THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~

「40歳からの〇〇学 ~いつまでアラフォーと言えるのか?な日々~」から改題。
書評ブログを装いながら、日々のよしなごとを、一話完結で積み重ねていくことを目指しています。


テーマ:
なぜ、川崎モデルは成功したのか?/藤沢久美



サブタイトルは『中小企業支援にイノベーションを起こした川崎市役所』。
川崎市役所を中心に、川崎市で行われている中小企業支援について書かれています。

<目次>
プロローグ 川崎モデルについて
第1章 川崎モデルの誕生までの歩み―工都・川崎市の空洞化
第2章 成功例で見る川崎モデル―成功の鍵は「癒着ではなく密着」
第3章 川崎モデルの営業スタイル―企業の強みを見える化する方法
第4章 川崎モデルのチームづくり―大企業・銀行・大学・中小企業・役所
第5章 イノベーションを生む川崎モデル―オープン・イノベーションの実現
エピローグ 川崎市のさらなる進化


「川崎モデル」とはなんでしょうか。実は本書に登場する人それぞれが異なるモデル感を持っています。定義は異なるのです。しかし、すべてに共通することもあるそうです。

支援する人々が企業のことをよく知っているということ、そして自分のことのように企業のために何をすべきかを考え、実践する。しかもそれは、一人の担当者がリードして動くのではなく、支援担当者それぞれが創発的に動き、多くの人を支援の渦に巻き込んでいく。(p14)

具体的には次のような流れで進んでいきます。(p203の図表から)

1、元気な企業の発掘
まず、市役所の職員がうごくわけですが、アンケートやSNSのチェック、経営者との勉強会や金融機関からの紹介を通して、市内の元気な(中小)企業を発掘していきます。
2、企業の強み発見
キャラバン隊(市役所職員、コーディネーター、金融機関、大企業知財担当者など)で訪問し、経営者との面談を通して強みを発見していきます。
3、強みの見える化
市が行う各種認定制度や受賞イベントへの応募促進。そして認定・受賞後はメディアへの露出を後押しする。
4、オープン・イノベーション
大企業との知財交流、大学との共同研究、異業種企業とのコラボレーション、といった活動への支援

僕の感じ方だけかもしれませんが、多くの自治体でも3については取り組まれていると思います。みんな、なにもしていないわけではありません。

ただ、さまざまな認定制度や受賞イベントを企画して「さあ、応募してください」と待っているところが多いと感じます。そこが違いです。川崎や市役所自らが動きます。自ら発掘し、訪問し、「こんな強みがあるのだから応募してください」と促しています。

行政の職域を超えるのではないか、という批判もあり得ます。実際、このモデルを確立していく歴史の中では、市役所内部からの強い反対もあったと書かれています。しかし、それでも、危機感と強い意志を持ってやり続けた職員がいることでいまの形を作り上げてきました。そうして先頭に立って動く人がいることで、金融機関や大企業など、多くの人がその輪の中に巻き込まれていきます。

大企業と中小企業が直接、連携の話合いをする場合、中小企業側には警戒心もあるでしょうし、大企業側には下請け意識がないとは言い切れません。しかし、市が関わることで、そうした懸念も払しょくされています。もちろん、ただ関わるだけで払拭できるわけではなく、上に示したようなさまざまな取り組みがあるからこそ、大企業も中小企業も市を信用して、動くことができるのだと思います。

その結果、いままでにない製品やサービスが生まれてきています。「川崎発」のイノベーションが起きているといっても過言ではないのと思います。

本書のタイトルは『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』です。過去形を使っていいのか、という疑問はあると思います。成功とはなにを指すのか、という指摘もあり得ます。しかし、いままでにない取り組みをし、それを継続し進化させてきていることは間違いありません。川崎市のやり方が、多くの自治体や中小企業支援機関のモデルになり、川崎市もまた、いまのやり方を進化発展させていく。そうすることで、日本の中小企業支援はいま以上に有効性を増していき、日本の潜在力が一層発揮できるようになると僕は思っています。

その際に、絶対にやらなくてはならない前提はたったひとつだと思います。これさえクリアすれば、あとはそれぞれの地区にあったさまざまなやり方があると思うのです。

まず、自ら動く。
しかし、それは市役所職員などの役所の人間だけに求められることではない。中小企業支援に本気で取り組みたいと思うなら、まず自ら動き、経営者と語り合い、経営書の同志になる。そのとき初めて、支援のために自分がやるべきことが見えてくる。そして、それを実現するために必要な仲間も見えてくる。
(p224)


僕も診断士の端くれとして、このことは常に肝に銘じておきます。

  
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