なごやんのBCL史(18)緑と自由の国
今回はヨーロッパの国、アイルランドです。
今月はアイルランドは節目の年の重要な日を迎えます。
【背景】
♪ In the land of Ireland green and free lives the spirit of the Gael.・・・
(緑と自由のアイルランドの地に 宿るはゲールの心意気。・・・)
新潟のサッカーファンならご存じの歌かもしれません。2002年FIFAワールドカップのグループEで新潟スタジアム(当時)においてカメルーン代表と戦ったアイルランド代表のサポート・ソングです。
そのアイルランドで1916年のイースターに、当時アイルランドを支配していた英国からの独立を目指した武装蜂起が起こりました。イースター蜂起(Easter Rising)です。
リーアム・ニーソン主演の映画にもなったマイケル・コリンズもその戦いに身を置いたひとりです。
この行動は失敗に終わり、パトリック・ピアース、ジェイムズ・コノリーといった蜂起の中心となった人々は処刑されました。
イースター蜂起はアイルランドの独立につながり、1921年、アイルランド自由国が誕生しました。1922年にアイルランドで初めて発行された切手にはアイルランド全土が描かれています。
アイルランドで初めて発行された2ペンス切手(入手経路不詳 多分知人より譲り受け)
自由国として独立した当時、北東のアルスター地方は英国に占領され、南部も英連邦下にありました。
1949年、南部はようやく英連邦から抜け出し、アイルランド共和国として完全独立を果たしますが、北東部はまだ北アイルランドとして、現在に至るまで英国に支配されたままです。
英国は自国に組み入れた北アイルランドに、スコットランドやウェールズとともに一定度の自治権を与えていますが、スコットランドと比べればより限定的です*。
*スコットランド国会には英国国会と同じParliamentが充てられますが、北アイルランドとウェールズではAssemblyです。
イースターを目前に、そんな国の放送を2つ紹介します。
【アイルランド放送協会(Radio Telefís Éireann)】
南のアイルランド共和国にはRadio Telefís Éireann(RTÉ)という、日本で言えばNHKに当たる公共放送があります。NHKのように第一放送、第二放送ときて、第四放送まであります。
私が聴いた当時の第一放送(Radio One)はインターバルシグナルとして「O'Donnell Abú(オドンネルよ永遠に)」という曲の出だし、「♪ Proudly the note of the trumpet is sounding; Loudly the war cries arise on the gale (トランペットの音は誇らしく鳴り響き、戦いの叫びは疾風に高鳴る)」の部分が木琴(?)で奏でられました。
この曲は16世紀末にイングランド女王、エリザベスI 世のアイルランド弾圧に対して戦った、いわゆる「9年戦争」のヒーロー、ヒュー・オドンネルを讃えるもので、明らかに「反英」の性格を帯びています。ディズニーの映画「ドネゴールの戦う王子(The Fighting Prince of Donegal)*」でも使われています。
*日本での映画のタイトルは「反逆の戦士」です。
9年戦争では結果的にアイルランドが敗北し、それは後のオリバー・クロムウェル*によるアイルランド侵略につながりました。
*クロムウェルについて、日本の学校の世界史授業では英国目線で学習することが多いのですが、アイルランドでは一般に侵略者として扱われています。
受信証の図案は、そのオドンネルの出身地、ドネゴール州にあるグレンホ(コ)ルムキル(Gleann Cholm Cille,Glencolmbkille)という村の風景です。この地はアルスターに属していますが、英国領ではなくアイルランド共和国の一部です。また、この地域はゲールタハトと呼ばれるケルト語地域です。
RTÉは現在インターネットでアクセスでき、テレビもラジオもライブで視聴できます。(テレビは一部の放送を除く)
先月下旬に行われたアイルラド総選挙の速報もネットで刻々と伝えられました。
【英国放送協会ラジオ・アルスター(BBC Radio Ulster)】
上述したように、北アイルランドは現在英国に占領されていて、公共放送はRTÉではなく英国放送協会(BBC)の地方局が担っています。北アイルランドのBBCはこの地方の名をとり、Radio Ulster(ラジオ・アルスター)と呼ばれます。
内容はロンドン本局と同じ番組の他、この地方のニュースも多く発信しています。「ラジオ・タイムズ」にはラジオ・スコットランド、ラジオ・ウェールズと並び掲載されています。
受信報告に対しては受信証とともに冊子になったプログラムガイドが送られてきます。
受信証は極めてシンプルというか、「受信を確認します。」とは書いてあるものの、日時の記載はなく、ちゃんとした受信証の体をなしていません。(かつてのNHKと似ています。)
「date as postmark」といっても、郵便はがきとして送られてきたわけではなく、プログラム等と一緒に封筒に入っていたので、このカードには消印がありませんし(笑)。
こんなシールも送られてきました。
このシールははがして車の窓の内側に貼れば、外からは正しいスペルを見ることができます。救急車の表示みたいです(笑)。
今年は上に書いたイースター蜂起から100周年に当たります。今年のイースター月曜日は今月28日です。
3月26日(土)にはダブリンのパーネル広場で犠牲者の追悼式典が行われ、翌27日(日)には蜂起の中心となった総合郵便局(中央郵便局)(General Post Office~G.P.O.)前で独立宣言が読み上げられ、市内パレードが繰り広げられます。
ダブリン以外でもアイルランド共和国各地で記念行事が予定されています。
ダブリンの式典はRTÉを通して世界中へライブ中継されると思います。
ただ、先月末に行われた総選挙で連立与党が敗北し、その後の内閣も立ち上がっていない状況を何とかしないといけないでしょうね。
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♪ Eternal as the shamrock's soul, and the dream that will not fail
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