さて、今日はフラメンコとジプシーの話題です。
私はジプシーが大好きで、彼らから、
ものすごく特別なエネルギーをもらいます。
「よい方に出会ったわ~」という素晴らしい出会いの枠を超えていて、
そのエネルギーは、脳天から丹田に、稲妻が走るように、
私の体を貫くのです。
一度このジプシー・エネルギーを受けてしまうと、
もうジプシーなしでは生きられなくなる。
ジプシーのない人生が、ありえなくなってしまいます。
特にジプシーに親友がいるわけでも、恋人がいるわけでもないのに、
ただ、街で袖触れ合うだけ、笑顔を交わすだけな人々なんですが、
それだけでも彼らに、ここにいてくれてありがとう、と思うのです。
例えば、
トレドの街角で、馴染みのジプシー母&ちびっこ連れに合うとします。
ちょうど、スペインのテレビで「ジプシーの格言」(ジプシーの生活紹介番組)をやっていた頃だったので、
「『ジプシーの格言』大好き!
あなたも家族の集まりではあんな風に踊るの?」
と聞くと、
「もちろんよ!」と言って
フラメンコの踊りと歌(プロ並み!)をその場で披露してくれちゃったりするのです。
ある日、
近所でよく会うお年寄りのジプシーをお見かけしないと心配していた頃、
ちょうど、お孫さん達に会ったので、
「おばあちゃん、どうしてる?」と聞いたら、
「もう死んじゃった」という。
「何歳だったの?」と聞くと
「わかんない。おっきかったの。ものすごくおっきかったの」
と教えてくれました。
なんだか、わかるわー。
そっかあ、おばあちゃん、ものすごくおおきかったんだー。
スペインの人たちの中には、
ジプシーに気をつけろという人もいるんですけど、
彼らだって、ジプシーを、心の底では尊敬しているんです。
スペイン人が大事にする「ピカロ」の精神を
堂々とスマートに誰に臆することなく行うジプシーに、
ものすごく敬意を払っているんです。
軽蔑と敬意は、紙一重。
スペインにいると、
「日本人はなんでフラメンコがそんなに好きなの?」と
よく聞かれます。
日本人のフラメンコ好きは、スペイン中で有名な話。
フラメンコの素晴らしい踊り手が、日本にたくさにいることも有名。
フラメンコの素晴らしい踊り手達が、スペインから日本に行って
公演することも頻繁。
私が思うに、日本人とジプシーは、極めて精神が似ているんです。。。
一つの本能を包む球体があるとして、
太陽が当たっている部分がジプシー、影になっているところが日本人。
ジプシーの下でフラメンコ・ギター修行をしていた
スペイン人のミュージシャンが、私に教えてくれました。
「ジプシーはものすごく閉鎖的。彼らの中に入るのは難しい。。。」
彼が説明してくれる世界は、
日本の相撲や歌舞伎、伝統文化、会社、体育系部活、昔の夫婦関係、
私がよく聞いて知る日本の世界にそっくりでした。
だから、日本人がスペインに来てジプシー達と関わると、
本能的に、心が、彼らの感覚によりそい、
ジプシーの伝える精神に、
ぴったりと呼吸を合わせることができるのかもしれません。
ピッタリくる上、ジプシー並みにはまだ太陽を浴びていない自分の心が、
地球が自転して太陽に近づくように、
どんどん回転してジプシーに近づいていく。
ジプシーと自分の心は同じだと、本能がわかっているから、
覚えが早いんではないでしょうか?
私はパリに住んでいたときに、
2年間、ジプシーご夫妻からフラメンコを習いました。
ガイジンとはとても思えなかった。
あの独特の波長……
人を羨み、愛し、突き放し、冷たくし、
それでも抱きしめ、礼儀を教え、厳しくし、
生徒達を「我が子」と呼ぶブランカ。
ブランカに尻を引かれるように控えめな、
しかし凛とした眼差しを崩さない、
そして小指の爪を長くしている、夫のアドリアン。
フランス人やスペイン人も踊りが上手な人がたくさんいて、
いろいろ教えてもらうんですけど、
ジプシーが与えてくれるインスピレーションは、
以心伝心、ア・ウンの呼吸の枠に近い特別なものでした。
もうわたしの生活にはなくてはならず、
聴かない日が続くと禁断症状が出てしまうのが、
フラメンコのギタリスト・トマティートです。
↓是非、聞いてみてください!