も無意識のうちに感じて(感じさせられて)しまっているところだと思います。恐らく、濱口先生も、そこはそう思っておられるのではないかと。


このようなところに、実はブラック企業の本質的な問題性があるのではないかと思っていますが、それについてはまたいずれ書こうと思っているので、今日はこのくらいにしておきます。












AD