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  2014年9月2日  堀口 佑美

 

第1 はじめに

平成26年7月17日、最高裁判所は、DNA鑑定で親子関係がないと判断された父子関係について、生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであるとしても、父子関係の存否を争うことはできないとの判断を示しました。

 

第2 判例の事案

この事案では、妻が婚姻中に夫以外の男性との間の子どもを懐胎し、出産から約2年後に夫が妻の不貞行為を知りました。その後、妻は子を連れて夫と別居し、現在は不貞相手の男性、妻及び子の3人で生活しており、妻の夫に対する離婚訴訟が継続しています。

 
本件は、妻が夫に対し、子どもの代理人として提起した親子関係不存在確認訴訟の上告審です。

 

第3 最高裁判所の判断  


(1)この事案で、裁判所は、

「夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時点において夫の下で監護されておらず、妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても、子のみ文官帰依の法的安定性を保持する必要が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えを以て当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。」

として、父子関係の不存在を認めた原判決を破棄しました。
  

 

最高裁は、このような判断をした理由として、

民法772条は妻が婚姻期間中に懐胎した子を夫の子と推定しており、そのことを否認するためには夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし(同法775条)、

しかもその訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは(同法777条)、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる、

と述べました。

 



すなわち、民法上、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されており、その推定を覆すために厳しい制限が設けられているのは子どもの身分関係の安定のためであるから、厳しい制限を満たしていない本件で親子関係不存在を認めるわけにはいかない、ということですね。

 
また、櫻井龍子裁判官の補足意見にも書かれているとおり、親子関係という国の基本的な枠組みに関する問題については、裁判所が個別の事案について判断するのではなく、法律を改正するなどして対処することが望ましいという判断もあったようです。

 
日本は三権分立によって国家作用がバランスをとっていますので、法律の文言に真っ向から反する判断は、よほどのことがない限り裁判所はしないようにしているのです。  
 

 
  
(2)ただ、上記のような裁判所の判断は、5人の裁判官のうち2人が反対意見を出すというぎりぎりのところで出されました。

DNA鑑定という科学技術の進歩により、ほぼ100%の確率で父子関係の存否を明らかにするようになったという社会状況の変化を受けて、今後どのような立法政策がなされるのか、また、裁判所の判断にも変更が生じうるのか、興味深いところです。

 




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