着付講師Kaikoとビーズ作家NAGOMI の小粋なコラボ。
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2017-01-28 15:49:21

vol67 『キンゾクヒロウについて』

テーマ:ブログ

『キンゾクヒロウについて』

 ユビワをつくろう、と夫が言った。

昨年、ユビワをなくしてしまった時、夫は想像をこえる不機嫌さだった。あまりにもがっかりされて、わたしの方が落ち込んでるのに、と不条理にも反感をもったほどだ。

 思えば、わたし達、最初から「ユビワ」に関心なんかなかったよね。形だけ交換したら(いつ壊れるやもしれぬものを、永遠の誓いとか嘘寒いぜ、などとトンガッて、繋ぎ目のずれた丸くないユビワを買ったのだ)外すつもりだったのに違いないが、指の節につっかえて、夫だけ外れなくなってしまった。

 それが20年経ち、あるのが当たり前になって、あるべきものを無くしたわたしは、急に不安な気持ちに襲われた。あちこち探し回って、見つからないと知った時、ユビワには、結婚した年、日付、夫の名前を刻んだことを20年ぶりに思い出したりして。なんだ、この落ち着かない気持ちは!ユビワをなくしたからといって、夫や夫との年月がなくなるわけではないのに。

 昨年暮れ、夫がユビワをつくろうと言った日は、他の月よりもちょっと懐が温かくなる日でもあったが、反射的に「本気?」と聞いてしまった。それは、わたしさえユビワをなくさなければ余分な出費を抑えられたのに、という考えがチラと頭を掠めたからだった。年末年始は何かと入り用で、日頃から金食い虫(笑)と言われている身にはコタえる季節なのである。

 そして、もう一つ。夫には、ユビワをつけることがそんなに大事なのだろうか、と不思議に思う気持ちもあった。貴金属など今まで妻に贈ったこともない人が、どういう風の吹き回しだろうと、訝しく思う気持ちも。

 キンゾクヒロウをおこしたんでしょ、それで行方不明になったんじゃない?

 と、夫がユビワを擬人化して言った。

 ほう!キンゾクヒロウとはうまいことを言う。確かにユビワは輝きを失い、無数のキズをつけていたっけ。金属疲労にはメンテだ、メンテが不可欠である。同様に、結婚(勤続)疲労にもメンテを、というわけか。ユビワは疲れて姿を隠し、20年がたったことを夫婦に思い出させてくれたのだ。今一度のふたりの船出のために。

 と、感心したのも束の間、「あ?勤続疲労?全然アタマになかった」と夫。全く、しまらない!

 とにもかくにも、ユビワは2月下旬に出来上がってくる。そんなにかかるの?と、21年目の結婚記念日に間に合わないことを、最後まで文句を言っていた。やっぱりしまらない話であるが、夫を横目に見ながら、思うのである。夫の勤続(会社と夫業)にもお疲れさま、これからもよろしく、と言わないといけません!

 

                  ーズとキモノの小粋なカンケイ   

                  kaikoのキモノ便り2017年新春号

                  で、新年はじめてのご挨拶です。

                  母から譲り受けたぜんまい紬に

                  ムガシルクの帯。地味な取り合わせですが

                  袖口に梅の赤を、帯揚げに鶯色を入れて、

                  小さく、ひそかに華やいでいます。

             ←八百屋ができるかも。

こちらは、1月の里からの便り。大根が抜群に美味しい!

     集めてみたら、なんとなくキモノの色合いと似かよっていて・・・。

しみじみとありがたく、おいしい便りです。

    『地味に滋味』。先日、知人のメールの中にこの言葉があって、

     心に残りました。キモノも暮らしも、地味に滋味なのがいいなあ。

今年もよろししくお願い申し上げます!

 

 

 

 

                        

                  

              

 

 

            

 

 

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2016-06-29 13:30:19

vol66 不自由ってなんだ

テーマ:ブログ

『不自由ってなんだ』

うちに来るお稽古さんたちは個性派揃いである。

彼女らの紹介で出会う人もまた見事に個性的であって(※感じ方には個人差があります)、

それぞれに魅力的、きものの着方を教えて自分が一番得しているような気がする。

なかに、目の見えない人がいる。こちらはTさん。超個性派Aさんの友人で、ゆかたを着て出かけたいということだった。一緒にやってきた様子を見るに、風通しがよいというか、実に親しく、愉しげなやりとりをしている。洗面所を使ってもらおうと、勝手知ったるAさんに案内を頼むと、ふたりは暗闇で手を洗っているではないか。思わず「電気つけたら」と声をかけた。

「暗くてもこの子、関係ないんで!」。歯切れがよいこと。

聞きようによっては角の立つ言葉だが、Aさんが言うとなぜか「あ、そうか」と笑ってしまう(これが彼女の個性光るところだ)。

灯りのない洗面所で、ふたりナイショ話をするように身を寄せ合って、コレ石けん、タオルこっち、と手を誘う姿は、なにか、おかしみがあって、胸がぬくもるような気がする。

さて、お稽古である。
 最初に、紐の真ん中をとれるようにと、針と糸を渡して縫ってもらったら、これがまっすぐな美しい縫い目!それを見た時、わたしの緊張も吹っ飛んだのでした。

上前の決め方は、ピンチを前裾に留めて足の甲で感じてもらい、帯の手先の長さは彼女の広げた手(親指から小指まで)何回分、というふうに、わたしも、着てもらうために頭を働かせたつもりであるが、この人の飲み込みの早さと、手の動きの正確さには、ウーンと唸るしかない。

