永築當果のブログ

ブログを8本も立て、“物書き”が本業にならないかと夢見ている還暦過ぎの青年。本業は薬屋稼業で、そのブログが2本、片手間に百姓をやり、そのブログが2本、論文で1本、その他アメブロなど3本。お読みいただければ幸いです。


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 終章 ヒトはどこで水生進化したのか


 ここまで、ヒトの形質進化については、水生環境なくして語りえないことを論じてきました。では、ヒトは、いつ、どこで、どのようにして誕生したのでしょうか。

 まず、大型類人猿の種の分岐を見てみましょう。

 近年、DNA解析が進み、種ごとのDNAの違いの程度から、分岐年代が推測できるようになりました。研究者によって、まだバラツキがありますが、複数ある推測値の平均を大づかみした値でもって、それを説明しましょう。

 まず、アジアに住むオランウータンとアフリカ系大型類人猿の分岐は、約1,400万年前です。次に、アフリカ系大型類人猿からゴリラが分岐したのが、約700万年前、ヒトとチンパンジーが分岐したのが、約500万年前です。ちなみに、チンパンジーとボノボの分岐は、約200万年前です。

 これらの分岐は、全て地理的隔離によって起きたと考えるしかありません。

 なお、現在では、ゴリラとチンパンジーが生息域を重ね合わせている所がありますが、これは、その後に地理的隔離が解消し、生息域を広げたことによると考えるしかないです。

 その地理的隔離の原因は何でしょうか。地理的隔離は、熱帯雨林の分断しか考えられませんから、一つには乾燥化による熱帯雨林の縮小分割ですが、これは、アジア系・アフリカ系に分かれたときに起きたことでしょう。

 次に、地殻変動による大河の流れの変化によって隔離される場合ですが、チンパンジーとボノボの分岐がそうですし、ゴリラの分岐もそうでしょう。

 もう一つが、これも地殻変動によるものですが、地盤の沈下によって、大陸の端が孤島となってしまうことによる隔離です。

 そんなことは有り得ないと思われるかもしれませんが、過去に何度か繰り返して、そうなった場所がアフリカにはあるのですから、大型類人猿がその孤島に隔離されてしまった可能性は大いに有り得ることなのです。

 ここから先は、「人類水生進化説」をまとめ上げられましたエレイン・モーガン女史の幾冊かの著書から、その要旨を紹介することとします。

 ただし、「犬歯の退化」に関する事項については、私が補足しました。


 人類誕生のふるさとはアフリカ大陸東部をほぼ縦断する大地溝帯辺りに違いないことは、化石の出土から、誰しもが等しく認めるところです。

 そして、数百万年前のアフリカ大陸は、まだまだ広大な熱帯雨林が広がっていたと考えられていて、アファール三角地帯…紅海・アデン湾・大地溝帯の3つの地溝帯が接する場所で、「アフリカの角」の付け根辺りに広がる広大な盆地…が、その北辺を成していたことでしょう。 

 ここにも、ゴリラやチンパンジーの祖先がいたはずです。

 年代は定かではないですが、約500万年前のある日ということにしましょう。

 大地溝帯の北端に位置するアファール三角地帯で、巨大地震が起きて、大きな地殻変動を起こしました。

 何の不思議もありません。大地溝帯は大地の割れ目で、遠い将来にはアフリカ大陸を再分割し、第2のマダガスカル島を作らんとする大陸移動の動きが約1,000万年前から始まっていたからです。

 この地殻変動は、単に大陸を引き裂くだけではなく、所によってはぶつかり合って山脈を作ったり、コンゴ盆地のように広大な大地を窪ませたりと、複雑な地形の変化を生み出しています。

 さて、この巨大地震によってアデン湾の海水を塞き止めていた山並みが沈下し、海抜がマイナスのアファール三角地帯へ一気に海水が流入したと考えられます。

 そして、瞬く間にアファール湾ができてしまい、小高く平板な丘状を呈していたダナキル地塁は、海に浮かぶ島となり、ここに住んでいた大型類人猿は、大陸から隔絶されてしまったのです。


