批判的頭脳

建設的批判を標榜し、以って批判的建設と為す。
創造的破壊を希求し、而して破壊的創造を遂げる。


これまで書いた記事のまとめと紹介 2016/3/16
http://ameblo.jp/nakedcds/entry-12139425582.html


テーマ:
日本銀行がマイナス金利を導入したということで、議論の紛糾や株の乱高下を招くことになった。

その説明によると

『異次元緩和で追加した分にはこれまで通り付利+0.1%』
『法定準備と、今後のBM追加に対応した一定割合の残高に付利0%』
『それ以外(これからの追加分)に付利-0.1%』

とのことである。

また、金融機関がこれに対応してマイナス金利を避けるために日銀当座預金を引き出し、現金保有を試みることに対する対策として、急激な現金保有増加に関しては、その同額分だけ付利0%部分・付利+0.1%部分の残高割り当てを控除するとしている。つまり、現金保有に切り替えても、同額分だけマイナス金利割り当て残高が増えるので意味がなくなる。



そもそも、異次元緩和で発生した超過準備になぜ付利がついているのか疑問に思うかもしれない。
これは、黒田日銀が異次元緩和を行うにあたって、量的緩和の際に国債を事実上"没収"されてしまう金融機関に対する交換条件という側面があった。もし付利ゼロなら、あそこまで大量の国債購入に銀行は応じることが出来なかっただろう。(国債投資によるわずかばかりの利子収入さえも失われてしまうからだ)


利子を動かさない量的緩和の意味は何だったのだろうか?

その意味は非伝統的金融政策の要諦 ――異次元緩和はなぜ効くのか、そして効かないのか――で解説したように、インフレ目標と組み合わせることで、将来のインフレを期待させるというところにあった。
また、リスクの高い資産と交換したなら、その分だけポートフォリオリバランスが起きる効果も期待できると考えたのだろう。


しかし、今回、その枠組みを半ば放棄する形で、マイナス金利導入に踏み切った。
このことは、日銀審議委員からも反論が出ている。(実際、このマイナス金利導入案は、賛成5反対4の薄氷の上の決定であった)


白井委員は、「量的・質的金融緩和」の補完措置導入直後のマイナ
ス金利の導入は資産買入れの限界と誤解される惧れがあるほか、複雑な仕組みが混乱を招く惧れがあるとして……反対した」



これはまったくもって白井さゆり委員の言う通りである。
マイナス金利の導入とは、本来的には、これまでの量的質的緩和の枠組みが限界を迎えたというメッセージにしかならない。
量で訴えかけるのは不可能になり、やはり金利に頼らなければならなくなったのだ。(この意味で、変種マネタリストとしてのリフレ理論は敗れ、純正ケインズ理論が勝利したとも言えるかもしれない)
また、質的緩和は上記拙記事で解説したようにリスク資産の利子率に働きかけるものだったが、その拡充ではなくマイナス金利に踏み切ったということは、リスク資産を買い増すという(問題含みの)スキームを事実上ある程度見限ったことを意味する。(なぜリスク資産を買い増すスキームが問題含みかは、前記事にて解説した)

これは、量的緩和そのものの効果を期待したり、質的緩和の拡大を求めたりしたリフレ政策が事実上敗走し、「転進」さざるを得なくなったことを意味する。(そうでないなら、そもそもマイナス金利を導入する必要がない)


しかし、すでに述べたように、超過準備付利によって量的緩和は可能になったのであって、これがマイナス金利になると、買いオペ不調に至らないだろうか?

どうもこれは「国債もマイナス金利になる」という事態によって解決を見ることになりそうだ。国債もマイナス金利になれば、銀行にとってはマイナスの付利であっても買いオペに応じることが出来る。(詳しくはこちら 量的緩和はマイナス金利と両立するのか



日本相互証券より 10年未満の国債の取引金利がマイナスになっている)



しかし、この場合、金融機関の収益を圧迫するという問題から抜け出せていない。

日銀はこれに対し、『本日の決定のポイント』でこう答えている。

今回のマイナス金利の導入に当たっては、金融機関収益への過度の圧迫により金融仲介機能がかえって低下するようなことがないよう、3段階の「階層構造」を採用し、ある残高まではプラス金利ないしゼロ金利とすることとした。
金融機関の経営環境を好転させるためにも、1日も早くデフレから脱却し、20年間も続いている低金利環境から脱却できるようにすることが重要である。



裏を返せば、"過度な"マイナス金利の執行は事実上不可能だ。
既に欧州各国でマイナス金利が導入されているにも関わらず、それが劇的な効果を生んでいないのもこのためだ。
金融機関の業績を許容範囲に保てる程度のマイナス金利の採用では、結局動かせる金利が小さすぎるのである。
もし大きなマイナス金利を設定するなら、金融機関は預金に対してマイナス金利を課さざるを得なくなるだろう。もちろん、単純にそれを行えば取り付け騒ぎになる。(預けておいたら金が減る銀行に、預金する者などいないから)


では、より大きいマイナス金利の導入は絶対に不可能なのだろうか。

そうとも言えない。

大きいマイナス金利の導入を提唱している経済学者に、マイルズ・キンボールがいる。

その前提としてキンボールが提唱しているのは、電子マネー制度への転換である。

電子マネー制度の最小限主義的な実施において

紙の通貨やコインを中央銀行に預金することへの適切な課金(比例的な「預金手数料」)
(通常は『引き出し』に課金することで紙幣退蔵を抑制することが対策として考えられるが、キンボールは逆でもうまくいくと主張している)



どんな個人や企業またどんな政府機関が持つ、紙の通貨での支払いを拒否する権利―つまりは、紙の通貨はもはや法定通貨ではなくなるでしょう。
(確かに納税レートを電子マネー優遇にすると効きそうではある)

などを主張している。

しかしながら、電子マネー化の進んでいる各国ならいざ知らず、紙幣・硬貨決済が各国に比べて大きいであろう日本において、電子マネー制度への移行は一朝一夕に成るものではないだろう。

そもそも、そこまで"革命的"な制度変更を起こす前に、政府の追加支出というまっとうな切り口で問題を解決すべきなのではないだろうか。(しかし、キンボールには、財政出動が政治的にうまくいかないという問題がもっと深刻に見えているのかもしれない。そういう意味では、この電子マネー制度による大きなマイナス金利政策は、最終手段として常に考慮しておくべきなのかもしれない)





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