あヴぁんだんど 2016.05.21 @ 渋谷WOMB(Disrupt Vol.3)



セットリスト:
1. あヴぁんだんど
2. さいごのクリスマス
3. 勝手にしやがれ
4. Magical Symphonic Girl
5. Feedback Friday



渋谷WOMBはなかなかの大バコです。なんたって、天井が高い。10メートル以上あるのではないでしょうか?ステージから見えるであろう客席も二階があり、フロアからはガラスで隔たれ、「ギョーカイ人席」という感じでしたね、バブル時代か。
ステージは客席とはパイプの仕切りによって隔てられています。ステージの高さは数十センチ、間口は二間半、奥行きは一間半ていど。下手上手に畳を三角形に切ったかたちで余分があります。

SEが大きくなり、客席に期待が満ちます。
ピチカートのSE、「ヴぁー!」
メンバー登場、元めんヴぁー東雲好の命名になる「レあヴぁんだんど」たる、宇佐蔵べに、小日向夏季の二人組みである今日のあヴぁんだんど。この「レあヴぁんだんど」を見られるのはあとわずか。
べにさんは先日の下北沢ヴィレッジヴァンガードでのインストアでも着用していらした、さくらいかおりさんの手になるグリーンの地色のワンピース、髪はお下げツインテール、両側に臙脂とグリーンをメインカラーとするリボン。足元は白ソックスに黒のローファー。
夏季さんもツインテール、左右に水仙のチャーム、左にだけひまわりのチャーム。渋谷HMVでのインストアのときのイエローとグレーを主体としたやはりさくらいさん作のワンピースににグレーのカットソーのジャケット、このジャケットはアディダスbyステラ・マッカートニーのものだそうですが、先日の渋谷ではフロントボタンをはだけてラフに着ていたところ、夏季さんご自身の意向で今日はフロントボタンをすべて閉じて着用されていたということです。このジャケット、夏季さんも生地の厚さに驚嘆していらっしゃいましたが、なかなか無いくらい生地が厚く、そのうえにボタンを全部クローズにしているために周囲に漂う気品が並大抵のものではありません。おそらく着用していらした夏季さんご自身にも新鮮であったろうと思われるほど、デイリー・クローズとは異なる服飾体験を夏季さんが得たならば、それは素晴らしいことですね。足元はソックスに白のケッズ。

「ミラーボールがあるね」とべにさん、めんヴぁーが左右に分かれたポジション、一曲目「あヴぁんだんど」、「みなさんこんにちは、『あヴぁんだんど』でーす!」、基本的にはロングスカートなのですが長さが不均一な衣装の裾をたくみに捌くべにさん、エレガントです。スカート姿で観客にケリを喰らわす仕草はひさしく行われていなかったと思いますが、エレガンスが倍加されるようにすら思えます。夏季さんのソロのとき両腕でハートを形づくってみせるべにさん、「ま・わ・れー!」、ラストは二人で「センキュー!」

べにさん「わたしたちー!」
夏季さん「見捨てられたアイドル!」
二人「『あヴぁんだんど』でーす!よろしくお願いしまーす!」
べにさん「まずは自己紹介から!『推せる、愛せる…あヴぁんだんど最年少…』」
夏季さん「世界に、はばたけ、茶畑…」
この会場WOMBは、照明が非常によろしいです。自己紹介のあいだ白いライトを当てているのですが、とても強い明かりによって、クラブではなくまるで劇場であるかのように思わせてくれる照明スタッフのセンスが素晴らしい。
夏季さん「では、MCに入りたいと思います」
べにさん「…まってくれ、なっちゃん!つないで!」、水を飲みたくなったようですね。
夏季さん「なんなんなんご…」とかなんとか呟いて場を繋ぐ夏季さん、喃喃喃語?
寸劇の始まり。
べにさん「なっちゃん、『あヴぁんだんど』のメンバーって、なんで、二人なの?」
夏季さん「『あヴぁんだんど』は、ににん体制…」、べにさんの「あれ?」という表情、言いなおす夏季さん「…ふたり体制なんだよ」、「新メンバーは、6月に入ってから。待ってろ!」
べにさん「…以上『生○○と焼○○○』でした!」
スケジュールの記されたスケッチブックを示すべにさん、「今週は週5…(スケッチブックに記された以外にも)まだあるんで!」

べにさん「つぎの曲はこの季節にぴったりの曲です、聞いてください、『さいごのクリスマス』」
わかりやすい振りから二曲目「さいごのクリスマス」、TRASH-UP!!のコンピレーションに収録された曲ですね。ミラーボールに当てた紫などのライトがホリゾントを這います。
夏季さんの体の切れがとても良い。彼女の踊りは教わったとおりにタイミングきっちりという印象があったのですが、二人で舞台を埋めなければならないという二人あヴぁんだんどならではの事情が夏季さんを目覚めさせたのでしょうか、与えられた振りをはみ出すかのように大きく踊っています。
夏季さん「おーい!メリークリスマス!」、べにさんが前かがみになると、ランドセルから出てきたたくさんのお菓子、うまか棒でしょうか、二人して客席に投げます。
ラストコーラス、「みんなも振りコピして!」とべにさん、耳を澄ます二人。