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 こうした出来事は過去に幾度も繰り返し起こったようで、今では塩の平原となっているアファール三角地帯の地下数百メートルの塩の堆積層が、それを物語っています。また、アファール三角地帯から北西方向に伸びている紅海も、大地溝帯と連動する地溝帯に位置しており、地中海と繋がったり、逆に、インド洋と繋がったり、あるいは湖となって干上がったりと、その姿を目まぐるしく変えてきており、今でも海底に分厚い塩の堆積層を残しています。

 なお、地中海やそれに繋がっている黒海も、それぞれ湖となって干上がったことがあります。参考までに、湖面の海抜が世界中の湖の中で最も低い死海も地溝帯に位置し、大地の割れ目が沈下してできたものです。

 このように、太古から現在、そして将来にわたっての、アファール三角地帯周辺における激しい地殻変動の状況からして、ダナキル地塁の大陸からの隔絶は、決して不思議な出来事ではないのです。

 その後、アファール三角地帯において、約300万年前に再び起きたと思われます巨大地震により、アファール湾は、再びインド洋から隔絶されて塩水湖になってしまい、当地は、この頃に乾燥化が始まっていたでしょうから、湖は少しずつ干上がり、やがて消失してしまいました。

 この地が、大陸から隔絶されていた約200万年間に、第2章から第4章で推察しましたとおり、そこに住んでいたチンパンジーの祖先が、水生生活に入っていって、直立二足歩行する水生チンパンジー、通称「華奢型猿人」と呼ばれる人類の祖先に進化したことは確かなことでしょう。

 そして、その後におけるアファール三角地帯の環境悪化に伴い、人類の祖先は、その周辺地域や南方の大地溝帯へと移住したと思われます。所々で発掘されている約300万年前の人類の祖先とされる骨の化石がそれを物語っています。

 彼らは、チンパンジーと身長は概ね同じですが、頭を気持ち大きくし、手足の長さの比率を現生人類とチンパンジーの中間程度にまで変化させて、直立二足歩行に適した骨格を持っていました。

 まだまだ現生人類とは随分異なるものの、チンパンジーとは明らかに違った体型に進化しています。そして、犬歯が概ね退化した状態にありました。

 

 人類の祖先のこの進化は、地理的に隔離され、水生環境に親しんだからとしか考えられません。

 犬歯の退化も、こうした中で起きたのです。

 なお、犬歯退化途上の歯の化石がダナキル地塁から発見されでもすれば、人類の発祥地が確定するのですが、残念ながら発見されていません。

 でも、地理的隔離の有力な状況証拠は、ヒトの遺伝子に確たるものとして残っています。第3章の第3節で述べました、類人猿とヒトの染色体の本数の違いがそうですし、そして、ヒヒ抗体の有無です。

 少々長くなりますが、ヒヒ抗体について説明しましょう。

 レトロ・ウイルスの1種にC型ウイルスというものがあって、これは、空気感染性の強いエイズ・ウイルスと考えて良いです。

 アフリカ大陸に住むヒヒは、400万年以上前に、これに感染したと考えられ、ヒヒは、このウイルスを体内に取り込んで以来、このウイルスを作り続けて、現在でも 内在させています。

 ただし、時の経過により、今日では感染力のない無害なものに変異しています。

 このウイルスは猛威を振るったようで、当時アフリカ大陸に住んでいた霊長類の全てが感染したと考えられます。

 と言いますのは、現生する彼らは皆、このウイルスに対する抗体を持っているからです。これを、ヒヒ抗体と言いますが、この抗体を持たないのが、アフリカ大陸以外に住んでいる全ての霊長類で、ヒトもそうです。

 何と、ヒトは、その当時、アフリカ大陸には住んでいなかったのです。

 となると、ヒトは、どこに住んでいたのでしょうか。

 ヒヒ抗体の研究成果が発表されたときには、人類アジア起源説が登場したのですが、そのような痕跡は一切ありません。ここで、人類が誕生した場所の特定に行き詰まりを起こしていたのですが、何もわざわざアジアを持ち出さなくても、アフリカには、ちゃんとアファール三角地帯があるではありませんか。

