ITと音楽

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 みなさん、おはようございます。バルテックアドベントカレンダー12/16分を担当させていただきます、株式会社バルテックに入社二年目の山本裕司と申します。

 記事のテーマですが、僕は音楽が大好きなので、ITと音楽について書きたいと思います。

 前置きとして、日本のデジタル音楽配信技術は他の先進国と比べて数年遅れていると言われています。それはなぜかというと、ダウンロード配信の次に台頭してきたストリーミング配信のサービスや仕組みが整っていないからです。なので、敢えて「日本では使用できない」Webサービスを二つ紹介したいと思います。

 まず初めにSpotify. https://www.spotify.com/

 ストリーミングで音楽を再生できるサービス。といっても現代に於いてそのようなサービスはWeb 上に無数に存在しておりわざわざ紹介するということは違いがあるのだろうかと問われれば、あると答えます。それは、ユーザーが無料で利用できるという点と、アーティストに収益が分配されるという点です。

 Spotify は違法ダウンロードへの回答として作られたサービスであります

基本的に無料で音楽を聴くという行為は、アーティストがそのしわ寄せを食っています。いわゆる海賊版というやつですね。

 Spotify が世にでる前は、P2P 技術を使用して楽曲データのやり取りが行われ、もはや無法地帯でした。しかしSpotify はそのP2P 技術をそのまま使用して、曲が再生されればその分楽曲使用料がアーティストへと支払われる仕組みを整えました。

 無料なのにどうやって使用料を支払うのかという課題には、フリーミアムモデルが使用されました。フリーミアムとは「フリー(自由、無料)」と「プレミアム(有料会員)」が合わさった言葉です。無料会員の場合は再生する楽曲と楽曲の合間にCM が挿入され、そこから広告収入を得ます。有料会員になると、そのCM が流れなくなり、スマートフォンでの再生や、高音質での再生が可能となります。この「広告収入」と「会員費」をアーティスト側へと還元していくのです。

 結果として、Spotify を導入した国は、CDが売れなさ過ぎて縮小していた音楽業界を復活させました(とくにスペインは海賊版がひどすぎてCD が全く売れていなかったらしいです)。
 

 続いて紹介するのはPandoraRadio です。 http://www.pandora.com/

 pandoraはパーソナライズドラジオです。ええ、カタカナ語を使ってドヤ顔しているだけでは何も伝わりません。

 このサービスについて説明します。Pandora にアクセスして好きなアーティストを検索欄に入力すると、そのアーティストのstation つまり「局」が立ちます。しかし、検索したアーティストの曲ばかりが流れるわけではない。

 例えば、僕がいまpandora にアクセスして、検索の欄に僕の大好きなバンドである”system of a down” と入力する。すると、自動的にsystem of a down の ”cigaro” が流れてくる。この曲が終わると次は”chevelle”の”the Red” が流れてくる。その後は、またsystem of a down の”prison song” が流れてきた。こんな感じで音楽が次から次へと流れてくる。

 いたって普通ですが、ほかのインターネットラジオと何が違うのでしょうか。
 pandora には、ほかのラジオとは一線を画す特徴があります。それは、pandoraの選曲が異常なほどリスナーのツボを突いてくるという点です。

 これにはちゃんとした理由があります。それは、pandoraで流される曲には、1曲1曲に「ミュージックゲノム」と呼ばれる、いわば曲のDNAが、プロの音楽家により解析され、手作業で打ち込まれているからです。1曲1曲解析されているんですよ!

 リスナーが、この曲良いな~と思ったらサムアップ(イイね!) すれば、それを学習して同じアーティストや「この楽曲を聴いている人はこんな音楽も聴いています」という選曲に限らず、似た”DNA”を持った曲が流れてくるのだ。逆に、全然好きではない曲が流れてきたら、サムダウン(ヨクナイね!) すれば、その曲は即座にスキップされ、その後その曲に似た”DNA”を持った曲は流れてこなくなります。このようにして自分好みのstation を作り上げていく。だから、ミュージックゲノムを根拠にするpandoraの選曲のセンスは異様なほど良くなっていきます。


 以上、紹介文でした。

両者のサービスとも、前述の通り無料でかつ合法です。しかも、楽曲が再生される毎にアーティストへ楽曲使用料が支払われる。また、iTunes Store といったような楽曲のダウンロード販売と比較して、楽曲のデッドストックが少ない。無料だから、「ジャケ買い」のようなことも躊躇なくできるからです。

 Spotify は、違法ダウンロードをしていた層を囲い込むことに成功しました。それは、クリックした瞬間に楽曲が再生される、そして、違法にアップロードをしている人が少なく、違法ダウンロードすることが難しかったマイナーな楽曲までも、検索結果に出現し、一瞬にして再生される、その上、何より無料なので、違法ダウンロードをする必要がほとんどなくなったのです。

 Pandora は、その独自のレコメンデーションシステムにより、セレンディピティ(新しい音楽の発掘)に貢献しています。


 おわりに。
 CD や音楽のデジタル配信は、いつでもどこでも楽曲を聴けるようにする技術であり、それはアーティストたちの「演奏機会」を奪うものでした。しかし、配信技術や仕組みが洗練されてきて音楽が無料になると、今まで機会を奪われていた一回性の瞬間芸術である「ライブ演奏」が相対的に地位を向上しました。音楽が無料でどこでも聴けるようになる技術が、その時一瞬でしか聴くことのできない芸術の価値を高めるのは何とも皮肉で面白いことですね。

 また、Spotify が日本に輸入されてくるという噂がありますが、「無料」という言葉に過剰反応を示す日本のレコード会社が全然頷かないので、日本でこれらのサービスが使用できるようになるのはまだまだ先のことになりそうです。

参考URL
Musicman-NET 特別連載企画『未来は音楽が連れてくる』
http://www.musicman-net.com/SPPJ01/
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