相続財産からみえてくること

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私は、この税理士法人で税理士の補助者として働いています。相続税の申告のお手伝いもさせていただいていて、故人の残された遺産の詳細をまとめることも私の仕事です。

現代の私達にとっては当然のことですが、人は貨幣経済の中で生活していますので、お金は人の生活そのものと言えます。故人の遺産を見せていただいていると、その故人がどんな人で、どんな生活をされていて、何に価値観をみいだされていたか、家族にどんな思いを伝えたかったかが手に取るように解ることがあります。


故人A氏は医師でした。戦後の貧困の中、苦労して医師の資格を取り、長年地域医療に携わってみえました。仕事一筋の人であったため、通帳には多くのお金が残されていました。相続人は子供3人です。

3人はそれぞれ仕事を持って立派に自立していたため、まぁ、親父が残しておいてくれた遺産ならいただくか・・・といったところでした。むしろ、こんなに残してくれなくても良かったので、このお金を使ってもっと家族との思い出を作ってもらいたかったと嘆かれました。

聞けば家族で旅行したことも、外食したことも数えるほどだったということでした。
戦後、お金に苦労した故人にとっては財産を子供達に残すことが家族ヘの愛情表現だったのではないかと、私には感じられました。

故人B氏には子供が2人いましたが、頑固者だった故人と子供達とはうまくいっていませんでした。暫くの間、音信不通となっていたそうです。故人が亡くなり、相続の相談を受けて遺産を調査した時、私は故人の遺志をはっきりと受け止めることができました。土地も有価証券も預金も、きれいに2つに分割できるようになっていたからです。いくら喧嘩をしていても子供を思う親の気持ちが痛いほど伝わってきました。

故人C氏が亡くなった時、遺産の整理をしていた相続人達は、相続人の誰もが知らない土地があることを知りました。その土地は故人の自宅の近所の土地でしたが、小さな土地で、あまり利用できそうにありません。どうしてこんな土地を買ったのだろうと遺族は不思議に思いました。

調べるうちに解ったことは、その土地の所有者だった人が、病気で働けなくなり困っていたところ故人が家族に内緒でお金を貸していたのです。その後、その土地の所有者の病気は治りましたが、借りたお金を返すことが困難なので土地を買ってほしいとの申出を受けて故人がその土地を買ったとのことでした。
この時初めて遺族は故人の心の広さを知ったのです。

相続が発生した時、相続人は遺産がいくらあるのか、自分はいくら貰えるのかということに関心が向いてしまいます。

それは相続人の権利で当然のことであり、決して恥ずべきことではありませんが、一度、故人の通帳の動きをじっくり眺めてみる時間を持っていただけたなら、故人の生活や想いが感じられることがあるかもしれませんし、自分の知らない故人の顔が見えてくるかもしれません。

そして、財産を残してくれた故人に感謝の気持ちを持つことができれば故人にとっても遺族にとっても良い相続となるはずだと思います。

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更してご紹介させていただいておりますことを、ご了承下さい。


 
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