2009-08-06 23:16:05
(民主党)対霞が関宥和路線を感ずる
テーマ:志士の目
毎日新聞「発信箱」で与良氏が指摘する「子ども手当などの財源論も大切だが、メデイアもこうした話をもっと議論した方がいい。仕組みをチェンジ出来るかどうかは、政権交代の本質的論議だと思うからだ」は、正論であるが、もっと大事なことは「誰がスタッフを担うのか」である。
「仕組み」をチェンジするとは、官主導の政策決定システムを、政治主導の政策決定システムにチェンジすることである。しかし、スタッフが官僚OBと出向官僚ではすぐに官主導の政策決定システムに戻るだろう。
政治主導の政策決定システムという観点からみるとき、民主党は、我々が幹部公務員法案でめざしたような政治主導の幹部人事はやる気が全くないようだ。政権党になることをにらんだ対霞が関「宥和路線」への転換が着々と進んでいるようだ。だから、誰が政治主導を支えるスタッフなのかに注目せざるをえない。
民主党的政治主導の具体策は、民主党のマニフェストに明記している国家戦略局の設置と事務次官会議の廃止ということになる。
国家戦略局設置、事務次官会議廃止という仕組みをチェンジしたとして、誰が政策決定を補佐するスタッフを担うのか。その担い手は官僚OBと出向官僚なのではないか。
まず、国家戦略局の設置に関連し、今日の産経新聞「続・民主党解剖、政権前夜」②に、次のような解説記事が載っている。
「衆院解散2日後の7月23日の民主党本部。代表、鳩山代表の側近である役員室長、平野博文は最高顧問の藤井裕久から、政権獲得後の政権構想についてアドバイスを受けた。『<国家戦略局>まではいい。だが、財務省から主計局を分離し、首相直轄の予算局をつくるような機構いじりはしない方がいい。法改正に半年はかかり、その間に政権はつぶれてしまう』」
大蔵官僚OBの藤井氏が「財務省とケンカをしたら政権がつぶされる」と警告しているのである。ここは民主党政権になったらどうするつもりなのか、まさに政権運営の核心部分である。ここで民主党は宥和路線に転じようとしているのではないか。
例え民主党政権ができても、平成22年度予算編成には、内閣府設置法の改正が必要な国家戦略局は間に合わないのではないか。経済財政諮問会議は廃止するとのことだが、そうなればなおさら財務省主導で平成22年度予算を編成するのではないか。
その場合、来年の参議院選挙に勝利するため、子ども手当をはじめとするバラマキ政策を予算に盛り込もうとする民主党に対して、財政再建を重視する財政当局は、参院選後の消費税増税の確約がなければのめないというだろう。民主党と財務省は増税路線、「大きな政府」で「手打ち」をするのか。そこが政権運営の焦点になる。
また、事務次官会議を廃止したとしても、法案などについての事務方の各省協議はなくならないのだろう。さらに、閣議で各省大臣が役人の用意されたメモを読んでいたら事務次官会議廃止の意味もないだろう。閣議で閣僚が話す内容を準備できるスタッフを民主党は用意できるのか。
93年・94年の非自民連立政権の失敗を教訓として、とにかく長期政権化を図る。そのためには「脱・脱官僚」化も辞さない。そんな雰囲気を、対霞が関宥和路線の色が出てきた最近の民主党に感ずる。(8月6日記)
(参照記事)毎日新聞「発信箱」与良正男氏「仕組みを変える」
「『そんな提案をしたらウチの次官が手を挙げるぞ』といった言い方を官僚の間ではするそうだ。通常、週2回の閣議前日に各省庁の事務方トップが集まって法案や政令などを調整するために開かれる事務次官会議のことだ。
『手を挙げる』とは『反対する』の意味だ。会議は全員一致が原則で、1省庁でも反対すればおじゃん。そもそも会議には各省庁の部やら課やら(加えて一部の族議員やら業界やら)の調整を経て決定されたものしか出てこない。かくして閣議には事務次官会議で了承された案件のみがはかられ、閣僚はほとんど議論もなく、書類に署名するだけとなる。
明治以来の慣習という。実際には首相が会議の結論を覆すことはできるのだが、例は少ない。何かを改革しようと思っても1省庁1部署の利害に阻まれてなかなか前に進まない。行政が官僚主導で進む構造になっていることはわかっていただけるだろう。
その事務次官会議の廃止を民主党はマニフェストに盛り込んだ。与党議員100人以上が政府に入るという公約より、政策決定システム、いや日本の政治そのものを大きく変える可能性があるように私には思える。
当然、ここでも官僚に頼らないほどの能力が民主党の政治家にあるのか、混乱するだけではないかという反論が出てくるだろう。一方では『能力』を言いだすのは官僚の思うつぼで、仕組みを動かさない限り結局、何も変わらないという意見もあるだろう。子ども手当などの財源論も大切だが、メディアもこうした話をもっと議論した方がいい。仕組みをチェンジできるかどうかは政権交代の本質的論議だと思うからだ」