三曲目「勝手にしやがれ」、べにさん「あー、やっぱり、冬とかキライだ!夏休みが!」
べにさんに続いてソロをとる夏季さん。歌いだし、わずかに乗り遅れますが、今日の夏季さんは自分ひとりでちゃんとリズムに乗り直します。小日向夏季、エライ。その夏季さん「誰もいない世界で」では詞の示すところを演技しているように思えました。これまで歌詞を表現するということに意識を向けていなかったかもしれない夏季さんですが、歌を演ずるのが面白くなってきたのでしょうか?
普段の「あヴぁんだんど」シーン。べにさん「やー、今日は、みんな、『あヴぁんだんど』のために来てくれてありがとう!」、夏季さん「…甘いよ、宇佐蔵さん!お菓子より甘いよー!」
ひきつづいて「スイカ割り!」などと唱えるべにさん。ここでも夏季さんの動きの良さが目立ちます。
「セイハロー…夏の光」でも悲しそうな表情を示す夏季さん、やはり演技に開眼したのでしょうか。「夏の光」という言葉が彼女に想わせたのはなにか。
ラスト前、べにさんの掛け声でジャンプする二人、ラストに観客からの「やっぱ『あヴぁんだんど』だなー!」コールに「だなー!」とべにさん。

四曲目「Magical Symphonic Girl」、夏季さんとの歌い交わし「その場しのぎでも愛して」でのべにさんの表情が一瞬ながら真顔にみえましたが、ステージに立った瞬間の観客とのやり取りが全てであるライブアイドルとしてのご自身のありかたの自覚からでしょうか。
「…虫歯イタイ」で頬をさすり、痛そうな顔をするべにさん、歌詞をきっちり演じる姿勢がすばらしい。
セリフのシーン、夏季さん「愛されたくって…」、その次のべにさんのセリフは聞き取れず、夏季さん「…ピンクに変えてあげる」、べにさん「幸せものって…」、この部のメンバーの表情はなにか思いがこもっているように思えました。この曲「Magical Symphonic Girl」ですが、作曲者のつるうちはなさんは、あヴぁんだんどの四人のメンバーがタイトルどおりシンフォニーを、四楽章の曲を演じるというコンセプトで書かれたということでしたけれども、四人のうち二人が脱退あるいは卒業したいま、残されたメンバーは歌詞のふしぶしに思うところがあるのかもしれません。

イントロ、「Feedback Friday」、べにさん「最後の曲です!みなさん盛り上がって行きましょう!『い・く・よー!』」、べにさん、好さんの担当だった「い・く・よー!」を受け持つようになりました、歌になる前に観客から掛かる曜日MIX、ステージからヲタクの抱えるカンペを見やりつつ「ナントカ、ナントカ…『金曜日』!」とラストだけ唱和します。
夏季さんのソロ、今日の夏季さんは感情をはっきりと浮かべる歌い振りが目立ちます、二人しかいないといういまの状況が表現に対する彼女のなにかを目覚めさせたのじゃないかと思えるほどです。
立ったまま寝ているべにさんにさまざまのかたちでプロポーズというか、じゃれる夏季さん。
ランドセルを付けたままのべにさんが床に手をつき、夏季さんは足を掛けるのではなく片膝をランドセルに乗せる感じでソロをとります。
続くパート「色あせた」では直前のジャンプのせいでか夏季さんの歌いだしがわずかに遅れますが以前のように乗り損ねることはなく、ちゃんとリズムを保ちます。
「二人を閉じ込めてしまう」という歌詞が今のあヴぁんだんどにシンクロしてしまっていると感じたのはわたくしだけか。歌の予言性。
「みんなも一緒に!」とべにさん、「『あヴぁんだんど』、終わってねえよー!」と前かがみになって叫ぶ夏季さん、声の勢いがあまり強いのでデスボイスのように聞こえます。

曲終わってべにさん「二人、疲れるね」、夏季さんに振って物販の紹介、5月の終わりに週5回のライブと再び紹介、「以上わたしたちー!見捨てられたアイドル!『あヴぁんだんど』でーす!」、ヲタク諸氏「やっぱ『あヴぁんだんど』だなー!」「だなー!」

終演後に物販でべにさんとお話できたのですが、今日着用していたローファーは通学用に購入したものではあるけれど、衣装との組み合わせを考えてあえてした、ということでした。夏季さんともお話したところ、夏季さんがジャケットのボタンを閉じていたのは、やはり衣装を映えさせようという気持ちだったそう。さくらいかおりさんの衣装をメンバーが身にまとうのは二人あヴぁんだんどの間だけということですが、衣装を最高に生かそうというべにさん、夏季さんのこころが素晴らしいなと感じた今日のライブでした。