 このウイルスが猛威を振るったときには、ダナキル島は、すでに大陸から隔絶されていたに違いないですから、空気感染から免れた可能性が高いのです。

 そして、その後、ヒトが大陸へ移住したときには、ウイルスは、変異しやすいですから、感染力を失っていて、ヒトは、ヒヒ抗体を持たずとも生存できたのです。

 ヒヒ抗体の有無については、これ以外に説明しようがなく、ダナキル地塁は、大陸から隔絶された島であって、そこに、後にヒトに進化を果たすこととなった大型類人猿が取り残されていた、と考えるしかないのです。


 ここからは、私の推測ですが、ヒトの祖先は華奢型猿人、つまり犬歯退化型水生チンパンジーと考えられるのですが、頑丈型猿人もヒトの祖先の傍系とされています。しかし、頑丈型猿人は、その骨格がチンパンジーよりもゴリラに似ていて、また、性的二形性が顕著で、これもゴリラの大きな特徴ですから、私が思うには、頑丈型猿人は、ヒトの祖先の傍系ではなく、ゴリラと祖先を同じくする犬歯退化型水生ゴリラに違いないでしょう。

 第2章第4節でフローレス島の小人原人について述べました。そこと同様に、天敵がいなかった可能性が高いダナキル島では、ゴリラの祖先は、大きな体を維持するメリットがなくなり、地理的に隔離されていた約200万年間に、体を小さくする「島嶼化」現象が起きたのではないかと思われるのです。一方、ヒトの祖先は、その島では、ゴリラの祖先と共存していたでしょうから、どれだけかの緊張関係にあり、体を小さくすることはできなかったと考えて良いでしょう。

 また、ゴリラの祖先の小型化は、犬歯が退化することによって、咀嚼能力が向上したことも大きな要因と思われます。(立派な犬歯があると、これが邪魔になって噛み合わせた臼歯を前後左右に動かすことができず、単に顎を上下動させて、叩き潰すという方法しかとれません。犬歯が退化すると、そうした動きができるようになって、合理的な擂り潰しができるようになり、腸に過大な負担をかけることがなくなりますから、現生ゴリラのような腸が大きな巨大な体でなくてよくなります。)

 参考までに、人類進化の系統樹は様々なものがありますが、水生進化説に立脚すると分かりやすく説明できます。


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以上の考察から、ヒトの祖先は、アファール三角地帯に突然として生まれたダナキル島に隔絶されてしまった約500万年前に、チンパンジーとの共通の祖先から分岐し、その後、約300万年前までの約200万年間に、水生環境に親しむことによって特殊な進化をしたと結論付けることができましょう。

 なお、その後、ヒトの祖先は大地溝帯の水生環境へ移動し、質の高い水生生活に入っていくことによって、ますます「ネオテニー現象(幼形成熟)」が顕著になり、猿人から原人、旧人、そして現生人類へと進化していくことになります。

 ここで、質の高い水生生活と言いましたが、それは、2百数十万年前から、次第に大地溝帯が乾燥化していき、肉食獣が進出してきたがために、ヒトは、陸での生活が、ほとんどできなくなったからです。

 特に、夜行性である彼らから身を守るためには、夜間、水面で寝るしかないですし、出産、授乳、子育ては、専ら水面で行うしかなくなったのです。

 これによって、猿人は急速に進化し、現生人類に随分と類似した形質を持つ原人の誕生を見るに至るのです。

 その後も乾燥化が進み、約200万年前には、とうとう一部の原人が、大地溝帯の水生環境に別れを告げ、第1回“出アフリカ”し、アジアへと進出していきます。

 “出アフリカ”は、その後も続き、より現生人類に近付いた、ハイデルベルゲンシス原人や旧人ネアンデルタール人が、そうでしょう。

 最後まで水生生活をしていたと考えられる、ホモサピエンス(現生人類)ですが、大地溝帯の乾燥化が現在に近い状態となり、ついに、十数万年前、最後の“出アフリカ”をし、ここに、水生生活をするヒトはいなくなったのです。