「仕組み」をチェンジするとは、官主導の政策決定システムを、政治主導の政策決定システムにチェンジすることである。しかし、スタッフが官僚OBと出向官僚ではすぐに官主導の政策決定システムに戻るだろう。
政治主導の政策決定システムという観点からみるとき、民主党は、我々が幹部公務員法案でめざしたような政治主導の幹部人事はやる気が全くないようだ。政権党になることをにらんだ対霞が関「宥和路線」への転換が着々と進んでいるようだ。だから、誰が政治主導を支えるスタッフなのかに注目せざるをえない。
民主党的政治主導の具体策は、民主党のマニフェストに明記している国家戦略局の設置と事務次官会議の廃止ということになる。
国家戦略局設置、事務次官会議廃止という仕組みをチェンジしたとして、誰が政策決定を補佐するスタッフを担うのか。その担い手は官僚OBと出向官僚なのではないか。
まず、国家戦略局の設置に関連し、今日の産経新聞「続・民主党解剖、政権前夜」②に、次のような解説記事が載っている。
「衆院解散2日後の7月23日の民主党本部。代表、鳩山代表の側近である役員室長、平野博文は最高顧問の藤井裕久から、政権獲得後の政権構想についてアドバイスを受けた。『<国家戦略局>まではいい。だが、財務省から主計局を分離し、首相直轄の予算局をつくるような機構いじりはしない方がいい。法改正に半年はかかり、その間に政権はつぶれてしまう』」
大蔵官僚OBの藤井氏が「財務省とケンカをしたら政権がつぶされる」と警告しているのである。ここは民主党政権になったらどうするつもりなのか、まさに政権運営の核心部分である。ここで民主党は宥和路線に転じようとしているのではないか。
例え民主党政権ができても、平成22年度予算編成には、内閣府設置法の改正が必要な国家戦略局は間に合わないのではないか。経済財政諮問会議は廃止するとのことだが、そうなればなおさら財務省主導で平成22年度予算を編成するのではないか。
その場合、来年の参議院選挙に勝利するため、子ども手当をはじめとするバラマキ政策を予算に盛り込もうとする民主党に対して、財政再建を重視する財政当局は、参院選後の消費税増税の確約がなければのめないというだろう。民主党と財務省は増税路線、「大きな政府」で「手打ち」をするのか。そこが政権運営の焦点になる。
また、事務次官会議を廃止したとしても、法案などについての事務方の各省協議はなくならないのだろう。さらに、閣議で各省大臣が役人の用意されたメモを読んでいたら事務次官会議廃止の意味もないだろう。閣議で閣僚が話す内容を準備できるスタッフを民主党は用意できるのか。
93年・94年の非自民連立政権の失敗を教訓として、とにかく長期政権化を図る。そのためには「脱・脱官僚」化も辞さない。そんな雰囲気を、対霞が関宥和路線の色が出てきた最近の民主党に感ずる。(8月6日記)
(参照記事)毎日新聞「発信箱」与良正男氏「仕組みを変える」
「『そんな提案をしたらウチの次官が手を挙げるぞ』といった言い方を官僚の間ではするそうだ。通常、週2回の閣議前日に各省庁の事務方トップが集まって法案や政令などを調整するために開かれる事務次官会議のことだ。
『手を挙げる』とは『反対する』の意味だ。会議は全員一致が原則で、1省庁でも反対すればおじゃん。そもそも会議には各省庁の部やら課やら(加えて一部の族議員やら業界やら)の調整を経て決定されたものしか出てこない。かくして閣議には事務次官会議で了承された案件のみがはかられ、閣僚はほとんど議論もなく、書類に署名するだけとなる。
明治以来の慣習という。実際には首相が会議の結論を覆すことはできるのだが、例は少ない。何かを改革しようと思っても1省庁1部署の利害に阻まれてなかなか前に進まない。行政が官僚主導で進む構造になっていることはわかっていただけるだろう。
その事務次官会議の廃止を民主党はマニフェストに盛り込んだ。与党議員100人以上が政府に入るという公約より、政策決定システム、いや日本の政治そのものを大きく変える可能性があるように私には思える。
当然、ここでも官僚に頼らないほどの能力が民主党の政治家にあるのか、混乱するだけではないかという反論が出てくるだろう。一方では『能力』を言いだすのは官僚の思うつぼで、仕組みを動かさない限り結局、何も変わらないという意見もあるだろう。子ども手当などの財源論も大切だが、メディアもこうした話をもっと議論した方がいい。仕組みをチェンジできるかどうかは政権交代の本質的論議だと思うからだ」

















