昨日公開になったばかりの映画、さっそく見てきました。

ネタバレがかなり含まれるので、まだ見てなくて見ようと思ってる人は、見ない方がいいと思います!

 

 

25年前。

母親が男のもとへ走った篤・親と喧嘩して家出中の啓太・親がいない悟の3人は、「雪割草」という喫茶店を経営する涼子と共に暮らしていた。

恐らく涼子に想いを寄せる常連客の光男を含め、まるで家族のように幸せに暮らしていた篤たちだったが、

そこにある男がやってきたことから、崩れ始める。

たぶん涼子はどこかの飲み屋か風俗かで働いてて、その男から逃げてきたっぽい。

男は乱暴で、涼子は体の関係を無理強いされて殴られたりもするし、篤たちも邪魔者扱いされるし、そういうのを見てる光岡は辛いし。

で、ある時ついに、篤たちは涼子のために男を殺すことを決意する。

それを見た涼子は、後のことはすべて自分に任せてここであったことは忘れろ、そして今日から赤の他人として生きろと、篤たちに言う。

 

25年たち、刑事になっていた篤は、ある事件をきっかけに2人と再会する。

それは悟が殺されるという事件だった。

前日に偶然悟と再会し、家業の金策のために啓太と翌日に会うと聞いていた篤は、啓太を疑う。

2人を知っていることを隠し、篤は単独で捜査を開始する。

しかし啓太は、何も話そうとしない。

やがて篤は、涼子の現在の姿を知り、啓太の想いも知ることとなる。

啓太が守ろうとしていたものは、いったい何だったのか。

 

 

さすがに最後のそうなんや!と思ったところは書かないでおきます。笑

啓太には出産間近の妻がいて、かつて「雪割草」があった土地を買ってそこに新居を建てようとしている。

悟は妻の親の会社を引き継いだものの、経営は苦しく、金策に苦労している。

篤は妻と別居中なんやけど、たぶんね、妻は子供を流産したかなんかなんよね。

篤が啓太と話してるときに啓太の妻の容体が急変してんけど、

その時に必死で助けようとしていた様子は、その経験からくるものやと思う。

今まで妻にさえ心を開ききれなかった篤は、きっと妻をその時助けることができなかった。

その妻の辛さを受け止めることができなかったのか、それとも妻を守ることができなかった後悔なのか、

どっちにしても、そもそも過去の事件への想いが篤の「今」に影響を与えてるのは確か。

今回の事件は、もちろん悟を失った悲しみはあるんやけど、篤が新しい1歩を踏み出すのきっかけになるわけ。

啓太の妻が緊急帝王切開になったものの、母子ともに無事だった時、お互いに25年ぶりに「あっちゃん」「けいちゃん」と呼び合う。

その瞬間、ぐっときたなー。

 

この物語には、いろんな愛の形が描かれてんねんけど、その中でもいろんな「母」が描かれてんのよ。

男のために子供を捨てたくせに、老後に寂しくてでも寂しいって言えないから問題ばっかり起こして頼ってしまう母。

忌み嫌う男の子供なのに生もうとする母。

血のつながらない子供たちのために自分を犠牲にしようとする母。

見たことのない自分の母親の名前の一部を自分の子供につけようとする母。

生まれてくることのなかった子供を想って苦しむ母。

 

人の想いって明確な形に表せるものではないし、だからこそうまく伝わらなかったりこんがらがったりするんやけど、

逆にこんがらがるということは、お互いに相手を想ってる証拠やなとも思うのよね。

どうでもいいと思ってたら、こんがらがらんと思うから。

篤の周りのすべての「こんがらがり」が、これから解けていきそうな予感を与えてくれる結末でよかったです。

あと最後に、啓太がボロ屋になって残ってた「雪割草」を壊す時もグッときたな。

過去との決別というか、ある意味、啓太もやっと新しい1歩を踏み出すことができたのかなって。

 

ただ少し思ったのは、映画でさらっとではなく、連ドラとかにしてくれた方がよかったなと。

もっとそれぞれの部分を掘り下げてほしかったなというのが残念なところです。

 


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