 大地溝帯へ移住及びその後の状況についての推察は、随分と簡略化して説明しましたが、その詳細については別の機会に譲るとして、これにて「人類水生進化説」の説明を終わることとします。

 本サイトの開いていただきました皆様方の、長時間にわたる、ご精読に感謝申し上げます。

 蛇足になりますが、私が「人類水生進化説」を基にして「犬歯の退化」を推理した経緯について、最後に述べさせていただくことにします。



 おわりに

 犬歯が退化した現生霊長類は唯一ヒトただ1種だけですが、類人猿が大繁栄していた約1,000万年前には、犬歯をかなり退化させていた種がいて、ギリシャとトルコでそれぞれ別種の類人猿の歯の化石が発掘されています。これは、「犬歯の退化」が決して偶発的なものではないことのどれだけかの裏付けになりましょう。

 さて、私が最も注目しているのは、ヒトの「犬歯の退化」がどのようにして起こったかです。

 用不用の法則からして、使わないものは退化するしかないのですから、ヒトはあるときから犬歯を使う必要がなくなったと、考えるしかありません。

 私は、序章において、犬歯はオス同士の争いのためにあるものと言いました。そして、第5章で、ヒトは水生進化の過程で性交機能障害を起こしたと言いました。

 この2つを単純に絡み合わせますと、「いっとき性交できなくなったから、オス同士が争う原因が消滅した」 という因果を仮置きすることができます。

 果たして、こんなことが言えるでしょうか。

 私は、ここを出発点として、推理・推察を重ねていくことにしました。

 そのためには、ヒトと近縁の類人猿の性生活と社会生態を調査研究し、これだけでは不足しますので、霊長類の社会生態まで広げて、それぞれの種がなぜに異なった群形態を取るようになったのかを推察する中から、一定の結論を得ました。

 「水生進化によって、いっとき性交できなくなったから、オス同士の諍いが消失し、非暴力の心を持つに至った」(犬歯の退化=非暴力の心獲得仮説)

 ただし、ここへ到達するには、霊長類学からだけのアプローチでは不可能で、インド独立の父・ガンジーの研究とこれに関連する古代インドの哲学・宗教の研究が役に立ちましたし、当然にして文化人類学・民俗学の知見も参考になりました。

 それと、生殖に関しての生物発生学の本質的知見です。生物学者でさえも、これを誤解している方が多いようですが、その本質をわきまえていないと、オス・メスの関わりを正しく理解できないです。

 また、オス・メスの関係には、フェロモンが大きく作用しますから、この面からのアプローチも必要になります。(フェロモンの詳細については、フェロモン仮説=男と女はなぜ惹かれ合うのか をご覧ください。)

 このように、幅広い分野にわたってインターディシプリナリーな考察をしないことには、到達し得ないものであったと、私は思っています。

 私が行った推理・推察の全てを、早速にも本サイトで紹介することも考えましたが、それでは面白くありません。

 「犬歯の退化」については、読者の皆様方にも、それぞれ推理・推察していただく

ことにしたいのです。

 アプローチの仕方は幾通りもあるでしょうし、また、私のような浅学の輩の数段上を行く、頭脳明晰な博学の御仁が、きっと大勢おみえでしょうから、「人類水生進化説」に立脚すれば、まさに“目から鱗”で、たちどころに全てが理解できてしまう、ということにもなるでしょう。

 ヒトの凶暴性、残虐性がますます露になってきた現代社会です。

 このまま突き進んでいけば、近い将来には「犬歯の復活」が起きてしまう、空恐ろしささえ感じます。

 そんなことは、絶対にあったはならないです。

 ヒトが「犬歯を退化」させたことによって獲得した「非暴力の心」を再び取り返し、平和な社会を構築していかねばなりません。

 これは、現代人、特に男の責務です。

 原点に立ち返り、ヒトの「犬歯を退化」という貴重な財産について、今一度じっくり、皆さんに熟考していただきたいと、お願いし、本サイトを閉じることとします。

                                                (了)

(追記)

 新たな知見など補記しましたので、次ページもお読みいただけると幸いです。

 次ページ ⇒ “人類水生進化説”は消え去るのみ?


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