Tさんは、帯結びの形まで見えているかのようにきれいに整えてゆく。

なんという、手のもの視る深さ、鋭さか。それはおそらく、見えないことを補う努力の賜物であるのだろうに、「分かりやすかった」と喜んでくれた。わたしはその何倍も彼女に自信をつけてもらったのだけど。

Tさんはすごい。不自由を言い訳にしない。そう言ったそばから、不自由って誰が言った?と自分にムッとする。やっぱり思ってしまうのだ。いろんな不自由があるだろう、見えたらいいのにと切に思うこともあるだろう、と。するとまた翻って、不自由とわたしが決めつけることじゃない、偏見や先入観も、見えることがもたらす心の不自由ではないのか、と思う。

でもでも、やっぱり・・・(シツコイ)彼女に見せてあげたい。こんなに素敵にゆかたを着ていることを見てもらえないのが切ないのだ。ああ、わたしの心は不自由な上にいそがしい。

見えない彼女が視ている世界は、わたしの知らない色彩に満ち、限りない豊かさを湛えているかもしれない。個性豊かな人々が、わたしにもたらしてくれるもの、教えてくれることのなんと多いことよ。


          ビーズキモノ小粋カンケイ

         ~kaikoのキモノ便り6月号~        



 6月のきものはサマーウール。

大小水玉の絣足も美しく、気に入っている

きものです。

単衣の会、といっても二人きりの

きものデートですが、お相手が撮ってくれました。

彼女の写真もホントは拝借したかったけど、

撮ったヒト(わたし)がヘタなので諦めました。


 「お初の単衣を見せたい」

「見たい見たい」

ということで実現した二人会。

彼女は華やかな麻の葉柄を

素敵に着こなして、お似合いでした。

地色は黄に茜の、いや、珊瑚色がかったような、

なんともいえずよい色をしていたなあ。

お稽古さんがきもの友達になり、

こうして時々、素敵なきもの姿を見せてくれます。

これぞ、目にもご馳走。

お裾分けできなくてすみません!








     前号の野草たちのその後

     最後まで手をかけた、という

     思いからか、ただの枯れ草も

     ちょっと可愛く見える。

     多分、わたしの目にだけ(笑)。

    

     芭蕉のボトルホルダーは

     宮崎にいる友人のお店から。


     九州がまた雨の被害にしずんでいて

     心穏やかではいられません。

     地球も、人も、なんだか苦しそう

     に見えることがあります。


     間もなく7月がきます。

     7月には7月の花を、

     丁寧にさがしていけたら

     いいな、と思います。

     

     

     

     


     

     

         





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2016-06-10 16:03:37

vol65 『エンドウの苦くはじける5月』

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『エンドウの、苦くはじける5月』

連休明け、友人の家からエンドウが届いた。

送り主は友人のお父さんとお母さんである。

最初は、きれいにサヤを取り除いてくれていたが、ここ数年はサヤつきでドサッとくる。

15年前、友人が逝った。何度一緒に泣いたろう。手紙を書いたりもらったり、何かを送ったり

送られたりが続き、「おばちゃーん」と厚かましい電話ができるようになった頃から、エンドウはサヤつき。

 月日しか癒える手立てはなくても、深い痛手から立ち直るのに十分な月日などあるもんか!苦しむおばちゃんは、それでも、少しずつ外へ出て、果物や野菜を育て、実りの季節を迎える

と、それらを送ってくれた。薬なしでも眠れる日が増え、電話の声も明るくなり、今では「もう娘

みたいに思えて」と、身内便のサヤつきなのだ。

 深夜、夫と一緒にサヤむきをした。プチプチパララと、採りたてのエンドウは音を立ててザルの中にはじけ転がっていく。その音の嬉しく、こぼれる匂いの苦いことを、しっかり感じながらサヤをむく。

おばちゃんやおじちゃんが種をまき、世話をし、無心に手を動かす間だけは友人を忘れ、実がなるとやっぱり嬉しく、生ある我が身を感じることだろう。けれども、必ずその時には、生きられなかった友人を想うだろうことを、エンドウは教えてくれる。

 5月の夜風に吹かれて、夫とわたしは無言でサヤをむく。音だけがして、夜はさびしいなあ。        青い匂いの中で、さびしくても、嬉しいと思う。


            ビーズキモノ小粋カンケイ

         ~kaikoのきもの便り~5月号!  

          

         そう、5月号なのです。更新は滞り、5月にも間に合わず・・・。

        (言い訳はすまい!)今回、エンドウの話なので、

       母手製のソラマメのバックも見てください!きものは片貝綿麻

            
                    


  

     透けない綿麻きものを、5月から更衣の6月までに便利につかっています。

     6月はムシムシと暑くなって、雨も降るし、単衣には手が伸びないまま

     終わることが多いですが、もとお稽古さんと「単衣会」の約束をしたので、

     わたしの単衣たちも久しぶりに街に出られます!(更新できるかどうか^^;)

     久しぶりといえば、むかし暮らしていた辺りに、新しく奈良のお店ができて

     いました。店頭で揺れているブーケが素敵でした。奈良からやってきた

     ブーケ。ちょっと日にちがたって値段もかわいくなっていて、お店の人が

     『傷んだ所は切ったりしながら、ちょっとずつ枯れてゆくのもいい風情です』           

     と言ったのが心に残り、自分のために持ち帰りました。

     体や心の調子が上がらない時に、植物に助けられるということ、あります。

     ふるいアイスペールに入れて。短くなった『その後の山野草』↓

     

 

次回はその後の山野草②をお見せしましょう。健やかな6月になりますように!            

                    

        

    
       




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