片山善博前総務相の民主党政権・野田首相総括:「復興を(増税の)人質にしたのです」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

片山善博前総務相の民主党政権・野田首相総括:「復興を(増税の)人質にしたのです」

秘書です。
今朝の朝日新聞17面「政治時評2011」に、菅内閣の片山善博前総務相が民主党政権と野田首相を総括!



「この国会の争点である第3次補正予算案なんて4月にでもつくるべきだったのです。早く決めましょうと私は言い続けましたが、財務省が震災を機に増税することにこだわり、進めませんでした。復興事業はお金のあるなしで左右される代物ではない。国債を使って1日も早く補正予算を組まないといけないのに、復興のためなら国民も増税に応じるはずと、復興を人質にしたのです。」

多くの与党議員が財務省にマインドコントロールされているとしか思えなかった。メディアも同じです。・・・異様です。世の中がそれを異様だと言わないところがまた、異様だと思います。」

「赤字国債を年40数兆円出しているのに、財務省はその返済財源について口にしない。ところが、復興予算とB型肝炎の関連予算には執拗に財源をもとめる。異様です。閣議などで私がそう指摘すると、「財源なしに予算を組むのは無責任だ」と主張したのが、当時の野田財務相と与謝野経済財政相でした。財務官僚の論理を野田さんが代弁し、与謝野さんが補強し、菅首相までもがのんでしまった。」

「復興の遅れを、菅さんの6月2日の辞意表明のせいにする人がいますが、それは的外れです。真の原因は、財務省のヘンテコな論理を菅さんがとがめなかったところにある。その意味では、菅首相は判断を誤ったと言えるでしょう。」

「野田政権になって、ほとんど自民党時代に戻ってしまいました。野田さんとは菅内閣で1年間付き合いましたが、財務官僚が設定した枠を超えられませんでした。」

「いまは波乱万丈の後の癒しの時代で、安全運転がいいという雰囲気が漂います。そういう時代ではダメだということで、政権交代があったはずですが。」

「事業仕分けで凍結されたのに、野田財務相が着工を容認した埼玉県朝霞市の国家公務員住宅が現状を象徴しています。世論の反発を受け、財務省の検討会で中止も含めて判断することになったが、最終的にどうなるか。目を離したら元の木阿弥になる可能性が相当ある。」

(地方分権について)「状況証拠からすると野田内閣は「分権お休みシフト」で、あまり熱心ではない。官僚組織の要である事務の内閣官房副長官に国交省の現役次官を起用しました。・・・(抵抗の)頭目を起用するというのは、いずれも進める気がないということでしょうね。」

「ほとんど官僚が書いたとされる野田首相の所信表明演説で「新しい公共」への言及がなく、地方分権もなおざりな点に、官僚の本音がにおいます。」

「野党時代の民主党がマニフェストに掲げた政策には、官僚と一体化した自民党政権との対抗軸として、官僚組織を介さない仕組みを拡大する意味あいがあった。それが「新しい公共」であり、地域主権改革でした。本当にそういう社会を目指そうとする人もいるが、政権をとればもう必要はない、官僚と仲良くやるほうが安全でいいという人もいる。野田さんは後者の典型でしょう。」

―古い自民党に一言(新しい自民党にではなく)。

「自民党は野田政権にお株を奪われました。古女房のように思っていた官僚たちがある日、突然離れていった。人情の薄さを痛切に感じているでしょう。でも、政と官の間には適切な間合いがあるべきです。不実をなじるより、官僚とはそんなもの、冷たく薄情なものだと客観視していくほうがいいと思います。」